この記事では「ご覧ください」について解説する。
端的に言えば「ご覧ください」の意味は「見ることの尊敬語」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ご覧ください」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ご覧ください」の意味や語源・使い方まとめ

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「ご覧ください」は「見ること」の尊敬語で、江戸時代から用いられた用法です。それでは早速「ご覧ください」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご覧ください」の意味は?

「ご覧ください」には、次のような意味があります。

【ご覧】

【一】「見ること」の尊敬語。「ご覧のとおりです」

【二】「御覧なさい」の略。

 

【ください】

《動詞「くださる」の命令形》

1 「くれ」の尊敬語。相手に物や何かを請求する意を表す。ちょうだいしたい。「手紙を下さい」「しばらく時間を下さい」

2 (補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、相手に何かを要望・懇願する意を表す。「お座り下さい」「ご覧下さい」「止めて下さい」

出典:Weblio 辞書

「ご覧ください」は「見ること」の意の尊敬語と動詞「下さる」の命令形から成り立っており、相手に「見る」ことを頼む意を表しています。丁寧な言葉を用いて相手にお願いをする時に使用しますよ。

丁寧な言い方をする時は、頭に「お」をつけるときと「ご」をつける場合がありますね。その単語がもともと日本にあった言葉(和語)の場合には「お」を。そして昔、中国から入ってきた言葉(漢語)の場合には「ご」をつけましょう。

「ご覧ください」の語源は?

次に「ご覧ください」の語源を確認しておきましょう。

「ご…ください」で相手に対して「…してくれるように願う」という意味があります。また先方の「…する」行為を高めていう表現でもありますよ。多くは「ご…ください」「ご…いただきたい」などの形で用いられていますね。「ご」は接頭語で「ください」は補助動詞。間に動作性の漢語名詞を入れて用い、その動作をする人に敬意を表します。

現在では、普通にはあまり「ご」の付かないような漢語名詞にまで接頭語を付けて「ご手配ください」や「ご起立ください」などと使われていますね。基本的には「…する」の「…」が漢語の場合には「ご」を使い、和語の場合には「お」を使いますよ。しかし例外もあります。「お約束ください」「お電話ください」「お察しください」などがそうですね。

\次のページで「「ご覧ください」の使い方・例文」を解説!/

「ご覧ください」の使い方・例文

「ご覧ください」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.説明は以上になります。詳細については後ほどお配りする資料をご覧ください。

2.防災マニュアルをご覧ください。いざという時でも慌てずに落ち着いて行動することができます。

3.弊社のオリジナルアイテムをはじめてご利用になる方は下記の注意事項を必ずご覧ください。

ビジネス上での人間関係では「相手を敬い、自らが謙虚な姿勢をとる」ことが必要不可欠。また、ビジネス文書では日常ではあまり使わないような丁寧な改まった言葉を使用しますね。そのため、文書上での言葉遣いも適切な敬語表現が求められます。相手の行動については「尊敬語」、自分の行動については「謙譲語」が基本。慣例的に使われる言い回しを踏まえた上で、その場面に応じた適切な敬語を使うことが大切です。

「ご覧ください」の類義語は?違いは?

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「ご覧ください」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「ご照覧」

「ご照覧」は「ごしょうらん」と読みますあきらかに見ること、神仏がご覧になることという意味。「ご覧ください」との違いは見る側の対象が限られていない点です。「神々もご照覧あれ」などと使われますよ。「ご照覧」の「照」は火の光が明るく「てる」意味を、「覧」は「のぞきこんでよく見る」意味をそれぞれ表している漢字です。

\次のページで「「ご覧ください」の対義語は?」を解説!/

「ご覧ください」の対義語は?

「ご覧ください」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「拝見」

「拝見」は「見る」の謙譲表現。書き言葉や話し言葉にも使います。「拝見」は見る対象を高め見る側を低めて待遇しますよ。見る対象は「相手や相手方の人物、または高めるべき第三者」、もしくは「そういう人物の行為や所有物、関係した物」などです。

ですが、前者のように人そのものを「拝見」するという使い方は、写真で見る場合や、医者が患者を診る場合を除きあまり使われません。人に会った場合なら「お目にかかる」、一方的に見かけた場合なら「お見かけする」などと言う方が普通ですよね。

その2「拝観」

「拝観」は「観る」の謙譲語観る対象を高め、観る側を相対的に低めて「つつしんで観る」趣を表します。特に宮殿・神社・仏閣など、また、その宝物などを観る場合に用いますが、この用法の場合には敬語としての意識はとても薄くなっていると言えるでしょう。「拝観料」という言葉がその一例。

ですが、人の作品・舞台などを観ることをその人を高めて「拝観する」「拝観させていただく」などと表現する用法もありますね。このような用法は敬語としての機能を完全に果たしていると言えるでしょう。

「ご覧ください」の英訳は?

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「ご覧ください」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「ご覧ください」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

その1「Look at」

「Look at」で「…をよく見る」という意味がありますよ。「please Look at this」や「Look at this」で「これをご覧ください」となります。

その2「Please see」

「Please see」には「ぜひご覧ください、ぜひ見てください」といった意味。「Please see a view in all its glory」で「この上なく壮観な眺めをぜひご覧ください」となります。

\次のページで「「ご覧ください」を使いこなそう」を解説!/

「ご覧ください」を使いこなそう

この記事では「ご覧ください」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ご覧ください」は「見ること」の意の尊敬語と動詞「下さる」の命令形。相手に何かを要望・懇願する時は丁寧に礼儀正しくお願いすることが大事ですね。ちなみに「ご覧に入れる」という言葉をご存じでしょうか。見せる意の謙譲表現です。こちらは見せる相手を高め、見せる側を相対的に低めています

「ご覧」は上位者の見る行為を高めていう表現でしたね。そのため「ご覧に入れる」は、上位者が「ご覧」になれるように下位者が何かを差し出すことなのですが、「ご覧に入れる」全体で「見せる」の謙譲語に相当しますよ。

また、「見せる」意の謙譲表現としては「お目にかける」や「お見せする」が挙げられます。このうち「お見せする」は敬意が比較的軽いのに対し、「ご覧に入れる」と「お目にかける」は敬意がとても高く両者の敬意は同等です。ですが、強いていえば「ご覧に入れる」のほうがやや敬意が高いと言えるでしょう。

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国語言葉の意味

「ご覧ください」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「ご覧ください」について解説する。
端的に言えば「ご覧ください」の意味は「見ることの尊敬語」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「ご覧ください」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「ご覧ください」の意味や語源・使い方まとめ

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「ご覧ください」は「見ること」の尊敬語で、江戸時代から用いられた用法です。それでは早速「ご覧ください」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ご覧ください」の意味は?

「ご覧ください」には、次のような意味があります。

【ご覧】

【一】「見ること」の尊敬語。「ご覧のとおりです」

【二】「御覧なさい」の略。

 

【ください】

《動詞「くださる」の命令形》

1 「くれ」の尊敬語。相手に物や何かを請求する意を表す。ちょうだいしたい。「手紙を下さい」「しばらく時間を下さい」

2 (補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、相手に何かを要望・懇願する意を表す。「お座り下さい」「ご覧下さい」「止めて下さい」

出典:Weblio 辞書

「ご覧ください」は「見ること」の意の尊敬語と動詞「下さる」の命令形から成り立っており、相手に「見る」ことを頼む意を表しています。丁寧な言葉を用いて相手にお願いをする時に使用しますよ。

丁寧な言い方をする時は、頭に「お」をつけるときと「ご」をつける場合がありますね。その単語がもともと日本にあった言葉(和語)の場合には「お」を。そして昔、中国から入ってきた言葉(漢語)の場合には「ご」をつけましょう。

「ご覧ください」の語源は?

次に「ご覧ください」の語源を確認しておきましょう。

「ご…ください」で相手に対して「…してくれるように願う」という意味があります。また先方の「…する」行為を高めていう表現でもありますよ。多くは「ご…ください」「ご…いただきたい」などの形で用いられていますね。「ご」は接頭語で「ください」は補助動詞。間に動作性の漢語名詞を入れて用い、その動作をする人に敬意を表します。

現在では、普通にはあまり「ご」の付かないような漢語名詞にまで接頭語を付けて「ご手配ください」や「ご起立ください」などと使われていますね。基本的には「…する」の「…」が漢語の場合には「ご」を使い、和語の場合には「お」を使いますよ。しかし例外もあります。「お約束ください」「お電話ください」「お察しください」などがそうですね。

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