この記事では「不退転」について解説する。

端的に言えば不退転の意味は「屈しないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「不退転」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「不退転」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「不退転(ふたいてん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「不退転」の意味は?

「不退転」には、次のような意味があります。

1.信念を持ち、何事にも屈しないこと。
2.「不退」に同じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不退転」

1.仏道修行の過程で、すでに得た境地から後戻りしないこと。不退転。
2.退くことなくいつも修行すること。善根を重ねて、退いたり失ったりしないこと。不退転。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不退」

「不退転(ふたいてん)」とは、“後ろに引いたり屈したりしない”こと。そこから“信念を持って屈しない”様子を指すほか、「不退(ふたい)」という言葉同様に、仏教の修行に対して“後戻りしない”様子を指します。

読み方を誤る場合があるので、意味と合わせて抑えておきましょう。

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「不退転」の語源は?

次に「不退転」の語源を確認しておきましょう。「不退転」とはもともとは仏教用語が由来と言われています。仏教において「不退転」とは「不退」が示すように、“修行において到達して境地から後戻りしないこと”を指す言葉です。

修行に励むことで到達した境地から後戻りせず、ここで得た徳を失うことがない状況。これを“阿弥陀仏の功徳による究極の幸福状態”と考え、仏教ではこれを「不退転の境地」と言います。そのため仏教では「不退転の境地」に至り、幸福になれるよう修行に励むのです。

それが現代では、このような仏教的な意味合いは薄れ、信念を曲げずに屈しないこと、後戻りせず諦めない様子を指すようになりました。今では屈強な意志や、意気込みを表すときに多く用いられます。

「不退転」の使い方・例文

「不退転」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.不退転の覚悟を持たなければこの新規事業は失敗してしまうだろう。気を引き締めて仕事に臨もうと思う。
2.今回当選した政治家が、不退転の決意で臨むと当選会見で表明していた。
3.経営を立て直すには不退転の意志が重要だと、彼は必死に自分の会社の再建に取り組んだ。

「不退転」とは精神的なスタンスを意味する言葉。そのため信念として表明する場合や、決意を表すときに多く用いられます。

例文のように「不退転の覚悟」「不退転の決意」「不退転の意志」といった使われるのが一般的です。ビジネスシーンで使うほかにも、政治、アスリートの選手が意気込みとして使うこともあります。

「不退転」の類義語は?違いは?

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続いて、「不退転」と似た意味を持った類義語について紹介します。

\次のページで「その1「七転八起」」を解説!/

その1「七転八起」

「七転八起(しちてんはっき)」とは、“何度失敗してもくじけずに努力すること”を表す四字熟語。七度転んでも八度起き上がるという意が語源です。「七転び八起き(ななころびやおき)」と表現することもある言葉で、一般的もよく使われます。

「不退転」が強い意志や覚悟を示す言葉であるのに対し、“どこまでもやり抜く”という意思を持った「七転八起」も類義語のひとつと言えるでしょう。

ただし「不退転」とは異なり“何度失敗しても”という意味合いが含まれています。何事にも屈しない姿勢は共通しますが、ニュアンスが少し異なるので、両者の違いを理解しておきましょう。

その2「不撓不屈」

「不撓不屈(ふとうふくつ)」とは、“強い精神で苦労や困難にもくじけない”様子を意味する四字熟語です。自分の決意や意思表明として用いられることもあり、横綱昇進時の言葉として使われたこともあります。

強い意志を示す「不撓不屈」も、「不退転」の類義語のひとつです。

その3「勇猛果敢」

「勇猛果敢(ゆうもうかかん)」とは、“勇ましく決断力がある”こと。恐れずに思い切って行動することを指す四字熟語で、強い覚悟や意思を表す言葉です。

「不退転」の持つ“強い覚悟”という意味合いに対し、類義語のひとつと言えます。決断力や覚悟を伝えたい時にはこの表現を使うのもおすすめです。

「不退転」の対義語は?

「不退転」とは“屈しない様子”を指し、仏教では修行から後戻りしない意味も持つ言葉。仏教から生じた言葉には、そのような「不退転」の反対となるものもあります。

ここではその対義語についても確認しましょう。

「退転」

「退転」とは、“一度得た悟りを失う”こと。「不退転」と対になる言葉で、“修行を怠る”ことや“中断する”という意味も持っています。

「不退転」という言葉自体がこの言葉の対義語とされているため、「不退転」と「退転」はまさしく反対の表現です。ふたつの言葉をセットで合わせて覚えてしまうといいでしょう。

「不退転」の英訳は?

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最後に「不退転」の英語表現についても確認しておきましょう。

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その1「unflagging resolve」

「unflagging resolve」“不退転の決意”を表現できる英語表現。「unflagging」“不撓の”という意味を表し、「resolve」“決意”という意味を持った単語です。

“不撓不屈の決意”という意味で「不退転」のニュアンスを表現することができます。“不退転の決意”として英語訳をしたい際は、この表現を用いるのがおすすめです。

なお類似した言い回しとして「unflagging」ではなく、“揺らがない”という意味の「unwaving」を用いて「unwaving resolve」と表現することもできます。

その2「determination」

「determination」“決心”という意味の英単語。非常に強い意味を持った表現のため、強い意志や覚悟を表すことができます。

「不退転」を端的に英単語ひとつで表すのであれば、この表現もおすすめです。“強い意志を持った決意”という意味で表現したい時に用いるようにしましょう。

「不退転」を使いこなそう

この記事では「不退転」の意味・使い方・類語などを説明しました。「不退転」は強い意志を示す言葉で、使い方によっては便利な言葉です。ただその分、言葉の持つ重みも大きく、簡単に使う言葉ではありません。

ここぞというタイミングで、自分の覚悟をしっかり伝えるときに使うようにしましょう。

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国語言葉の意味

「不退転」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

その1「七転八起」

「七転八起(しちてんはっき)」とは、“何度失敗してもくじけずに努力すること”を表す四字熟語。七度転んでも八度起き上がるという意が語源です。「七転び八起き(ななころびやおき)」と表現することもある言葉で、一般的もよく使われます。

「不退転」が強い意志や覚悟を示す言葉であるのに対し、“どこまでもやり抜く”という意思を持った「七転八起」も類義語のひとつと言えるでしょう。

ただし「不退転」とは異なり“何度失敗しても”という意味合いが含まれています。何事にも屈しない姿勢は共通しますが、ニュアンスが少し異なるので、両者の違いを理解しておきましょう。

その2「不撓不屈」

「不撓不屈(ふとうふくつ)」とは、“強い精神で苦労や困難にもくじけない”様子を意味する四字熟語です。自分の決意や意思表明として用いられることもあり、横綱昇進時の言葉として使われたこともあります。

強い意志を示す「不撓不屈」も、「不退転」の類義語のひとつです。

その3「勇猛果敢」

「勇猛果敢(ゆうもうかかん)」とは、“勇ましく決断力がある”こと。恐れずに思い切って行動することを指す四字熟語で、強い覚悟や意思を表す言葉です。

「不退転」の持つ“強い覚悟”という意味合いに対し、類義語のひとつと言えます。決断力や覚悟を伝えたい時にはこの表現を使うのもおすすめです。

「不退転」の対義語は?

「不退転」とは“屈しない様子”を指し、仏教では修行から後戻りしない意味も持つ言葉。仏教から生じた言葉には、そのような「不退転」の反対となるものもあります。

ここではその対義語についても確認しましょう。

「退転」

「退転」とは、“一度得た悟りを失う”こと。「不退転」と対になる言葉で、“修行を怠る”ことや“中断する”という意味も持っています。

「不退転」という言葉自体がこの言葉の対義語とされているため、「不退転」と「退転」はまさしく反対の表現です。ふたつの言葉をセットで合わせて覚えてしまうといいでしょう。

「不退転」の英訳は?

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最後に「不退転」の英語表現についても確認しておきましょう。

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