この記事では「招聘」について解説する。

端的に言えば招聘の意味は「招くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「招聘」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻していた。夢はプロのサッカークラブに監督として招聘されること。選手の経験がなくても名監督になった例があるのでありえないことではない。監督がダメならGMでも用具係でもいい。

「招聘」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「招聘」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「招聘」の意味は?

「招聘」には、次のような意味があります。

礼を尽くして人を招くこと。「招聘に応じる」「講師を招聘する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「招聘」

まず、肝心なのは「招聘」の読み方です。「招聘」は「しょうへい」と読みます。

意味は「礼を尽くして人を招くこと」です。ただ招くだけではありません。「礼を尽くす」ということが重要です。頭を下げたり誠意を表したりして人を招き入れるという意味が、この「招聘」にあります。

「招聘」の語源は?

次に「招聘」の語源を確認しておきましょう。

招聘の「招」が「招く」(まねく)なのはわかるでしょう。しかし、「聘」が何か分からない人が多いはずです。そもそも「聘」が読めませんよね。

「聘」の音読みは「ヘイ、ヒョウ」、訓読みは「と(う)、まね(く)、め(す)、めと(る)」です。実は「聘」という漢字にはいろいろな意味があり、そのうち「招聘」という言葉に使われているのは「まね(く)」となります。つまり、「招聘」は同じ意味の漢字を2つ重ねた熟語です。「河川」(どちらも「かわ」)、「堅固」(どちらも「かたい」)、「別離」(どちらも「わかれる」)と同じと聞けばイメージしやすいでしょうか。

\次のページで「「招聘」の使い方・例文」を解説!/

「招聘」の使い方・例文

「招聘」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.本社からその道のエキスパートを招聘することにした。
2.海外の研究所からオファーを受けたが、招聘に応じようかまだ悩んでいる。
3.彼は強豪チームの監督を8シーズン務め、多くのタイトル獲得に貢献してから勇退したが、すぐに別の強豪チームから破格の条件で監督として招聘された。

「招聘」という言葉は、例文1の「招聘する」や例文3の「招聘される」という動詞形でよく使われます。「招聘」という名詞で使われる場合は、「招聘を受ける」や例文2の「招聘に応じる」などという形です。

また、「招聘」が付く言葉には以下のものがあります。

・招聘状:ビザ発給時の要件とされる推薦状のようなもの。
・招聘理由書:短期ビザを申請するときに提出する書類の1つ。
・招聘教授:教授に相当する待遇を受ける外部から招かれた教育者。客員教授とも。

「招聘」の類義語は?違いは?

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ところで、「招聘」の類義語には何があるのでしょうか。違いとともに見ていきましょう。

\次のページで「「招待」「招請」」を解説!/

「招待」「招請」

「招聘」と同じような「人を招くこと」という意味の言葉が「招待」(しょうたい)と「招請」(しょうせい)です。しかし、「招聘」とは若干の違いがありますので1つずつ見ていくことにしましょう。

招待」を辞書で確認すると、「人を招いてもてなすこと」とあります。パーティーや催事などに来てもらいたい相手へ向けて発送するのは、「招聘状」ではなくて「招待状」ですよね。よって、もてなしの有無が「招待」と「招聘」の違いです。

招請」も辞書で確認しましょう。「頼んで来てもらうこと」などと記載されています。「請」の部分が「頼む、請い願う」という意味です。「礼を尽くして招く」という意味の「招聘」とはその部分で違います。

「招聘」の対義語は?

逆に「招聘」の対義語も何があるのか見ていきましょう。

「追放」「駆逐」

「招聘」が「招き入れること」ですので、その反対の意味は「追い出すこと、受け入れをやめること」となるはずです。

追放」(ついほう)には「社会から遠ざける、職から退ける」などの意味があります。また、「駆逐」(くちく)は「追い払う」という意味です。他には「排除」(はいじょ)、「排斥」(はいせき)、「放逐」(ほうちく)なども考えられるでしょう。いずれにしても、「招聘」と違って気分のいい言葉ではありませんよね。

「招聘」の英訳は?

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さらに「招聘」の英訳も確認しておきましょう。

「invitation」

日本語では、「招くこと」を「招聘」「招待」「招請」などと使い分けると前述しました。しかし、この3つの単語の英訳を辞典で調べた場合、同じ単語で表せることが分かります。

「招く」の英訳は「invite」という動詞ですが、その名詞形が「invitation」です。「招聘」「招待」「招請」はずべて英訳すると「invitation」1語で事足ります。

「invitation」以外にも、比較的日本人にもなじみがあろう「call」(コール)「offer」(オファー)「appointment」(アポイントメント)などでもかまいません。そもそも英語圏では、「招聘」の本来の意味である「礼を尽くして招く」という概念がほとんどないはずです。よって、「その人に与えられた評価以上の条件を付けて招く」という意味が伝われば、いろいろな言葉が当てはまるでしょう。

\次のページで「「招聘」を使いこなそう」を解説!/

「招聘」を使いこなそう

この記事では「招聘」の意味・使い方・類語などを説明しました。

もし、あなたがどこかの団体に「招聘」された場合は、そのことを名誉に思わなければなりません。「招聘」とは「礼を尽くして招くこと」だからです。「招聘」に応じるかどうかは別として、あなたを高く評価してくれたことに感謝しましょう。

ですが、目上の人に「招聘」などと言ってはいけません。一個人が「招聘」とは何様だと思われかねます。日本語の敬語表現は難しいですが、言葉の意味を知っていれば自然と立場をわきまえた言葉使いができるでしょう。ですので、この際に「招聘」という言葉の意味をよく理解しておきましょう。

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国語言葉の意味

「招聘」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「招聘」について解説する。

端的に言えば招聘の意味は「招くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「招聘」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻していた。夢はプロのサッカークラブに監督として招聘されること。選手の経験がなくても名監督になった例があるのでありえないことではない。監督がダメならGMでも用具係でもいい。

「招聘」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「招聘」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「招聘」の意味は?

「招聘」には、次のような意味があります。

礼を尽くして人を招くこと。「招聘に応じる」「講師を招聘する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「招聘」

まず、肝心なのは「招聘」の読み方です。「招聘」は「しょうへい」と読みます。

意味は「礼を尽くして人を招くこと」です。ただ招くだけではありません。「礼を尽くす」ということが重要です。頭を下げたり誠意を表したりして人を招き入れるという意味が、この「招聘」にあります。

「招聘」の語源は?

次に「招聘」の語源を確認しておきましょう。

招聘の「招」が「招く」(まねく)なのはわかるでしょう。しかし、「聘」が何か分からない人が多いはずです。そもそも「聘」が読めませんよね。

「聘」の音読みは「ヘイ、ヒョウ」、訓読みは「と(う)、まね(く)、め(す)、めと(る)」です。実は「聘」という漢字にはいろいろな意味があり、そのうち「招聘」という言葉に使われているのは「まね(く)」となります。つまり、「招聘」は同じ意味の漢字を2つ重ねた熟語です。「河川」(どちらも「かわ」)、「堅固」(どちらも「かたい」)、「別離」(どちらも「わかれる」)と同じと聞けばイメージしやすいでしょうか。

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