この記事では「所存です」について解説する。
端的に言えば「所存」の意味は「心中に思うところ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「所存です」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「所存です」の意味や語源・使い方まとめ

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「所存」の読み方は「しょぞん」です。「所存です」は改まった言い方や書簡文などに用いられますね。例えば、必ずご厚誼にお報いする所存ですなどのように使われますよ。「所存のほか」といった言葉もありますが、意味は「思いがけないこと、残念なこと」です。

それでは、早速「所存です」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「所存」の意味は?

「所存」には、次のような意味があります。

心に思う所。考え。おもわく。

出典:コトバンク

「所存」は「存する所」という意味。その「存する」は「思う」意の謙譲語ですよ。「所」は漢文脈において「こと」とほぼ同じように用いる表現です。つまり、「所存」イコール「存する所」で、「心に思うこと」「考え」「意向」の意の謙譲語になりますね。

同異義語で「存じる」が挙げられますが、こちらは話し手自身が何かを知っている旨を、聞き手に対してへりくだり、改まっていう表現です。聞き手に対する敬語なのであって、話題の人物を高める働きがあるわけではないですよ。そのため、特に敬う人物に関する内容でなくとも「存じる」は使えるでしょう。

「所存」の語源は?

次に「所存です」の語源を確認しておきましょう。

「所存」の「所」と「存」の成り立ちをそれぞれご紹介します。「所」は斧をあらわす「斤」と木を切るときのコツコツという音をしめす「戸」とを合わせた字。「斤+音符府」で、木を切り分ける音を借りて指示代名詞に用いられ、「…するその対称」を指し示すようになりました。そして「存」は土がつもって川をふさぐことをあらわす「才」と、高くつもる意味の音をしめす「子」とを合わせた字です。大切にとどめおく意がありますよ。

\次のページで「「所存です」の使い方・例文」を解説!/

「所存です」の使い方・例文

「所存です」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.皆様のご期待に添えますよう、精一杯の努力をいたす所存でございます。

2.後日改めて御礼にお伺いする所存でございますが、取り急ぎご報告方々御礼を申し上げます。

3.結果が分かり次第、ご連絡を差し上げる所存です。

謙虚さは言葉遣いに表れます。謙遜したり恐縮したりすることで好印象を与える場合がありますので、大人力を発揮した言葉の選び方を押さえていきましょう。例文1は「自分なんてまだまだです」と謙遜しつつ「がんばります」と今後の決意を力強く述べていますね。例文2と3は後に訪問することや連絡することを前もって伝えています。こうすることで「丁寧な人」という印象を与えることができますよ。

「所存」の類義語は?違いは?

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「所存です」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「趣意」

「趣意」は「いしゅ」と読みます。意見、趣旨、特に目的とする所の考え。また、文章などの表そうとしている意味。「所存」との違いは敬語ではない点です。「所存」が聞き手や話題の人物に対する敬意に基づいて用いられている特定の言い方なのに対して「趣意」は、物事をしようとする動機や目的を言い表す熟語にすぎません。

\次のページで「その2「意図」」を解説!/

その2「意図」

「意図」は「いと」と読み、考えていることやおもわくのこと。「所存」との違いは敬語的表現ではないところです。「早期実現を意図する」「意図的なごまかし」などと使いますよ。また「意図」と似たような言葉には「作意」「旨意」などが挙げられます。「意図」は何かをしようと考えることですので、さまざまな表現に使えますね。

その3「旨趣」

「旨趣」は「ししゅ」と読み、心の中のおもいを意味します。「所存」との違いは敬意を表す言葉ではない点。話し手自身が何かを「思う」こと、あるいは何かを「知る」ことへりくだり、聞き手に対して丁重にいう表現ではありません。また「旨趣」の同異義語としては「趣旨」「要旨」「論旨」などが挙げられます。

「所存」の対義語は?

「所存です」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「意向」

「所存」の対義語は「意向」です。「意向」は「心の向かう所、おもわく、志向」という意味があり、「先方の意向をくむ」「意向に添う」などと使います。「所存」が自分の考えをへりくだって使う表現に対し、「意向」は相手の「思い」を指し示す為、謙譲性はありません。そのため、目上の人や敬意を表したい相手に限定して使う言葉ではないことを覚えておきましょう。

「所存です」の英訳は?

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「所存です」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「所存です」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

その1「intention」

「intention」は「意図、意志、心構え、趣旨」という意味をもつ名詞です。「所存」よりも「意図」よりの意味合いで使われますよ。「pay enough attention to his intentions」で「彼の意図に十分留意する」となります。

\次のページで「その2「view」」を解説!/

その2「view」

「view」は「目的、ねらい、意図」という意味をもつ名詞です。「It was my view to please my mother」で「母を喜ばせるのが私の目的でした」、「with a view to promoting one’s health」で「健康増進の目的」という意味になります。

その3「will」

「will」は「…するつもりである」という意味。「will」は確固とした親しみのある申し出に使われることがあります。「所存です」の英訳に最も適した表現。「I will try and do my best」で「努力していく所存です」という意味になります。

「所存です」を使いこなそう

この記事では「所存です」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「存ずる」は「思う」の謙譲語。話し手自身が何かを「思う」ことをへりくだり、聞き手に対して丁重にいう表現でしたね。書き言葉でも話し言葉でも、とても丁寧な文体の中で用いられますよ。歴史的には「存じる」は中世から使われている語です。平家物語などにも用例がありますよ。

また「所存です」という代わりに「形容詞(形容動詞)連用形+存じる」といった使い方もあります。例えば「うれしく存じますや「ありがたく存じます」など。「存じ上げる」といった表現もありますが、「存じる」とでは微妙に用法が異なります。「存じ上げる」は聞き手に対する敬語ではなく話に登場する人物を高める敬語ですよ。

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国語言葉の意味

「所存です」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「所存です」について解説する。
端的に言えば「所存」の意味は「心中に思うところ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「所存です」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「所存です」の意味や語源・使い方まとめ

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「所存」の読み方は「しょぞん」です。「所存です」は改まった言い方や書簡文などに用いられますね。例えば、必ずご厚誼にお報いする所存ですなどのように使われますよ。「所存のほか」といった言葉もありますが、意味は「思いがけないこと、残念なこと」です。

それでは、早速「所存です」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「所存」の意味は?

「所存」には、次のような意味があります。

心に思う所。考え。おもわく。

出典:コトバンク

「所存」は「存する所」という意味。その「存する」は「思う」意の謙譲語ですよ。「所」は漢文脈において「こと」とほぼ同じように用いる表現です。つまり、「所存」イコール「存する所」で、「心に思うこと」「考え」「意向」の意の謙譲語になりますね。

同異義語で「存じる」が挙げられますが、こちらは話し手自身が何かを知っている旨を、聞き手に対してへりくだり、改まっていう表現です。聞き手に対する敬語なのであって、話題の人物を高める働きがあるわけではないですよ。そのため、特に敬う人物に関する内容でなくとも「存じる」は使えるでしょう。

「所存」の語源は?

次に「所存です」の語源を確認しておきましょう。

「所存」の「所」と「存」の成り立ちをそれぞれご紹介します。「所」は斧をあらわす「斤」と木を切るときのコツコツという音をしめす「戸」とを合わせた字。「斤+音符府」で、木を切り分ける音を借りて指示代名詞に用いられ、「…するその対称」を指し示すようになりました。そして「存」は土がつもって川をふさぐことをあらわす「才」と、高くつもる意味の音をしめす「子」とを合わせた字です。大切にとどめおく意がありますよ。

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