この記事では「致します」について解説する。
端的に言えば「致します」の意味は「(する)の謙譲語」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「致します」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「致します」の意味や語源・使い方まとめ

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「致します」の読み方は「いたします」で、「する」の謙譲語あるいは美化語。それでは早速「致します」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「致します」の意味は?

「致します」には、次のような意味があります。

(補助動詞)動詞の連用形やこれに「お」を付けた形、または、漢語サ変動詞の語幹やこれに「御(ご)」を付けた形などに付く。

㋐補助動詞「する」の謙譲語・丁寧語。多く「いたします」の形で用いる。「お静かにお願い―・します」「御一緒―・しましょう」

㋑補助動詞「する」の尊大な言い方。「即刻、返答―・せ」

出典:コトバンク

「致す」は原則として自分または身内の行為について使います。そのため、聞き手に対してへりくだって表現する語であるとされていますね。ですが、「高気圧が通過いたします」や「選手たちが凱旋いたしました」などのように自分側のことに限らず、話題の人物・事物について使う用法も見受けられます。

また、相手との共同行為について「いかがいたしましょうか」などと使われることもありますね。これらの表現はへりくだりではなく、改まりの表現としての用法です。つまり美化語や丁重語。これらの表現は江戸時代ごろから使われていたもので、必ずしも最近の用法ではありません。

「致します」の語源は?

次に「致します」の語源を確認しておきましょう。

元来、「致します」は「いたる(行きつく意)」の他動詞でした。そのため「いたるようにする」という意味でしたが、ここから「力の限りを尽くす」「結果としてもたらす」などの意味を派生。そして室町時代から「する」「なす」という意味の敬語としても用いられるようになりました。現代においても「思いをいたす」のように原義に近い用法もあるのですが、敬語として使われる用法がほとんどです。

\次のページで「「致します」の使い方・例文」を解説!/

「致します」の使い方・例文

「致します」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.さて、私こと、このほど株式会社日本カンパニーを退職し、株式会社JPNに勤務いたします。

2.株式会社日本カンパニー在職中は、心温まるご厚情により無事に勤務することができましたことを心から感謝いたしております。

3.末筆ながら皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

例文1は転職を知らせる内容の文章です。これまでの相手への感謝の気持ちを伝えつつ転職に至った経緯や理由、決意の今後の抱負などを盛り込み、今後の支援をお願いする形にすることがおすすめです。新しい勤務先と住所、電話番号を明記することを忘れないようにしましょう。

例文2は転勤の旨を伝える挨拶状。たとえ転勤先が離れた場所であっても、今後の関係を考慮して支援や指導をお願いする一文を入れると良いでしょう。また、急な転勤であるためメールでの報告になったことを伝えられると尚良い。転勤先と移動日は本文中に明記するようにします。そして新しい転勤先の住所や電話番号は差出人欄に入れましょう。

例文3は異動のあいさつです。担当者が変わることは相手にとっては不安なことですね。そのため、その気持ちを察して不安を抱かせない為に、後任の予定が整い次第、通知を出すようにしましょう。また、異動の場合は信頼関係を損なわないように配慮することが大事。移動の理由を明確にしておいましょう。

「致します」の類義語は?違いは?

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「致します」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「存じます」

「存じます」は、話し手自身が何かを「知っている」旨、または何かを「思う」旨を聞き手に対してへりくだり、改まっていう表現です。つまり、聞き手に対する敬語であって、話題の人物を高める働きがあるわけではありません。そのため、特に高めるべき人物に関する内容でなくとも「存じます」は使えますよ

さらに、身内などの高めてはいけない相手に人物に関する内容であっても使用可能。例えば、「私の義兄が以前から病に伏していたという話は、私も存じております」などと使えます。

\次のページで「「致します」の対義語は?」を解説!/

「致します」の対義語は?

「致します」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「なされる」

「なされる」は動詞「なす」に尊敬の「る」がついてできた尊敬語です。下二段活用の動詞「なさる」が下一段活用に形を変えたもの。敬うべき人が「する」意を表します。また、動詞の連用形や「お」「ご」を冠した動詞連用形や動作性の漢語名詞を受けて、動作主に敬意を表す補助動詞の用法もありますよ。

「致します」の英訳は?

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「致します」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「致します」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「do」

「do」は「行動・仕事などをする」という意味の動詞。「what can I do for you?」で「何にいたしましょうか」、「I’ll do the dishes」で「皿洗いは私がいたします」という意味になりますよ。また「do」は「think of…」で「至らせる」という意味でも用いられます。例えば、「I sometimes think of my youth」で「時々若い頃に思いをいたすことがある」、「that’s entirely my fault」で「それは私の不徳のいたすところです」などが挙げられますよ。「do」を上手につかいこなし多彩な表現力を身につけていきましょう。

「致します」を使いこなそう

この記事では「致します」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「お(ご)」のついた「お(ご)…いたす」は、ただの「…いたす」とは違い、行為の対象となる人物などを高まる働きがあります。そのため、他人に向かって「私から祖母にご報告いたしましょう」と言うと「祖母」を高めることになってしまうので誤用

また、謙譲語というのは自分の行為をへりくだるだけであり、それによって行為の対象となる人物などを高めるわけではありません。そのため、他人と話しながら「私から祖母に報告いたしましょう」などと言うこともできますよ。なお、丁寧語「ます」と伴って「いたします」の形で使われることがほとんどです。

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国語言葉の意味

「致します」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集がわかりやすく解説!

この記事では「致します」について解説する。
端的に言えば「致します」の意味は「(する)の謙譲語」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「致します」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「致します」の意味や語源・使い方まとめ

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「致します」の読み方は「いたします」で、「する」の謙譲語あるいは美化語。それでは早速「致します」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「致します」の意味は?

「致します」には、次のような意味があります。

(補助動詞)動詞の連用形やこれに「お」を付けた形、または、漢語サ変動詞の語幹やこれに「御(ご)」を付けた形などに付く。

㋐補助動詞「する」の謙譲語・丁寧語。多く「いたします」の形で用いる。「お静かにお願い―・します」「御一緒―・しましょう」

㋑補助動詞「する」の尊大な言い方。「即刻、返答―・せ」

出典:コトバンク

「致す」は原則として自分または身内の行為について使います。そのため、聞き手に対してへりくだって表現する語であるとされていますね。ですが、「高気圧が通過いたします」や「選手たちが凱旋いたしました」などのように自分側のことに限らず、話題の人物・事物について使う用法も見受けられます。

また、相手との共同行為について「いかがいたしましょうか」などと使われることもありますね。これらの表現はへりくだりではなく、改まりの表現としての用法です。つまり美化語や丁重語。これらの表現は江戸時代ごろから使われていたもので、必ずしも最近の用法ではありません。

「致します」の語源は?

次に「致します」の語源を確認しておきましょう。

元来、「致します」は「いたる(行きつく意)」の他動詞でした。そのため「いたるようにする」という意味でしたが、ここから「力の限りを尽くす」「結果としてもたらす」などの意味を派生。そして室町時代から「する」「なす」という意味の敬語としても用いられるようになりました。現代においても「思いをいたす」のように原義に近い用法もあるのですが、敬語として使われる用法がほとんどです。

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