この記事では「モック」について解説する。
端的に言えばモックの意味は「ビジュアルサンプル」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「モック」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/つゆと
子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。
「モック」には、次のような意味があります。
1.見せかけの。まがいものの。
2.「モックアップ」の略。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「モック」
「モック」とは、工業製品やwebサイトを作る過程で作成する、ビジュアルを確認するためのサンプルのことです。本来の言葉は「モックアップ」。略して「モック」とよびます。
モックの分かりやすい例は、携帯電話ショップに置いてある見本です。携帯電話ショップには、実際のスマートフォンやフィーチャーフォンと同じ大きさや色の見本が置いてありますね。あれを見たり持ったりすることで、私たちは買おうとする携帯電話のビジュアルを確認することができます。
辞書で引いた上の1の意味には「見せかけの」「まがいものの」とありますが、日本語で「モック」と使う場合には単純にサンプルや模型をさすことが多いでしょう。「モック」を使う際にネガティブな意味を含んでしまうことはないので、安心して使ってくださいね。
次に「モック」の語源を確認しておきましょう。すでに述べたとおり「モック」は「モックアップ」の略語です。
「モックアップ」の語源は英語の「mock-up」。意味は「実物大の模型」です。日本語で使う意味と同じといえますね。
ちなみに「mock-up」は名詞ですが、あいだに入っている「-」を外した「mock up」の場合は動詞。意味は「実物大の模型を作る」となります。
\次のページで「「モック」の使い方・例文」を解説!/
「モック」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.次の打ち合わせではクライアントとモックを共有して、イメージが間違っていないかどうかのすり合わせをしよう。
2.依頼者様からカラー変更のご要望をいただいたのはモックを提出したすぐ後だったので、内部デザインをてがけるデザイナー様への影響は出さずに済みました。
3.webページを作成するうえでモックを作るタイミングは、ワイヤーフレームのあと、プロトタイプの前です。
例文1は、クライアントにモックを見せようと考えているシーンです。モックはビジュアル面としての完成形といえます。クライアント側は、依頼時に伝えたイメージ通りのビジュアルになっているか、モックを見て確認することができるのです。
例文2は、モックのおかげでリスクを避けることができたというシーン。モックはシステムなどの中身は実装していないのが一般的です。中身を実装する前にビジュアル面の変更依頼を受けることで、中身を含めた大がかりな変更となるリスクを避けることができますね。
例文3は、モックを作るタイミングについて説明する文章です。webページを作る工程には、モック作成のほか「ワイヤーフレーム」「プロトタイプ」の作成があります。ワイヤーフレームとは、ページのどこに何を配置するかレイアウトした、設計図のようなもの。プロトタイプとは、モックに動きを実装した試作品のことです。
「プロトタイプ」とは、実際に機能を試すことのできる「試作品」のことです。「製品となる前の段階のモノ」という点において「モック」と「プロトタイプ」は似ています。
2つの違いは、モックはビジュアルの確認が目的のため機能は実装されていないのに対し、プロトタイプは機能が実装され、動かせることです。モニターとなる人がプロトタイプを実際に扱い、使い勝手は良いか、不具合はないかなどを確かめることができます。
製品を作る工程では先にモックを作り、ビジュアル面をクリアしたあと、そこに機能を実装してプロトタイプを作ることが多いでしょう。どちらも重要な過程です。
\次のページで「その2「サンプル」」を解説!/
「サンプル」は、標本として全体から取り出した一部を表す「サンプル」や、お試し品として配られる「サンプル」など、いろいろな意味を持つ言葉です。「見本」という意味で使うときに「モック」とよく似た言葉となります。
例えば「食品サンプル」は、飲食店に来たお客さんに食べ物のビジュアルを示すものです。携帯電話ショップに置いてある「モック」と同じといえます。
実際に食べることはできないところも、機能を実装していなくて動かすことができない「モック」とよく似ていますね。
「モック」の対義語はありません。
「モック」は製品を作るにあたり、その途中の段階で作られるモノです。対する概念をもつ言葉として「最終製品」「完成品」を紹介します。
「最終製品」「完成品」は、どちらも製品を作る工程の最後に位置するもののことです。つまりは最終的な「製品」としてお店に並べて販売するものをさします。
「モック」や「プロトタイプ」を経て、ようやく市場に出てゆく製品。「ものづくり」の現場の汗と涙の結晶といってもおかしくありません。
「モック」は「モックアップ」を略して使っている言葉です。もとの「モックアップ」の英訳は「mock-up」。意味は「実物大の模型」「モデル」などです。英訳として使って問題ありません。
しかし、英語の「mock」の意味にはちょっと注意。「あざ笑う」「マネをしてばかにする」という意味があります。むしろ、その意味の方がメインで使われるよう。
「実物大の模型を作る」という意味で「mock-up」の動詞形である「mock up」を使いますが、その「mock up」にはなんと「でっちあげる」という意味もあります。日本語の「モック」や「モックアップ」がネガティブな意味合いをもつことはありませんが、英語の「mock」の表現には気をつけた方がよさそうですね。
\次のページで「「モック」を使いこなそう」を解説!/
この記事では「モック」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「モック」とは、ビジュアルを確認するための「サンプル」「模型」のこと。「プロトタイプ」と違い、機能は実装していないことが多いです。
IT業界や家電販売店、工業製品の製造業界などで使われるビジネス用語といえます。意味をあやふやにせず、正しく使うことが求められるでしょう。