この記事では「お伺い」について解説する。

端的に言えばお伺いの意味は「目上の人に指図を求めること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ライターのflickerを呼んです。一緒に「お伺い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「お伺い」の意味や語源・使い方まとめ

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「お伺い」の読み方は「おうかがい」です。平家物語などですでに用いられていた用法ですよ。それでは早速「お伺い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お伺い」の意味は?

「お伺い」には、次のような意味があります。

問題が無いかどうかなどの判断を立場が上の人などに確認すること。

出典:Weblio 辞書

「伺う」は本来、それとなく様子を探ろうとする意味です。このことから、神仏・貴人などの意向を仰ぐ場合に直接的な表現を避けて敬意を表す表現として用いられるようになりました。

また「聞く」「尋ねる」「訪ねる」の意の謙譲語「伺う」はこれらの動作の対象を高め、動作主を相対的に低く待遇します。例えば「聞く」意味の場合は「お聞きする」「聞かせていただく」「お聞かせいただく」などとなりますし、「訪ねる」意味の場合は「お訪ねする」「あがる」「おじゃまする」などと、それぞれほぼ同様に用いられますよ。

「お伺い」の語源は?

次に「お伺い」の語源を確認しておきましょう。

実は「伺う」だけで謙譲語なのです。そのため、「お」と「…する」を付けてさらに謙譲表現を高めた「お伺い」という言葉は不必要な重複にも思われますよね。しかし敬意の度合いがより高い表現として用いられているのも事実。「お伺い申し上げます」や「お伺いいたします」と同様に用いられている場面をよく目にします。

では、「伺わせていただく」という表現はどうでしょうか。こちらも重複表現のように思われるかもしれませんが、実は「伺わせていただく」は不必要な重複ではありません。「聞かせて」もらう」の意味を加えることによってへりくだる趣を増すので間違いではないのです。

\次のページで「「お伺い」の使い方・例文」を解説!/

「お伺い」の使い方・例文

「お伺い」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.後日、改めて御礼にお伺いする所存でございますが、取り急ぎ、御礼とご報告まで。

2.田中様から色々とお話をお伺いし、大変に感激しております。

3.いくつかお伺いしたいことがあるのですが、お聞きしてもよろしいでしょうか。

例文1は「訪ねる」意の「お伺い」を用いています。こちらは訪問する先に対して敬意を表していますね。恩恵を与えてくれる人に対する敬語として職場などで良く用いる特定の言い方。上司や先輩、年上の人に対してもこのような敬語を用いますね。

例文2は「聞く」意の「お伺い」を用いています。聞き手に対して話し手が敬意を表していることがわかりますね。例文3は「尋ねる」意の「お伺い」を用いています。このように「尋ねる」を丁寧に言い表すことで、話し手は聞き手や話題の人物を言葉の上で良く待遇することができますね。

「お伺い」の類義語は?違いは?

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「お伺い」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

「参る」

「訪ねる」意での「参る」は「伺う」とともに謙譲語として用いられます。しかし「参る」と「伺う」では用法が異なるので注意が必要ですね。「参る」は話の聞き手に対して敬意を表すのに対して、「伺う」は訪問する先に対して敬意を表します。そのため、訪問先イコール聞き手の場合にはどちらも用いることが可能。つまり、聞き手の家を訪ねる場合には「これからお宅に伺います」とも「これからお宅に参ります」とも言えるということです。

ですが、訪問先と聞き手とが一致しない場合も少なくありません。例えば、敬意を表す必要がある聞き手に、自分がこれから親類の者を訪ねるということを伝える場合。「これから親類の家に伺います」と言うのはおかしいですよね。「これから親類の家に参ります」が正しい使い方です。「訪ねる」意の「参る」と「伺う」の使い方には注意が必要ですよ。

\次のページで「「お伺い」の対義語は?」を解説!/

「お伺い」の対義語は?

「お伺い」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「諮問」

「諮問」は「しもん」と読み、「意見を尋ね求めること」「下の者や識者の意見を求めること」です。「諮問機関」という言葉を聞いたことはないでしょうか。意味は政策などの意見をたずね求められる有識者やある特定の機関のことです。

その2「諮詢」

「諮詢」は「しじゅん」と読み、「問い図ること」「他の機関の意見を参考として問い求めること」です。「話し合い」や「相談」と同意義。専門家からアドバイスを得る意味合いの言葉なので、専門部門においての使用頻度が高いと言えるでしょう。

「お伺い」の英訳は?

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「お伺い」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「お伺い」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

その1「call on」

「call on」は「人をちょっと訪ねる」という意味の動詞です。「I would like to call at the party by all means」で「パーティーにはぜひ伺いたく存じます」という意味になります。

その2「ask」

「ask」は「尋ねる、問う、聞く」という意味の動詞。「May I ask you one or two questions?」で「1つ2つお伺いしてよろしいですか」という意味になります。

\次のページで「その3「hear」」を解説!/

その3「hear」

「hear」は「…ということを耳にする」という意味があります。「I hear you’re going to Egypt soon」で「近々、エジプトに行かれると伺いました」という意味になりますよ。

「お伺い」を使いこなそう

この記事では「お伺い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「お伺い」に関連して動詞「うかがう」の連用形から転成した「お伺いを立てる」という言葉があります。「お伺いを立てる」は神仏のお告げや目上の意向を仰ぐ意の謙譲表現。また自動詞としての「伺う」の使い方があります。こちらは「ご機嫌を伺う」の意から寄席で客にはなしをするや大勢の人を相手にしてお話をするという意味になりますよ。

「お伺い」は「伺う」という言葉の謙譲表現をさらに高めた言い方です。重複表現ともいえますが、敬意の度合いがより高い表現として用いられているのも事実。ただし「お伺い申し上げます」などは誤用になるので使わないようにしましょう。

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国語言葉の意味

「お伺い」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「お伺い」について解説する。

端的に言えばお伺いの意味は「目上の人に指図を求めること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ライターのflickerを呼んです。一緒に「お伺い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「お伺い」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 26108862

「お伺い」の読み方は「おうかがい」です。平家物語などですでに用いられていた用法ですよ。それでは早速「お伺い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お伺い」の意味は?

「お伺い」には、次のような意味があります。

問題が無いかどうかなどの判断を立場が上の人などに確認すること。

出典:Weblio 辞書

「伺う」は本来、それとなく様子を探ろうとする意味です。このことから、神仏・貴人などの意向を仰ぐ場合に直接的な表現を避けて敬意を表す表現として用いられるようになりました。

また「聞く」「尋ねる」「訪ねる」の意の謙譲語「伺う」はこれらの動作の対象を高め、動作主を相対的に低く待遇します。例えば「聞く」意味の場合は「お聞きする」「聞かせていただく」「お聞かせいただく」などとなりますし、「訪ねる」意味の場合は「お訪ねする」「あがる」「おじゃまする」などと、それぞれほぼ同様に用いられますよ。

「お伺い」の語源は?

次に「お伺い」の語源を確認しておきましょう。

実は「伺う」だけで謙譲語なのです。そのため、「お」と「…する」を付けてさらに謙譲表現を高めた「お伺い」という言葉は不必要な重複にも思われますよね。しかし敬意の度合いがより高い表現として用いられているのも事実。「お伺い申し上げます」や「お伺いいたします」と同様に用いられている場面をよく目にします。

では、「伺わせていただく」という表現はどうでしょうか。こちらも重複表現のように思われるかもしれませんが、実は「伺わせていただく」は不必要な重複ではありません。「聞かせて」もらう」の意味を加えることによってへりくだる趣を増すので間違いではないのです。

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