この記事では「おもねる」について解説する。

端的に言えばおもねるの意味は「気に入られようとする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を持つ茶うさぎを呼んです。一緒に「おもねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/茶うさぎ

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を生かして、いろいろな言葉の意味をわかりやすく広めたいライター。読書が癒しで、忙しくても週2冊程度は読む。

「おもねる」の意味や語源・使い方まとめ

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あなたは、「おもねる」という言葉を聞いたことがありますか?頻繁に耳にする言葉ではないので、「知っていそうで知らない言葉」かもしれませんね。この機会にその意味や使い方をマスターして、語彙力を磨きましょう。

それでは早速、「おもねる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「おもねる」の意味は?

「おもねる」には、次のような意味があります。

気に入られようとする


出典:大辞林(三省堂)「おもねる」

相手に気に入られようと、お世辞を言ったり機嫌を取ったりといった言動を取ることを意味します。こうした言動を非難する意味合いが含まれるので、否定的なニュアンスを持つ言葉です。批評などの場以外では多用しすぎないことが、マナーを損なわないために大切かもしれませんね。

「気に入られようとする」相手は、人だけでなく、例えば「時代」や「権威」などの場合にも使うことができます。

漢字では「阿る」と書きますが、常用漢字には入っていません。漢字の難読問題などでも目にすることがあります。

「おもねる」の語源は?

次に「おもねる」の語源を確認しておきましょう。

漢字で書く場合の「阿」は、「寄り掛かる」という意味を含む漢字です。ここから、相手に気に入られようとする意味合いを持つと考えられます。

\次のページで「「おもねる」の使い方・例文」を解説!/

「おもねる」の使い方・例文

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例文を使って、「おもねる」の使い方を見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あの人が出世したのは、上司におもねったからだ。
2.私の父は、権力には絶対におもねらない人だ。
3.政権が大衆におもねるとき、政策にぶれが生じる。

3つの例文を挙げてみました。

1からは、上司の気に入るようにしたから出世したのだという、批判や嫉妬といった気持ちが垣間見えるようですね。

2からは、父親が権力を意に介しない剛毅な人だという意味合いが感じられます。

3からは、自らの信条を見失って、大衆に気に入られる政策に終始する政権への、批判の気持ちが見て取れるようです。

これらの使い方を見ても、「おもねる」という言葉からは、批判的・否定的なニュアンスが感じられますね

「おもねる」の類義語は?違いは?

それでは、「おもねる」の類義語・同義語にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。それぞれのニュアンスの違いや使い分けについても説明していきます。

その1「迎合する」

「相手に合わせて自分の考えや態度を変え、気に入られるようにすること」という意味です。「おもねる」に比べると、相手の考えや行動などに合わせて気に入られるようにするという、受け身の意味合いが含まれます。気に入られようとする相手の立場の上下を問わず、また人間以外の場合でも使える点でも、「おもねる」に近いと言えるでしょう

\次のページで「その2「へつらう」」を解説!/

その2「へつらう」

「自分より立場が上の者に、お世辞を言うなどして気に入られるように振る舞う」という意味です。常用外ですが、漢字では「諂う」と書きます。

「へつらう」は、気に入られようとする相手が目上の人間の場合に使う言葉なので、「部下にへつらう」「流行にへつらう」などといった使い方をしないよう気を付けましょう。

その3「こびる」

「対等または目下の者に気に入られるように振舞う」という意味です。常用外ですが、漢字では「媚びる」と書きます。

「こびる」は、気に入られようとする相手が対等または目下の人間の場合に使う言葉なので、「上役にこびる」「時流にこびる」などといった使い方は一般的ではありません。

ここまで見た類義語の他にも、「取り入る」「よいしょする」「ごまをする」などの慣用表現が多くあることから、「おもねる」ことは、社会性の動物である人間にとって、昔からなじみ深いことだと言えるのかもしれませんね。

注意!「忖度」は意味が異なる!

「忖度」は「そんたく」と読みます。ニュースなどで聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。この言葉は、「権力者に対して目下の者が気を使うこと」といったニュアンスで、「おもねる」と近しい意味合いで使われることがありますが、本来は「他の人の気持ちを推し量ること」という意味です。「おもねる」という言葉が持つ、気に入られようとする下心は、「忖度」にはないので注意しましょう。

行き過ぎた「忖度」の裏には、「おもねる」気持ちが隠れているのかもしれませんね。

「おもねる」の対義語は?

続いて、「おもねる」の対義語・反対語にはどのようなものがあるでしょうか。実は、「おもねる」の対義語として明確なものはありません。

「おもねる」は「気に入られようとする」という意味ですから、この反対は「気に入られようとしない」「気に入られないようにする」という意味になります。前者は、「おもねらない」となりますし、後者は「避ける」「嫌う」などを、文脈に応じて使っていくことになるでしょう。

「おもねる」の英訳は?

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最後に、「おもねる」を英語で表現するとどのようになるのかを見ていきましょう。

その1「flatter」

「flatter」は「お世辞を言う」「うれしがらせる」などの、「おもねる」に通じる意味を持つ動詞です。どちらかというと、言葉によってご機嫌を取るというニュアンスの、比較的かたい表現になります。

\次のページで「その2「curry favor with」」を解説!/

その2「curry favor with」

熟語としては、「curry favor with」という表現があります。「curry」は動詞で使う場合、「馬にブラッシングをかける」という意味があり、「馬にブラッシングをかけ、飼い主の好意を得る」、つまり「ご機嫌を取る」という意味になるのです。

「おもねる」を使いこなそう

この記事では「おもねる」の意味・使い方・類語などを説明しました。この言葉の意味には、相手に取り入ろうとする下心が前提として含まれるため、その主語となる人を否定する意味合いを持つことが多くなります。人間関係を損なわないように気を付けて、効果的に活用しましょう。

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「おもねる」の意味や使い方は?例文や類語を元塾講師ライターがわかりやすく解説!

この記事では「おもねる」について解説する。

端的に言えばおもねるの意味は「気に入られようとする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を持つ茶うさぎを呼んです。一緒に「おもねる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/茶うさぎ

国語担当の塾講師や豊富な文書作成業務の経験を生かして、いろいろな言葉の意味をわかりやすく広めたいライター。読書が癒しで、忙しくても週2冊程度は読む。

「おもねる」の意味や語源・使い方まとめ

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あなたは、「おもねる」という言葉を聞いたことがありますか?頻繁に耳にする言葉ではないので、「知っていそうで知らない言葉」かもしれませんね。この機会にその意味や使い方をマスターして、語彙力を磨きましょう。

それでは早速、「おもねる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「おもねる」の意味は?

「おもねる」には、次のような意味があります。

気に入られようとする


出典:大辞林(三省堂)「おもねる」

相手に気に入られようと、お世辞を言ったり機嫌を取ったりといった言動を取ることを意味します。こうした言動を非難する意味合いが含まれるので、否定的なニュアンスを持つ言葉です。批評などの場以外では多用しすぎないことが、マナーを損なわないために大切かもしれませんね。

「気に入られようとする」相手は、人だけでなく、例えば「時代」や「権威」などの場合にも使うことができます。

漢字では「阿る」と書きますが、常用漢字には入っていません。漢字の難読問題などでも目にすることがあります。

「おもねる」の語源は?

次に「おもねる」の語源を確認しておきましょう。

漢字で書く場合の「阿」は、「寄り掛かる」という意味を含む漢字です。ここから、相手に気に入られようとする意味合いを持つと考えられます。

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