この記事では「迎合」について解説する。

端的に言えば迎合の意味は「他人に合わせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「迎合」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「迎合」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 10603327

それでは早速「迎合(げいごう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「迎合」の意味は?

「迎合」には、次のような意味があります。

自分の考えを曲げてでも、他人の気に入るように調子を合わせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「迎合」

「迎合(げいごう)」とは、“自分の意見を変えてでも相手に気に入られるよう合わせる”こと。自分の気持ちよりも、相手に好かれようと調子を合わせる様子を指しています。もともとは、相手のご機嫌を取り気に入られようとする「阿附迎合(あふげいごう)」という四字熟語に由来した言葉です。

自分の考えよりも相手に合わせて受け答えするため、相手の言いなりになっている印象を与えます。そのため「迎合」という言葉は、あまり良い印象では使いません。決して褒め言葉ではならないので、使う際にはニュアンスに注意が必要です。

「迎合」の使い方・例文

「迎合」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「迎合」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.この会社の会議では、上司の意見に迎合してしまう風潮がある。良くないことだとわかっているが、そういった意見もなかなか言えない空気だ。
2.大手取引先とはいえ、先方に迎合してばかりでは信頼も失ってしまうだろう。
3.相手に迎合して態度をコロコロ変えてしまっては、周囲からの印象は悪くなる一方だ。
4.彼はニュースを見ては世間の大衆意見に迎合する癖がある。
5.最近のテレビは視聴者層に迎合する番組を作る傾向があるのではないか。

「迎合」とは“相手に合わせて態度や考えを合わせていく”こと。一般的に「迎合する」という使い方をします。

また、例文1~2のようにビジネスシーンで用いることも可能です。ただし「迎合」は印象の悪い行為であり、否定的なニュアンスを与えます。知らずに目上の人に使ってしまうと失礼にあたることが多いので、用いる際には注意しましょう。

「迎合」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 66604621

次に、「迎合」の類義語表現についても見ていきましょう。

その1「媚びを売る」

「媚びを売る(こびをうる)」とは、“相手の機嫌をとるためにへつらう”様子を指す言葉。上の人に気に入られようとすることを意味する表現としても使われます。

「迎合」同様に、相手の機嫌を取ろうとへつらう様子を表した言葉であり、類義語のひとつと言えるでしょう。

ただし「媚びを売る」は「迎合」に比べ、“相手の関心を引く”という目的の方が強く、“自分の意見を捻じ曲げて”“相手に合わせる”というニュアンスは少し弱くなります。それぞれの言葉のニュアンスを正確に抑えておくといいでしょう。

その2「おべっかを使う」

「おべっかを使う」とは、“相手の機嫌を取ろうとへつらったりする”こと。心にもないお世辞を言うことや、その言葉自体を“おべっか”と言います。

この“おべっか”を使って相手に取り入ろうとする様子の「おべっかを使う」も、「迎合」の類義語のひとつです。「おべっかを使う」や「おべっかを言う」などの文で用いられます。

ただし「おべっかを使う」は「媚びを売る」に近い言葉で、“相手の関心を引く”ためのものです。また「媚びを売る」よりも“軽薄なお世辞を言う”という意味が強く、卑屈な印象も与えます。

いずれにしても、この言葉も良い印象は与えません。どの言葉も使う時にはニュアンスに注意が必要です。

\次のページで「「迎合」の対義語は?」を解説!/

「迎合」の対義語は?

ここまで「迎合」の意味や類義語を見てきました。次は「迎合」の対義語についても考えてみます。「迎合」が“相手に合わせる”ことであるならば、“相手に合わせようとしない”態度は反対の意味と言えるでしょう。

ここではそのような意味を持つ言葉を「迎合」の対義語とし、紹介していきます。

その1「反抗」

「反抗(はんこう)」とは、“人の意見や指示などにさからう”こと。権力などにも従わない様子を指します。一般的にもよく用いられる言葉ですね。

「迎合」が“相手に調子を合わせる”のに対し、“相手にさからう”「反抗」は、まさに反対の様子を表現しています。

その2「批判」

「批判(ひはん)」とは、“物事を検討して判定や評価をする”こと。とくに“人や物事の誤りを指摘する”という意味でよく用いられる言葉です。相手の意見に対し否定的な意見を述べる時にも用いられます。

“相手の思考や意見を受け入れる”という「迎合」とは反対に、“誤りや欠点を指摘する”「批判」は反対の意味と言えるでしょう。そのため、この言葉も「迎合」の対義語表現のひとつと言えます。

「迎合」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に、「迎合」の英語表現についても確認していきます。

その1「flatter」

「flatter」とは、“お世辞を言う”様子を指す動詞。過度や偽善にほめそやすことを指し、“おだてる”というニュアンスに近い単語です。

「迎合」を“機嫌を取ろうと相手に調子を合わせる”という意味で用いたい際には、この単語を用いるのが良いでしょう。また「flatter」は広く用いられる言葉のため、英語の一般的な語彙力としても覚えておきたい単語です。

その2「pander」

「pander」も“迎合する”という日本語訳のできる、英単語です。ただしこちらは否定的なニュアンスが強く、“人の欲望などに付け込む”“人の下劣さに合わせる”という意味合いがあります。

「迎合」を否定的なニュアンスを強めて言いたいとき、表現したいときにはこちらの単語を用いた方が適切です。それぞれの意味を理解して、状況に応じて使い分けるといいでしょう。

\次のページで「「迎合」を使いこなそう」を解説!/

「迎合」を使いこなそう

この記事では「迎合」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「迎合」とはあまりふだん使いする言葉ではありません。ですが、自分の意見を変えてでも相手に取り入ろうとする人、状況には覚えがある人が多いのではないでしょうか。ときには「迎合」を余儀なくされることはあるかもしれませんが、自分の意見を大事に、周囲からの信頼を失うような人にはならないよう気をつけたいものですね。

" /> 「迎合」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「迎合」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「迎合」について解説する。

端的に言えば迎合の意味は「他人に合わせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「迎合」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「迎合」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 10603327

それでは早速「迎合(げいごう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「迎合」の意味は?

「迎合」には、次のような意味があります。

自分の考えを曲げてでも、他人の気に入るように調子を合わせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「迎合」

「迎合(げいごう)」とは、“自分の意見を変えてでも相手に気に入られるよう合わせる”こと。自分の気持ちよりも、相手に好かれようと調子を合わせる様子を指しています。もともとは、相手のご機嫌を取り気に入られようとする「阿附迎合(あふげいごう)」という四字熟語に由来した言葉です。

自分の考えよりも相手に合わせて受け答えするため、相手の言いなりになっている印象を与えます。そのため「迎合」という言葉は、あまり良い印象では使いません。決して褒め言葉ではならないので、使う際にはニュアンスに注意が必要です。

「迎合」の使い方・例文

「迎合」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「迎合」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: