
1.党内の反対分子を取り除くため、近々粛清が行われるという情報が流れている。
2.幹部のひとりが粛清されたというニュースが流れ、国民にも動揺が起きた。
3.恐怖政治のなかでは、多くの人が理不尽に逮捕されたり粛清が行われたと言う。
4.古くからの体制のせいで、今の会社は社長の独裁と言っても良い。何か言おうものなら権力ですぐに粛清されてしまうだろう。
「粛清」とは“不純なものを取り除くこと”。自分たちの考え方に合わないものを除いて清らかな状態にしようという考えをもとに、おもに政治や組織、団体などで反対派の異分子を追放する状況で用いられます。
そのため“正しいことで清めている”のではなく、“反対意見をねじ伏せる”様子を意味する言葉です。かなりインパクトが強く、恐怖政治や独裁的なイメージを与えます。使う際にはニュアンスに気をつけるようにしましょう。
言葉自体は、例文1~3のように政治に対して用いたり、例文4のように企業の風土に対して用いることも可能です。
なお「粛清」に処刑の意味を含んで使うこともありますが、本来の「粛清」に処刑の意味は含まれません。
「粛清」と「粛正」の違い
「粛清」に対し、よく混同されがちな言葉に「粛正(しゅくせい)」があります。どちらも読みが同じであること、政治の場で用いられることで混乱することがありますが、それぞれ意味も異なる言葉です。
「粛正」とは、“厳しく不正を取り締まる”こと。「綱紀粛正(こうきしゅくせい)」という四字熟語で用いられることも多く、国家や団体のあり方として、規律や秩序の不正をなくして正しい状態に戻すことを意味します。
「粛清」が“追放する”ことに対し、「粛正」とは“正すこと”。よく似た関連用語ではありますが、両者の違いを理解して用いるように注意しましょう。
その1「排除」
「排除(はいじょ)」とは、“不要なものを取り去る”こと。一般的にもよく用いられ、障害を取り除いたりするほか、政治や人物に対して用いることもできる言葉です。
「粛清」の持つ“内部の不純を追放する”と同義で利用できる、類義語と言えます。
ただし「排除」は否定的な文章以外にも用いることが可能です。また「粛清」ほど強い言葉でもなく、“厳しく取り締まる”という意味もありません。状況やニュアンスに応じて使い分けるようにしましょう。
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