この記事では「粛清」について解説する。

端的に言えば粛清の意味は「取り締まること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「粛清」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「粛清」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「粛清(しゅくせい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「粛清」の意味は?

「粛清」には、次のような意味があります。

厳しく取り締まって、不純・不正なものを除き、整え清めること。特に、独裁政党などで、一体性を保つために反対派を追放すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「粛清」

「粛清(しゅくせい)」とは、“厳しく取り締まることで内部を清める”こと。政治や組織の内部で、反対者を徹底的に追放する際によく用いられます。

「粛」とは“厳しくする”という意味、「清」とは“穢れのない様子”を意味する字です。これらの漢字が示すように、“厳しく不正な者を除く”という意味が「粛清」となります。そしてこれが現在では政治的な意味でも使われるようになり、“組織内の反対者を完全に追放する”という意味合いでも用いられるようになりました。

「粛清」の使い方・例文

「粛清」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「粛清」と「粛正」の違い」を解説!/

1.党内の反対分子を取り除くため、近々粛清が行われるという情報が流れている。
2.幹部のひとりが粛清されたというニュースが流れ、国民にも動揺が起きた。
3.恐怖政治のなかでは、多くの人が理不尽に逮捕されたり粛清が行われたと言う。
4.古くからの体制のせいで、今の会社は社長の独裁と言っても良い。何か言おうものなら権力ですぐに粛清されてしまうだろう。

「粛清」とは“不純なものを取り除くこと”。自分たちの考え方に合わないものを除いて清らかな状態にしようという考えをもとに、おもに政治や組織、団体などで反対派の異分子を追放する状況で用いられます。

そのため“正しいことで清めている”のではなく、“反対意見をねじ伏せる”様子を意味する言葉です。かなりインパクトが強く、恐怖政治や独裁的なイメージを与えます。使う際にはニュアンスに気をつけるようにしましょう。

言葉自体は、例文1~3のように政治に対して用いたり、例文4のように企業の風土に対して用いることも可能です。

なお「粛清」に処刑の意味を含んで使うこともありますが、本来の「粛清」に処刑の意味は含まれません

「粛清」と「粛正」の違い

「粛清」に対し、よく混同されがちな言葉に「粛正(しゅくせい)」があります。どちらも読みが同じであること、政治の場で用いられることで混乱することがありますが、それぞれ意味も異なる言葉です。

「粛正」とは、“厳しく不正を取り締まる”こと。「綱紀粛正(こうきしゅくせい)」という四字熟語で用いられることも多く、国家や団体のあり方として、規律や秩序の不正をなくして正しい状態に戻すことを意味します。

「粛清」が“追放する”ことに対し、「粛正」とは“正すこと”。よく似た関連用語ではありますが、両者の違いを理解して用いるように注意しましょう。

「粛清」の類義語は?違いは?

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次に「粛清」の類義語を紹介します。

その1「排除」

「排除(はいじょ)」とは、“不要なものを取り去る”こと。一般的にもよく用いられ、障害を取り除いたりするほか、政治や人物に対して用いることもできる言葉です。

「粛清」の持つ“内部の不純を追放する”と同義で利用できる、類義語と言えます。

ただし「排除」は否定的な文章以外にも用いることが可能です。また「粛清」ほど強い言葉でもなく、“厳しく取り締まる”という意味もありません。状況やニュアンスに応じて使い分けるようにしましょう。

\次のページで「その2「弾圧」」を解説!/

その2「弾圧」

「弾圧(だんあつ)」とは、“抑えつける”という意味。とくに、支配者が絶対的な権力によって反対勢力の活動を抑圧することを指す言葉です。また不当な圧力をかけて言論の自由を奪う時に「言論の弾圧」と言うこともあります。

「粛清」同様に、圧力によって相手の自由を奪うという点で「弾圧」も類義語表現と言えるでしょう。一方で、「弾圧」には“追放”の意味は含まれません。両者の違いには注意が必要です。

「粛清」の対義語は?

それでは、「粛清」の対義語とはどのようなものになるでしょうか。「粛清」が“厳しく取り締まって浄化する”ということであれば、“いい加減で管理をしない”ことは、反対の意味と言えるでしょう。

ここではそのような意味を持つ言葉として、「粛清」の対義語を解説します。

「放漫」

「放漫(ほうまん)」とは、“でたらめでしまりがない”こと。だらしがない様子や、いい加減な様子を指した言葉です。「放漫経営」「放漫経済」「放漫財政」など、会社や団体の運営に関して多く用いられます。

厳しく取り締まる「粛清」に対し、いい加減でだらしのない「放漫」は反対の意味と言えるでしょう。

「粛清」の英訳は?

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最後に「粛清」の英語表現についても確認していきましょう。

「purge」

「purge」とは“粛清”を英語で表現するときに使う単語。“追放”“除去”という意味も持っている。

史実における「粛清」にも用いられる言葉のため、一般的に英語で「粛清」を言いたい時には、この単語で充分伝わります。語彙力にもなるため、単語をそのまま覚えてしまうのがおすすめです。

\次のページで「「粛清」を使いこなそう」を解説!/

「粛清」を使いこなそう

この記事では「粛清」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「大粛清」や「血の粛清」など、歴史上で見ても恐ろしいイメージがある「粛清」ですが、誤用も多く見られる言葉です。「粛正」との違いを意識し、正しく用いるようにしましょう。

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国語言葉の意味

「粛清」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「粛清」について解説する。

端的に言えば粛清の意味は「取り締まること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「粛清」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「粛清」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「粛清(しゅくせい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「粛清」の意味は?

「粛清」には、次のような意味があります。

厳しく取り締まって、不純・不正なものを除き、整え清めること。特に、独裁政党などで、一体性を保つために反対派を追放すること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「粛清」

「粛清(しゅくせい)」とは、“厳しく取り締まることで内部を清める”こと。政治や組織の内部で、反対者を徹底的に追放する際によく用いられます。

「粛」とは“厳しくする”という意味、「清」とは“穢れのない様子”を意味する字です。これらの漢字が示すように、“厳しく不正な者を除く”という意味が「粛清」となります。そしてこれが現在では政治的な意味でも使われるようになり、“組織内の反対者を完全に追放する”という意味合いでも用いられるようになりました。

「粛清」の使い方・例文

「粛清」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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