この記事では「采配」について解説する。

端的に言えば采配の意味は「士卒を指揮するために振った道具」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「采配」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「采配」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「采配」の意味や語源・使い方まとめ

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采配」は「さいはい」と読みます。スポーツ番組やビジネスシーンで良く使われる言葉ですから知っている人も多いでしょう。ですが、実は「采配」とは、ある道具の事を指すのです。どんな道具か知っていますか?それでは早速「采配」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「采配」の意味は?

まず初めに「采配」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。「采配」には、次のような意味があります。

1.昔、一軍を率いる武将が部下の兵を指揮する時に使った、はたきに似た道具。
出典:新明解国語辞典(三省堂)「采配」

2.てきぱきとさしずして、大勢の人を動かす。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「采配を振る」

上記の通り、「采配」とは、昔、武将が戦争の時に使った道具のことです。長い棒の先に、動物の毛や紙で作った房を細長く垂らしたもので、これを振って兵を動かす合図をしていました。武将が持っていて、兵に合図する道具は、団扇の形をしたもののイメージが強いかも知れませんが、こちらは「軍配」と言われています。

また、「采配を振る」と言う表現が良く使われますが、これは、周囲に指図して大勢の人を動かす様子を意味する慣用句です。

「采配」の語源は?

次に「采配」の語源を確認しておきましょう。

先ほどの意味の項目で「采配」は昔、戦争で将軍が指揮をとるための道具であると説明しましたね。元々は鷹狩りで鷹匠が合図に用いる「麾(ざい)」、犬追物に使われた「再拝(さいはい)」が起源だと考えられています。戦いの際は、この「采配」の長い房を振ることで、兵達へ合図を送ったのです。この「采配」を振る動作が語源となって、集団のリーダーが皆に指示を出し、物事を進めると言う意味の慣用句「采配を振る」ができたと考えられています。

\次のページで「「采配」の使い方・例文」を解説!/

「采配」の使い方・例文

それでは、「采配」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今年、某プロ野球チームに就任した監督は、素晴らしい采配でチームを優勝に導いた。
2.新店舗の店長に就任したからには、地域で売り上げ上位のショップに成長できるよう、思う存分采配を振ってほしい。
3.ウェブでの新サービス開発チームで責任者として采配を取った結果、新会員増加に貢献することができた。

例文1のように、「采配」と言う言葉だけで、作戦や指示を出す、と言う意味に用いることができます。また、この例文のように、スポーツなどでコーチや監督が選手に指示を出しチームを導くことを「采配」と言うことはとても多いです。

例文2は「采配を振る」と言う良く使われる表現ですね。周囲の人々に支持を出し動かすと言うことです。仕事で言うと、上司が部下に指示を出し、業務を遂行していくことですね。良くある間違いとしては「采配を振るう」という言い方がありますが、これは誤用で、正しくは「采配を振る」ですから気をつけましょう。

例文3のように「采配を取る」と言う用法もありますので、併せて覚えておいてください。意味は「采配を振る」と同じです。

「采配」の類義語は?違いは?

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「采配」の類義語には「陣頭指揮」などがあります。

「陣頭指揮」

陣頭指揮」は「じんとうしき」と読みます。陣頭とは、軍の先頭、戦う部隊の一番前の事です。転じて、仕事や活動などの場の第一線のことを指すことが多く、ビジネスシーンでもしばしば耳にします。そして「陣頭指揮」は、将などが前線で指揮を執ることで、つまり、現在で言えば長たる人が直接現場に出て指揮することです。「陣頭指揮を執る」(じんとうしきをとる)などと使われます。また、「陣頭に立つ」と言う同義の表現もありますので覚えておきましょう。これらの言葉は、朝礼や会議などのスピーチなどにも使えそうですね。

それでは「陣頭指揮」の使い方も例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「采配」の対義語は?」を解説!/

経営者自ら陣頭指揮を執ることによって、商品品質、価格へのご意見など、より多くの情報を獲得できるのです。

「采配」の対義語は?

「采配」の対義語としては「黒幕」が挙げられます。

「黒幕」

黒幕」は「くろまく」と読みます。「黒幕」は、もともとは歌舞伎などで場面が変わる際に使われた黒い幕のことでしたが、その背後で仕掛けを操ったり、人を動かすと言うことから、表面には出ないで、指図をしたり、物事をあやつる人のことを指すようになりました。ドラマや小説などでとても良く使われる言葉ですね。「采配」は進んで指揮をとると言う意味合いですから、見えないところで人知れず周囲を操る「黒幕」は対義語と考えられるでしょう。ただし、「黒幕」は、悪事に用いられることが多い言葉ですから使い方には注意が必要です。

それでは、「黒幕」の使い方も例文で確かめてみましょう。

先日連続で訴えられていた無断掲載サイトの黒幕は素人らしいが、愚かな金儲けの方法を考えたものだ。

「采配を振る」の英訳は?

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「采配」は、戦国時代の指揮をとる道具自体のことですから、ここでは、「采配を振る」の英訳を紹介したいと思います。

「采配を振る」の英訳は「take the lead」「take command」が良いでしょう。

「take the lead」「take command」

「采配を振る」は、目的に向かって周囲の人々へ指示を出したり、指揮をとったりすることですから、「lead」と言う単語を使った「take the lead」と英訳できます。これは、指揮をとる、先頭に立つ、と言う意味合いですね。

また、「take command」のように「command」を用いた場合、命令、と言う意味ですから、軍隊などで「采配を振る」と言うイメージにぴったりでしょう。

今回は二つの英訳例を挙げましたが、それぞれニュアンスが違いますから、英訳する時には使い分けて下さいね。

\次のページで「「采配」を使いこなそう」を解説!/

「采配」を使いこなそう

この記事では「采配」の意味・使い方・類語などを説明しました。「采配」は、指揮すること、作戦、と言う意味で用いられていますが、意味と語源の項目で説明した通り、本当は、将軍などが兵士に指示を出すための道具のことです。この「采配」は戦国武将などが手に持っている姿絵などで見る事ができますから、ぜひインターネットなどで画像を検索してみてください。実際の物を見る事でイメージがわきやすく、言葉もしっかりと覚えられるでしょう。

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国語言葉の意味

「采配」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「采配」について解説する。

端的に言えば采配の意味は「士卒を指揮するために振った道具」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「采配」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「采配」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「采配」の意味や語源・使い方まとめ

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采配」は「さいはい」と読みます。スポーツ番組やビジネスシーンで良く使われる言葉ですから知っている人も多いでしょう。ですが、実は「采配」とは、ある道具の事を指すのです。どんな道具か知っていますか?それでは早速「采配」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「采配」の意味は?

まず初めに「采配」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。「采配」には、次のような意味があります。

1.昔、一軍を率いる武将が部下の兵を指揮する時に使った、はたきに似た道具。
出典:新明解国語辞典(三省堂)「采配」

2.てきぱきとさしずして、大勢の人を動かす。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「采配を振る」

上記の通り、「采配」とは、昔、武将が戦争の時に使った道具のことです。長い棒の先に、動物の毛や紙で作った房を細長く垂らしたもので、これを振って兵を動かす合図をしていました。武将が持っていて、兵に合図する道具は、団扇の形をしたもののイメージが強いかも知れませんが、こちらは「軍配」と言われています。

また、「采配を振る」と言う表現が良く使われますが、これは、周囲に指図して大勢の人を動かす様子を意味する慣用句です。

「采配」の語源は?

次に「采配」の語源を確認しておきましょう。

先ほどの意味の項目で「采配」は昔、戦争で将軍が指揮をとるための道具であると説明しましたね。元々は鷹狩りで鷹匠が合図に用いる「麾(ざい)」、犬追物に使われた「再拝(さいはい)」が起源だと考えられています。戦いの際は、この「采配」の長い房を振ることで、兵達へ合図を送ったのです。この「采配」を振る動作が語源となって、集団のリーダーが皆に指示を出し、物事を進めると言う意味の慣用句「采配を振る」ができたと考えられています。

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