この記事では「勘案」について解説する。

端的に言えば勘案の意味は「考え合わせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広報担当者としての経験を持つライター「井上 樹」を呼んです。一緒に「勘案」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/井上 樹

“広報担当者”としての顔を併せ持つライター。「単語の意味レベルでも、誤った情報は発信しない」をモットーにしている。今回は「勘案」について分かりやすく解説していく。

「勘案」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「勘案」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「勘案」の意味は?

「勘案」には、次のような意味があります。

あれこれと考え合わせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「勘案」

「勘案」は「かんあん」と読み、ビジネスシーンや公的機関が出すような文章で使われる言葉です。冒頭で桜木さんが説明したように、「考え合わせる」という意味を持ち、複数の事柄を参考にして、深く考えるというニュアンスがあります。

「総合的に勘案しました」というように、複数の事情を踏まえて考える時に使われるのが一般的です。

また、勘案で使われる“勘”は「ピンと来る」の勘の意味も兼ね備えており、経験したことから推測するという意味合いも含まれています。勘案の具体的な使い方は、後で例文を紹介しますね。

「勘案」の語源は?

次に「勘案」の語源を確認しておきましょう。

使われている漢字を見てみると、「比べ合わせる」という意味をもつ「勘」、そして「考える内容」を表す「案」で出来た形になっています。この2つの言葉が合わさったことで、「勘案」は色んな事柄を比べ合わせて考える、という意味合いを持つ言葉になりました。

「勘案」の使い方・例文

勘案は先ほど「ビジネスシーンや公的機関が出すような文章で使われる」と紹介しましたが、日常会話で使われることはあまりありません。実際にはどんな使われ方をするのでしょうか。以下の例文を見ながら、「勘案」の使い方を理解していきましょう。

\次のページで「「勘案」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.諸事情を勘案して、次のような結論に至った。
2.来年度の予算は、経済状況等を総合的に勘案しながら判断する。
3.双方の意見を勘案した上で、今後の対応を検討する。

例文1のように「~を勘案して」という使い方が一般的です。例文は「色々な事情を考え合わせて、次の結論となりました」という意味になります。例文2のように「総合的に勘案する」もよく使われる表現です。複数の事柄を踏まえて、総合的に考えるというニュアンスを伝えたいときに使います。例文3の勘案の意味は、例文1とほぼ同じです。「勘案した上で」という表現を用いることで、対象の事柄についてはしっかり考慮する、というニュアンスが伝わります。

元々、勘案は“お役所言葉”だということからも、例文のように堅い場面で使われるような表現が多いことがわかりますね。

「勘案」の類義語は?違いは?

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さきほどの例文のように、堅い場面でよく使われることがわかった「勘案」。類義語にはどんな言葉があるのでしょうか。一緒に確認していきましょう。

その1「鑑みる」

鑑みるは「かんがみる」と読み、「過去の例や手本などに照らして考える」という意味です。勘案が複数のことを考え合わせるのに対して、鑑みるは対象の事柄が1つでも使うことができ、“引き合いに出して”考えるという意味合いが強くなります。

以前の失敗に鑑みると、事前の注意が必要だと思われる。

その2「考慮」

「考慮」は、「物事をよく考えること」を表し、意味だけ見ると勘案とほぼ同じです。ただし、考慮には対象の事柄の背景を踏まえて「事情を汲む」というニュアンスがあり、「鑑みる」と同じように「個人の事情だけ」など対象が1つの場合でも使われます。

\次のページで「その3「検討」」を解説!/

本人の希望を考慮して、正式に決定する。

その3「検討」

「検討」の意味は、「よく調べ考えること」です。さらに、色々な面から詳しく調べて、良いかどうか判断するという、「判断までを念頭に入れて考える」というニュアンスがあります。

検討を重ねた結果、今回の採用は見送らせていただくこととなりました。

「勘案」の対義語は?

次に、勘案の対義語にはどんな言葉があるか考えてみましょう。以下で具体的に見ていきますね。

その1「浅慮」

浅慮は「せんりょ」と読み、「考えの浅いこと。あさはかな考え」という意味です。知識などが足りず、浅い考えになってしまうような状況で使われます。

ただし、ビジネスシーンでは「私の浅慮によるものですが」など、謙遜を表す場合に使われることがあるので覚えておきましょう。

その2「短慮」

短慮は「たんりょ」と読み、「考えがあさはかなこと。思慮の足りないこと」という意味を持ちます。先ほどの浅慮と同じような意味合いですね。

ただし、浅慮が“考えの浅さ”を表すのに対して、短慮は気の短さなど、考え以外の部分で足りていないことを表す場合にも使われます。

「勘案」の英訳は?

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最後に、勘案を英訳するとどんな表現になるのかをご紹介しますね。

\次のページで「その1「take A into account」」を解説!/

その1「take A into account」

勘案の英語表現は「take A into account」です。Aの部分に、勘案する際に必要な事柄の単語が入ります。

その2「consider」

「consider」も勘案を表現することのできる英単語です。consider は think よりもじっくりと考えるというニュアンスがあるため、勘案する、考慮するという意味になります。

最後に、それぞれの英語の例文を一つずつご紹介して、今回の勘案についての解説を終わりにしますね。

I take many conditions into account when making a decision.
(決断するときには、いろいろな条件を勘案します。)

All things considered, the plan is difficult to realise.
(すべての点から勘案すると, その計画の実現は難しい。)

「勘案」を使いこなそう

この記事では「勘案」の意味・使い方・類語などを説明しました。

勘案は「複数の事柄を参考にして、深く考える」という意味を持ち、ビジネスシーンなどで使われることがわかりましたね。日常会話ではあまり使われませんが、かしこまった場面などで好んで使用するビジネスパーソンもいます。
ただし、場面や相手によって「勘案」だと堅過ぎると感じる場合は、「深く考える」などと言い換えてみても良いでしょう。

今回説明したように類義語もいくつかあるので、ニュアンスの違いをしっかりと理解して、「勘案」を使いこなしましょう。

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国語言葉の意味

「勘案」の意味や使い方は?例文や類語を広報担当者ライターがわかりやすく解説!

この記事では「勘案」について解説する。

端的に言えば勘案の意味は「考え合わせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広報担当者としての経験を持つライター「井上 樹」を呼んです。一緒に「勘案」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/井上 樹

“広報担当者”としての顔を併せ持つライター。「単語の意味レベルでも、誤った情報は発信しない」をモットーにしている。今回は「勘案」について分かりやすく解説していく。

「勘案」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「勘案」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「勘案」の意味は?

「勘案」には、次のような意味があります。

あれこれと考え合わせること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「勘案」

「勘案」は「かんあん」と読み、ビジネスシーンや公的機関が出すような文章で使われる言葉です。冒頭で桜木さんが説明したように、「考え合わせる」という意味を持ち、複数の事柄を参考にして、深く考えるというニュアンスがあります。

「総合的に勘案しました」というように、複数の事情を踏まえて考える時に使われるのが一般的です。

また、勘案で使われる“勘”は「ピンと来る」の勘の意味も兼ね備えており、経験したことから推測するという意味合いも含まれています。勘案の具体的な使い方は、後で例文を紹介しますね。

「勘案」の語源は?

次に「勘案」の語源を確認しておきましょう。

使われている漢字を見てみると、「比べ合わせる」という意味をもつ「勘」、そして「考える内容」を表す「案」で出来た形になっています。この2つの言葉が合わさったことで、「勘案」は色んな事柄を比べ合わせて考える、という意味合いを持つ言葉になりました。

「勘案」の使い方・例文

勘案は先ほど「ビジネスシーンや公的機関が出すような文章で使われる」と紹介しましたが、日常会話で使われることはあまりありません。実際にはどんな使われ方をするのでしょうか。以下の例文を見ながら、「勘案」の使い方を理解していきましょう。

\次のページで「「勘案」の類義語は?違いは?」を解説!/

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