この記事では「本懐」について解説する。

端的に言えば本懐の意味は「本望」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「本懐」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「本懐」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「本懐(ほんかい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「本懐」の意味は?

「本懐」には、次のような意味があります。

もとから抱いている願い。本来の希望。本意。本望。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「本懐」

「本懐(ほんかい)」とは、“かねてからの望み”“自分の本当の願い”という意味で使われる言葉です。日常会話では「本望(ほんもう)」という言葉の方がよく用いると思いますが、ほぼ同義の意味を持っています。

また「本懐」とは、“もともと抱いていた願い”のことを示すため、ぱっと思いついたものや、昨日今日といった時間で考えた望みには用いられません。長い間抱えていた希望や願いを表すときに使われます。なお「本懐」は「本懐を遂げる」「本懐を果たす」「本懐ではない」といった言葉と繋げて使うのが一般的です。意味と合わせて使い方も抑えておくようにしましょう。

「本懐」の語源は?

次に「本懐」の語源を確認しておきましょう。「本懐」とは四字熟語の「出世本懐(しゅっせのほんがい)」が由来と言われています。この言葉は仏教用語のひとつで、“この世界にお釈迦様が現れた本来の目的”という意味。「出世」がこの世界に釈迦が現れること、「本懐」が“本来の望み”という意味合いで、これが「本懐」の語源になったと言われています。

なお、お釈迦様の目的が何だったのか。「出世本懐」自体の解釈や考え方は宗派によって異なるものです。ですが、「本懐」という言葉の語源はこの四字熟語がもととされています。

また、日本では『男子の本懐』という言葉を用いる場合も。これは男性の軍人がもともと「国のために」と捧げた本懐から生じたとされ、現在では“男のプライド”といった意味で使われることもある言葉です。

\次のページで「「本懐」の使い方・例文」を解説!/

「本懐」の使い方・例文

「本懐」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あの人気ミュージシャンはついに今年、武道館でのライブをするという本懐を遂げた。
2.ニュースでは最新のこの経済政策こそが国の為になるはずだと、その実現が自分が政治家になった本懐だと大臣が言っていた。
3.自分の夢を叶えるため、先輩が転職してしまった。大変な道とは思うが、人間性も素晴らしい人だし、いつか彼の本懐を果たしてほしいと思う。
4.現代とは異なり、戦国時代には武士としての本懐を果たそうと相手に向かっていった者も多かった。

「本懐」とは“長い間抱えている願い”のこと。悲願の達成や目的への意識など、強い気持ちを表現する状況でよく用いられます。

例文1~3のように現在でも使うことが可能です。ただし、日常会話では「本望」を使うことが多く、それよりもややかしこまった印象を与えます。

一方で例文4のように戦国時代などには「国のために」という意味で、武士や侍が使うときは「本懐」を用いることが多いです。それぞれの言葉が与える印象、よく用いられるシーンなども合わせて覚えておきましょう。

「本懐」の類義語は?違いは?

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続いて「本懐」の類義語表現について紹介します。

「宿願」

「宿願(しゅくがん)」とは、“前々から持っていた願い”のこと。長い間の願望のことを言い、仏教用語が由来となった言葉です。「宿願を果たす」や「宿願を達成する」という言い回しで用いられます。

「本懐」同様に“かねてから抱えていた願い”という意味を持ち、類義語のひとつと言えるでしょう。

こちらもあまり日常では多く使われない言葉ですが、類似表現としてあわせて覚えてしまうのがおすすめです。

\次のページで「「本懐」の対義語は?」を解説!/

「本懐」の対義語は?

それでは、「本懐」の対義語表現とはどのような言葉になるでしょうか。「本懐」を“本来の願い”と考えると、“実際の願いとは異なる”言葉や“本心とは違うもの”を表すものは反対の表現と言えるでしょう。

それぞれに当てはまる言葉として、ここではふたつの対義語表現を紹介します。

その1「不本意」

「不本意(ふほんい)」とは、“自分の本当の望みとは異なっている”こと。「不本意ながら~」といった使い方で用いられることが多いです。

「本懐」とは異なり、実際の望みではないという点で「不本意」は「本懐」の対義語のひとつと言えます。

その2「虚言」

「虚言(きょげん)」とは、“うそを言う”こと。他人をあざむいたり、本心ではない言葉を発するときに使われる言葉です。虚言癖という言葉などで現在でも耳にすることがあるでしょう。

自身の本心で“本来の願い”を意味する「本懐」とは反対に、“いつわりの想い”を意味する「虚言」は、対義語表現のひとつと言えます。

なおこの「虚言」という言葉も、仏教用語のひとつです。「虚語(きょご)」や「きょごん」と言うこともありますが、すべて同じ意味を持っています。

「本懐」の英訳は?

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最後に「本懐」の英語表現についても確認していきましょう。

「one's long-cherished desire」

「one's long-cherished desire」とは“長年抱えてきた願い”という意味の英語表現。「cherish」“大事にする”という意味、「desire」とは“願い”という意味を持つ単語です。

「本懐」そのものを指す英単語がないため、どちらかといえば日本語表現に合わせた英語訳と言えます。ですが「本懐」の持つニュアンスを大事に、そのまま伝えたいのであればこの表現で充分です。

「本懐を遂げる」としたい際は「obtain」「attain」などと組み合わせると良いでしょう。

また類語で表現を変えて「one's cherished object」という言い回しもありますが、ほぼ同義です。

\次のページで「「本懐」を使いこなそう」を解説!/

「本懐」を使いこなそう

この記事では「本懐」の意味・使い方・類語などを説明しました。

日常では「本望」を用いることが多く、「本懐」とはあまり使いません。ですが、文学や作品名で使われることもあるので、言葉の意味は正確に覚えておくといいでしょう。

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国語言葉の意味

「本懐」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「本懐」について解説する。

端的に言えば本懐の意味は「本望」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「本懐」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「本懐」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「本懐(ほんかい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「本懐」の意味は?

「本懐」には、次のような意味があります。

もとから抱いている願い。本来の希望。本意。本望。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「本懐」

「本懐(ほんかい)」とは、“かねてからの望み”“自分の本当の願い”という意味で使われる言葉です。日常会話では「本望(ほんもう)」という言葉の方がよく用いると思いますが、ほぼ同義の意味を持っています。

また「本懐」とは、“もともと抱いていた願い”のことを示すため、ぱっと思いついたものや、昨日今日といった時間で考えた望みには用いられません。長い間抱えていた希望や願いを表すときに使われます。なお「本懐」は「本懐を遂げる」「本懐を果たす」「本懐ではない」といった言葉と繋げて使うのが一般的です。意味と合わせて使い方も抑えておくようにしましょう。

「本懐」の語源は?

次に「本懐」の語源を確認しておきましょう。「本懐」とは四字熟語の「出世本懐(しゅっせのほんがい)」が由来と言われています。この言葉は仏教用語のひとつで、“この世界にお釈迦様が現れた本来の目的”という意味。「出世」がこの世界に釈迦が現れること、「本懐」が“本来の望み”という意味合いで、これが「本懐」の語源になったと言われています。

なお、お釈迦様の目的が何だったのか。「出世本懐」自体の解釈や考え方は宗派によって異なるものです。ですが、「本懐」という言葉の語源はこの四字熟語がもととされています。

また、日本では『男子の本懐』という言葉を用いる場合も。これは男性の軍人がもともと「国のために」と捧げた本懐から生じたとされ、現在では“男のプライド”といった意味で使われることもある言葉です。

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