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5分で分かる「水和イオン」塩は水の中でどのように変化する?京大卒の研究者が分かりやすく解説!

よぉ、桜木健二だ。砂糖や塩が水に溶ける、これは普段よく目にする現象だ。ではみんなは「水に物質が溶ける」という現象を具体的に説明できるだろうか。実は水に物質が溶解することで生まれるものが今回学習する「水和イオン」なんだ。
今回はまず水和イオンを形成するもの、形成しないものについて学ぶ。その後に水和イオンを形成するイオン結晶の性質について詳しく学んでいこう。化学に詳しいライター珈琲マニアと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/珈琲マニア

京都大学で化学を学び、メーカーで研究職として勤務しているライター。学生時代の専門である物理化学を中心に、化学に関して幅広い知識を有する。

1.物質の溶解と水和イオン

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固体である砂糖や塩が液体である水に入れると「溶けて消える」、このような溶解現象は身近でよく見られる現象です。ではなぜ固体が溶解すると水中で消えるのでしょうか、物質はどこに消えたのでしょうか。実は溶解という現象は水分子と物質の相互作用を考えることで詳しく説明することが出来ます。

この章ではまず溶解現象について詳しく学び、その後に塩(塩化ナトリウム)のような水和イオンを形成する「電解質」、砂糖のような水和イオンを形成しない「非電解質」の溶解挙動について学んでいきましょう。

1-1.ものが「溶ける」とは

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砂糖や塩などの固体が溶ける、つまり「溶質」が「溶媒」に溶解して「溶液」を作るという現象を詳しく見るため、分子の大きさで現象を見てみましょう。固体は一つ一つのイオンや分子、原子が相互作用することで結晶を形成しています。相互作用の種類によって「イオン結晶」や「分子結晶」などに分類される、ということを高校で勉強した方もいるかもしれませんね。

この結晶を水中に、すなわち大量の水分子の中に入れてみましょう。水中では水分子は熱運動をしているため、結晶は水の中で多数の水分子と衝突します。この水分子との衝突によって固体の表面から結晶構造が壊れていき固体はどんどん縮小して、最終的に固体が完全に消失する。これが「ものが水に溶ける」という現象の正体です。ちなみに一般的に水の温度を高くするほど物質の溶解性は上がりますが、これは水の熱運動が激しくなって固体の結晶を壊しやすくなるためと考えることができます。

1-2.電解質の溶解と水和イオン

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水の熱運動によって固体の結晶構造が壊されること、これが「溶解」だということを学びました。では水によって壊された固体は水中でどんな状態になっているのでしょうか。実は固体の構造によって水中での状態は異なります。まずは塩化ナトリウム(NaCl)について考えてみましょう。

塩化ナトリウムはナトリウムイオン(陽イオン)と塩素イオン(陰イオン)が交互に並んだ「イオン結晶」と呼ばれる物質で、「電解質」とも呼ばれます。一方で水分子(H2O)は水素と酸素の電気陰性度の違いから、酸素に電子が偏っている「極性分子」です。従って、塩化ナトリウムは水中でバラバラになると電気的な相互作用によってナトリウムイオンは水分子の酸素に、塩素イオンは水分子の水素に囲まれます。このように溶質が水に囲まれる現象を「水和」と呼び、水和によって生まれるイオンが「水和イオン」です。

1-3.非電解質の溶解

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次に砂糖の溶解について見ていきましょう。一般的に「砂糖」と呼ばれるのは「ショ糖」であり、「スクロース」と呼ばれる化合物が主な成分です。スクロースの化学構造を以下に示します。スクロースはヒドロキシル基(OH)を多数有しますが、塩化ナトリウムとは異なり、完全なイオンになっているわけではありません。そのため「電解質」と対比させてスクロースは「非電解質」と呼ばれます。

非電解質は水に溶解したときもイオンにはなりません。しかし、スクロースはヒドロキシル基を多数有しているため、極性分子です。そのためスクロースは同じ極性分子である水に囲まれることで電気的な相互作用が発生し、安定化されます。つまり「スクロースは水和するが水和イオンを形成しない」ということですね。

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固体は分子やイオン同士の相互作用によって結晶を作っている。そして水分子は熱運動によって結晶を表面から壊して、結晶から離れて孤立した分子やイオンを囲んでいく。これが水和という現象であり、イオンを水が囲んだときに生成するのが水和イオンだ。

次の章では様々な金属イオンに関する水和イオンや水和物について学んでいくぞ。

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