5分で分かる「分子説」原子や分子の存在を証明する実験とは?京大卒の研究員が丁寧にわかりやすく解説!
2-3.倍数比例の法則
最後にイギリスのドルトンが発見した「倍数比例の法則」について学びます。ドルトンはメタンとエチレンという二つの気体について詳細に解析を行い、炭素量が一定ならばメタンとエチレンの水素量は2対1になることを発見しました。この法則をより一般的に言うと以下の文章で表されます。「AとBから成る化合物が2種類以上あるとき、Aの質量が一定ならばBの質量の比は化合物間で簡単な整数比になる」。
2-4.原子説
Henry Roscoe (author), William Henry Worthington (engraver), and Joseph Allen (painter) – Frontispiece of John Dalton and the Rise of Modern Chemistry by Henry Roscoe, パブリック・ドメイン, リンクによる
以上3つの法則を説明できる仮説として誕生したのが原子説です。原子説は倍数比例の法則を発見したイギリスのドルトンによって提唱されました。原子説は以下の4つの仮説から構成されています。
ドルトンの原子説
1.物質を分解し続けると、それ以上分解できない粒子になる。これを原子と呼ぶ。
2.各元素に固有の大きさ、質量、性質を持つ原子がある。
3.化合物は原子が一定の割合で結合して作られる。
4.化学変化は原子同士の分離、結合によって作られる。化学変化の前後で原子が新たに生成したり消滅することはない。
では、原子説で3つの法則を説明できるか確認していきましょう。まず質量保存の法則については「化学反応前後で原子の生成、消失はない」という仮説で説明され、定比例の法則、倍数比例の法則は「元素ごとに原子の質量が異なる」こと、「化合物は原子が一定の割合で結合してできている」という仮説から説明できます。このように原子説は天秤を使って定量的に得られた実験結果を矛盾なく説明できる、科学に基づいた有力な仮説でした。
3.原子説の破綻と分子説の登場
原子説は科学的に矛盾しない、非常に有力な仮説でした。しかし原子説が誕生してから5年後に原子説では説明できない法則が発見されました。それが「気体反応の法則」です。最後の章では気体反応の法則について学び、この法則を説明できる仮説として登場した分子説について学んでいきましょう。
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