化学原子・元素無機物質物質の状態・構成・変化理科

5分で分かる「対イオン」結晶中のイオンはどんな構造を取る?京大卒の研究員が丁寧に解説!

よぉ、桜木健二だ。食塩として使われている塩化ナトリウム、大理石の主成分である炭酸ナトリウムなどは「イオン結晶」と呼ばれる物質だ。これらは陽イオンと陰イオンが互いに対イオンとなり、電気的に引かれ合うため結晶を形成する。
世の中には様々なイオン結晶が存在している。今日は対イオンの配置、つまり結晶構造に着目してイオン結晶を勉強していこう。化学に詳しいライター珈琲マニアと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/珈琲マニア

京都大学で化学を学び、現在は化学メーカーの研究職として勤務。高校理科の教員免許も所有しており、化学に関する幅広い知識を有するライター。

1.金属の充填構造とイオン結晶の対イオン

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ナトリウムやカリウム、カルシウムなど、自然界に多数存在する金属元素。これらの金属元素の特徴は一つ一つの原子が規則正しく並んでいること、電子が自由に動き回れること、叩いたり引っ張ると薄く伸びるなどの性質を持つことです。そして金属元素は電子を渡しやすい傾向を持つため、電子を受け取りやすいハロゲン元素などに電子を渡すことで「イオン結晶」を形成します。

ところで金属元素の構造として「最密充填構造」といった単語を高校で学んだ方もいるのではないでしょうか。実はこのような「結晶構造」は今回学習するイオン結晶でも重要です。金属単独で結晶を形成したようにイオン結晶では対イオンが規則正しく並ぶことで結晶を形成します。この章でははじめに金属の結晶構造について学んだ後にイオン結晶について詳しく学んでいきましょう。

1-1.金属の結晶構造

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金属元素はすべて周期的に原子が並んだ構造を有していますが、すべての元素が同じ結晶構造を取るわけではありません。立方体の頂点と各面の中心に原子が並んでいる「面心立方格子」、立方体の頂点と中心に原子が存在する「体心立方格子」、底面が正六角形である箱の頂点と上部、下部に原子が存在する「六方最密構造」に分けられます。

ちなみにこのような金属の結晶構造は高校化学のテスト問題だけではなく、大学の無機化学でもよく出てくるので知っておくと何かと便利です。なお面心立方格子、六方最密構造は最も原子の密度が大きい、つまり最大限原子を詰め込んだ構造であるため「最密充填構造」と呼ばれます。

1-2.イオン結晶と対イオン

さて金属の化合物を学ぶにあたって欠かせないキーワードが「イオン結晶」です。最初に述べたとおり、金属原子は電子を渡しやすい傾向があるため、電子を受け取りやすいハロゲン原子などが近づくと電子の移動が発生します。そして電子の移動によって生じた金属の陽イオン、ハロゲンなどの陰イオンが静電気的な引力(クーロン力)によって引かれ合う。これがイオン結晶です(炭素などが形成する「共有結合」とは全く異なる結合であることを確認してくださいね)。

ここで陽イオンと陰イオンを合わせて「対イオン」と呼びます。なおイオン結晶を化学式で書き表すときは結晶を構成するそれぞれのイオンの数を整数比で表しているだけで、実際は無数のイオンが交互に並んだ構造を有することに注意してください。メタノールなどのアルコールや水、アンモニアなどの共有結合から成る化合物のように化学式で「分子1個」を表す場合との違いに気をつけましょう。

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