この記事では「反故」について解説する。

端的に言えば反故の意味は「無かったことにする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「反故」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「反故」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「反故」の意味や語源・使い方まとめ

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反故」の読み方は「ほご」、または「ほうご」「ほぐ」「ほうぐ」と複数あります。普通は「ほご」と読むのが良いでしょう。また、漢字は「反古」と書くこともありますが、「反故」の方が一般的です。「反故」は、あまり口語表現では使われませんが、ビジネスシーンなどで良く用いられますので、これを機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「反故」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「反故」の意味は?

まず初めに「反故」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。「反故」には、次のような意味があります。

1.文字・絵のかいてある紙の不要となったもの。
2.不要の物として捨てる。約束などを一方的に破る。〔反故にする〕
出典:新明解国語辞典(三省堂)「反故」

「反故」と言う言葉は、「反故」と、「反故にする」と言う使い方があり、それぞれ意味が違ってきます。

「反故」は、書きそこなってしまって、使い物にならなくなった紙、と言う意味です。こちらの方がもともと使われていた意味ですが、現在ではあまり用いられません。

そして「反故」を「反故にする」と用いた場合には、約束や契約を勝手に破ることや、不要の物として捨てる、と言う意味になります。ほとんどの場合は前者の約束を破る、と言う意味で使われるでしょう。

「反故」の語源は?

次に「反故」の語源を確認しておきましょう。

「反故」は漢語が語源となった言葉です。「反」は、裏返すと言う意味、「故」は、使用済みの紙を意味しています。つまり、もともとの意味は、使用済みの紙をひっくり返して裏紙を再利用する、と言うことなのです。このことから「反故」は、次第に書き損じの紙自体を指すようになりました。さらに、これが転じて不要になったもの、無駄になってしまったものを「反故」と言うようになりました。

この「反故」を「反故にする」と活用し、約束や契約などをなかったことにする、破棄する、と言う意味で使うようになったのです。

\次のページで「「反故」の使い方・例文」を解説!/

「反故」の使い方・例文

それでは、「反故」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.プリンターの故障のせいで、大量のコピー用紙を反故紙にしてしまった。
2.あの業者は以前一方的に契約を反故にしたことがあり、信用ならないから注意してほしい。
3.図書館の学習室で英語の勉強を一緒にやろうと言ったのに、約束を反故にされた。

例文1の「反故」は、書き損じの紙、と言う意味で使われています。例文のように、「反故紙(ほごし)」と言う言い方もありますので覚えておきましょう。

例文2と例文3の「反故」は、約束や契約を一方的になかったことにする、約束を破る、と言う意味で使われていますね。約束を破る方は「反故にする」、破られた方が「反故にされる」と表現します。

一般的に「反故」は、例文1の書き損じの紙ではなく、例文2、3の、契約や約束をなかったことにする、と言う意味で使われることが多いでしょう。

「反故」の類義語は?違いは?

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「反故」の類義語には、「違約」や「破棄」がふさわしいでしょう。

その1「違約」

違約」は「いやく」と読みます。意味は、契約や約束などにそむくこと、約束を違えることです。「違約金」と言う言葉を良く聞きますが、これは、約束や契約を破ったことで発生する罰則金のことですね。併せて覚えておきましょう。

「違約」は、「反故」を約束や契約を守らないと言う意味で使った場合の類義語と言えるでしょう。相違点は、「反故」が約束自体をなかったことにする、と言う意味合いなのに比べて、「違約」は契約内容や約束と違う、と言う意味合いで使われるところです。

\次のページで「その2「破棄」」を解説!/

その2「破棄」

破棄」は「はき」と読みます。「破」は破る、壊すと言う意味、「棄」は、捨てる、放り出す、と言う意味の漢字です。つまり「破棄」とは、紙や物を破り捨てると言う意味ですね。また、「契約破棄」など、契約や取り決めなどを一方的に取り消すことにも用いられます

「反故」を契約や約束をなかったことにすると言う意味で用いた場合、「反故」にも「破棄」にも、一方的に約束を破る、と言う意味合いがありますから、類義語としてふさわしいでしょう。

「反故」の対義語は?

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「反故」の対義語は「履行」や「遵守」などが挙げられます。

その1「履行」

履行」の読み方は「りこう」です。「履」は、はきもの、や踏む、と言う意味の漢字ですが、守り行うと言う意味も持っています。つまり、「履行」とは、決めたこと言ったことなどを実際に行うこと、実行することです。「履行」は契約に関して使われることが多いので、ビジネスシーンで良く耳にします。

「履行」は、契約や約束を守り実行することですから、「反故」を、契約や約束を破ると言う意味で使った場合の対義語としてふさわしいでしょう。また、否定の接頭語「不」を「履行」に付すると、「不履行」となり、契約や約束を実行しない、と言う意味になりますので「不履行」は「反故」の類義語となります。

その2「遵守」

遵守」は「じゅんしゅ」と読みます。「遵」は、したがう、決まったことを守る、と言う意味の漢字で、「遵守」とは法律や道徳・習慣を守り、従う、と言う意味です。

主に法令に対して使われることが多いですが、契約に関しても用いることができ、「契約遵守」と言う表現で使われます。これは、契約内容をしっかりと守る、と言う意味ですので、「反故」の対義語と言えるでしょう。

「反故」を使いこなそう

この記事では「反故」の意味・使い方・類語などを説明しました。「反故」は日常会話ではなかなか使うことがないかもしれませんが、契約などに関して良く用いられるので、ビジネスシーンでは良く耳にすることがあるでしょう。語源で紹介した通り、「反故」は、使用済みの紙の裏から、使い物にならなくなった紙、と言う意味に変化しました。今も昔も、契約や約束は紙を用いて行われる事がほとんどですから、使い物にならない紙₌契約書、と言うことから、契約や約束を破ると言う意味になったのかも知れませんね。

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「反故」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「反故」について解説する。

端的に言えば反故の意味は「無かったことにする」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「反故」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「反故」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「反故」の意味や語源・使い方まとめ

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反故」の読み方は「ほご」、または「ほうご」「ほぐ」「ほうぐ」と複数あります。普通は「ほご」と読むのが良いでしょう。また、漢字は「反古」と書くこともありますが、「反故」の方が一般的です。「反故」は、あまり口語表現では使われませんが、ビジネスシーンなどで良く用いられますので、これを機会にしっかりと覚えましょう。それでは早速「反故」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「反故」の意味は?

まず初めに「反故」の正確な意味を、辞書からの引用で確かめてみましょう。「反故」には、次のような意味があります。

1.文字・絵のかいてある紙の不要となったもの。
2.不要の物として捨てる。約束などを一方的に破る。〔反故にする〕
出典:新明解国語辞典(三省堂)「反故」

「反故」と言う言葉は、「反故」と、「反故にする」と言う使い方があり、それぞれ意味が違ってきます。

「反故」は、書きそこなってしまって、使い物にならなくなった紙、と言う意味です。こちらの方がもともと使われていた意味ですが、現在ではあまり用いられません。

そして「反故」を「反故にする」と用いた場合には、約束や契約を勝手に破ることや、不要の物として捨てる、と言う意味になります。ほとんどの場合は前者の約束を破る、と言う意味で使われるでしょう。

「反故」の語源は?

次に「反故」の語源を確認しておきましょう。

「反故」は漢語が語源となった言葉です。「反」は、裏返すと言う意味、「故」は、使用済みの紙を意味しています。つまり、もともとの意味は、使用済みの紙をひっくり返して裏紙を再利用する、と言うことなのです。このことから「反故」は、次第に書き損じの紙自体を指すようになりました。さらに、これが転じて不要になったもの、無駄になってしまったものを「反故」と言うようになりました。

この「反故」を「反故にする」と活用し、約束や契約などをなかったことにする、破棄する、と言う意味で使うようになったのです。

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