「頑丈で強そう」という意味で使われる「逞しい」は、男性への褒め言葉というイメージが強い。しかし、女性に対してはどうでしょうか?使っても問題ないのかどうかが気になるところです。

この記事では「逞しい」が女性にも使えるのか、また、意味や語源・使い方や類義語なども解説していく。「逞しい」が持つ3つの意味を知ると、詳しい使い方がわかるぞ。

大学で日本語と日本文学を学び、塾講師時代には国語の指導に力を注いでいたという大の日本語好きのカワナミを呼んです。一緒に説明していきます。

ライター/カワナミ

大学で日本語と日本文学について学び、言葉の楽しさを伝えたい!と、塾講師時代には国語の授業に力を入れていた。言葉を知ると世界が広がると、本気で信じている。

「逞しい」は女性にも使える?

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結論から言うと、「逞しい」は女性にも使える言葉です。性別による使い分けはありません。なぜなら「逞しい」は、身体面で鍛えられていることはもちろん、精神面で頼りがいがあったり、簡単にくじけなかったりする様子も表現するからです。そのため性別にこだわらず子どもやお年寄りであっても、強いメンタルの持ち主だと感じれば「逞しい」と言い表せますよ。

「逞しい」かどうかは、筋肉量がどれくらいだとか、誰かと比較してどうということではなく、見た人・感じた人の判断によります。言われる相手が嫌だと感じていない限り、ポジティブな褒め言葉として使える表現です。

「逞しい」の意味や語源・使い方まとめ

「逞しい」の意味や語源、使い方を詳しく見ていきましょう。

「逞しい」の意味は「頑丈で強そう」

「逞しい」を辞書で調べると次のように記されています。

1.からだが頑丈で、いかにも強そうに見える。「―・い腕」
2. 意志が強く、多少のことではくじけない。「―・い精神」
3.意気や勢いが満ちあふれている。「―・い生命力」「―・い食欲」「想像力が―・い」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「逞しい」

「逞しい」の読みは「たくましい」です。「逞」という漢字の部首はしんにょうではなく、「二点しんにょう」ですので注意しましょう。

意味は3つ「身体が頑丈で強そうなさま」「意志が強いさま」「やる気や勢いが満ちあふれているさま」を表します。身体的精神的、そして周囲から見た雰囲気について、それぞれが、簡単に折れないような強さや勢いを兼ね備えている様子を一言で表したい場合に使える言葉です。

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「逞しい」の語源は雰囲気の逞しさ

「逞しい」の語源は諸説ありますが、いずれも共通しているのは、立派であったり力に満ち溢れている「雰囲気」を指しているという点です。身体的な実際の力強さや精神的な意志の強さは後から派生したと考えられます。元になったとされている言葉は「類勝」(たぐいまさる)「猛増し」(たけまし)「手組み」(たぐみ)などです。

「類勝」(たぐいまさる):他と比べて優れている、立派な様子。
「猛増し」(たけまし):猛々しい。勇敢で強そうである様子。
「手組み」(たぐみ):腕を組んで仁王立ちする猛者の様子。

「手組み」は、例えば東大寺の金剛力士像が腕を組んで立っている姿を想像すると、わかりやすいでしょう。

「逞しい」の使い方・例文

実際の例文を元に「逞しい」の使い方を見ていきましょう。

1.競輪選手の鍛え上げられた太ももは、ガッチリとしていて逞しい。
2.弁当屋のおばあさんは、いつも「100歳まで店を続ける」と宣言している。あの逞しさは見習いたいものだ。
3.産まれたときは本当に小さくか弱く見えた娘が、今では逞しく公園を駆け回っている。

「逞しい」の3つの意味に合わせて、例文を用意しました。例文1では、身体的な「逞しさ」について話しています。例文2で精神的な「逞しさ」として挙げられているのは、店主であるおばあさんの意志の強さです。「逞しい」には、年齢も性別も関係ありませんね。例文3では、「やる気に満ち溢れて」勢いよく走り回る子どもの様子「逞しい」と表現しています。

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「逞しい」の類義語は?違いは?

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「逞しい」と似た意味を持つ言葉をいくつかご紹介します。

「強靭」:しなやかで強いこと

「強靭」(きょうじん)は、「しなやかで強いこと」「柔軟で粘り強いこと」という意味です。「強靭な組織」「強靭な爪」のように人以外の物にも使えます。強いだけでなく、しなやかで柔軟ということは、簡単にへこたれないと言えますね。

「逞しい」と同じく身体面と精神面のどちらにも使える言葉です。ただし「やる気や勢いに満ち溢れている」という雰囲気の逞しさは「強靭」に含まれません

「猛々しい」:勇ましくて強そう

「猛々しい」(たけだけしい)「勇ましくて強そう」という意味の言葉です。雰囲気における「逞しさ」と同じ意味を持っていると言えますね。

しかし「猛々しい」には「図々しい」という意味もあります「盗人猛々しい」という言葉を聞いたことがあるでしょう。「悪事を責められても平然としているさま」を指します。プラスとマイナスの意味を両方持ち合わせた言葉です。

「剛健」:心身ともに強くしっかりしていること

「剛健」「心身ともに強くしっかりしていること」という意味です。「剛」の字は力が強いことや勇ましいこと「健」の字は健やかで体が丈夫なことというニュアンスを含むことから、身体面・精神面のどちらの「逞しさ」も兼ね備えていることがわかります。「逞しい」とは意味も使い方もよく似ている言葉です。

「逞しい」の対義語は?

「逞しい」と反対の意味を持つ言葉もご紹介します。

「か弱い」:いかにも弱い様子

「か弱い」「いかにも弱い様子」を指す言葉です。「か弱い」の「か」接頭語の1つで、その後の言葉を強調する役目があります。「弱い」はほかの物事と比較して弱いときに使いますが、「か弱い」は見るからに身体的な弱さが伝わるというときに使うとよいでしょう。

また、似た言葉に「ひ弱い」があります。どちらも外見からの判断で力が弱いことを指しますが、特に「か弱い」は「可愛らしく弱い」というニュアンスで使うことが可能です。

「弱弱しい」:いかにも弱そうである

「弱弱しい」「弱々しい」とも書きます。「いかにも弱そうである」とか「力や元気がない様子」という意味です。力も元気もないのですから、肉体的にも精神面にも弱そうなさまが伝わってきますね。「弱い」を繰り返すことで、その意味を、さらに強調しています。

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「逞しい」の英訳は?

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最後に「逞しい」の英訳も見ていきましょう。「逞しい」を表す英訳はいろいろとありますが、ここでは「strong」と「powerful」の2つをご紹介します。

「strong」:強い

「strong」「強い」という意味でよく使われる英単語です。この「強い」には、力の強さに限らず、身体が丈夫なことや精神的な強さも含まれるため、「逞しい」と訳せます。また、特に「強い意志」を表したい場合には「strong will」と言うと伝わりやすいでしょう。

「powerful」:逞しい

「powerful」も「strong」と同様、「逞しい」と訳して使える英単語です。「逞しい」以外には「強い、強力な、効果のある」といった意味を持っています。フィジカルとメンタルの両方の強さについて表現することが可能です。

「逞しい」に性別は関係ない

この記事では「逞しい」が女性にも使える言葉なのか、と同時に意味や語源、使い方や類義語などについて解説しました。

「逞しい」が意味するのは「身体が頑丈で強そうなこと」以外にも、「意志が強く簡単にくずれないこと」や「やる気や勢いが満ちあふれている様子」です。女性に使っても何の問題もありません。また身体的な「逞しさ」であっても、鍛えることを好む女性は当然いますから、「逞しい」に男女差は関係ないと言えます。

言葉を扱うときに大切なのは、性別などの先入観よりも、聞いた人がどう思うかです。相手のことを考えた言葉選びを心がけましょう。

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国語言葉の意味

「逞しい」は女性にも使える?意味や語源・使い方・類義語と共に元塾講師ライターがわかりやすく解説!

「頑丈で強そう」という意味で使われる「逞しい」は、男性への褒め言葉というイメージが強い。しかし、女性に対してはどうでしょうか?使っても問題ないのかどうかが気になるところです。

この記事では「逞しい」が女性にも使えるのか、また、意味や語源・使い方や類義語なども解説していく。「逞しい」が持つ3つの意味を知ると、詳しい使い方がわかるぞ。

大学で日本語と日本文学を学び、塾講師時代には国語の指導に力を注いでいたという大の日本語好きのカワナミを呼んです。一緒に説明していきます。

ライター/カワナミ

大学で日本語と日本文学について学び、言葉の楽しさを伝えたい!と、塾講師時代には国語の授業に力を入れていた。言葉を知ると世界が広がると、本気で信じている。

「逞しい」は女性にも使える?

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結論から言うと、「逞しい」は女性にも使える言葉です。性別による使い分けはありません。なぜなら「逞しい」は、身体面で鍛えられていることはもちろん、精神面で頼りがいがあったり、簡単にくじけなかったりする様子も表現するからです。そのため性別にこだわらず子どもやお年寄りであっても、強いメンタルの持ち主だと感じれば「逞しい」と言い表せますよ。

「逞しい」かどうかは、筋肉量がどれくらいだとか、誰かと比較してどうということではなく、見た人・感じた人の判断によります。言われる相手が嫌だと感じていない限り、ポジティブな褒め言葉として使える表現です。

「逞しい」の意味や語源・使い方まとめ

「逞しい」の意味や語源、使い方を詳しく見ていきましょう。

「逞しい」の意味は「頑丈で強そう」

「逞しい」を辞書で調べると次のように記されています。

1.からだが頑丈で、いかにも強そうに見える。「―・い腕」
2. 意志が強く、多少のことではくじけない。「―・い精神」
3.意気や勢いが満ちあふれている。「―・い生命力」「―・い食欲」「想像力が―・い」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「逞しい」

「逞しい」の読みは「たくましい」です。「逞」という漢字の部首はしんにょうではなく、「二点しんにょう」ですので注意しましょう。

意味は3つ「身体が頑丈で強そうなさま」「意志が強いさま」「やる気や勢いが満ちあふれているさま」を表します。身体的精神的、そして周囲から見た雰囲気について、それぞれが、簡単に折れないような強さや勢いを兼ね備えている様子を一言で表したい場合に使える言葉です。

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