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色々と可能性は考えられますが…これらの要因が複雑に絡み合い、熱帯雨林では「幼木は、その親である木の近くにはほとんど生えていない」状態になるのではないか、とジャンゼンは考え、モデルを使って説明したのです。
2.コンネルの観察
一方、ほぼ同時期に同じような説明にたどり着いたのがコンネルでした。
コンネルはオーストラリアで熱帯雨林を観察し、同一種の小さな苗はひとかたまりになって生える傾向があることや、近くに同一種の個体があると小さな苗の致死率が高くなる傾向があることを見出します。
さらに実験では、成木が同じ種類の幼木近くに存在していることが、幼木の成長に影響をあたえることを示唆する結果や、成木の近くに散布された種子が遠くのものよりも捕食されやすいという結果も得ました。
そうです。コンネルも、「それぞれの樹木には、その樹に固有の捕食者・寄生者がおり、近くに生じた幼木にはその外敵が影響を及ぼす」という考えにたどり着きました。
3.「近くに同種が生えにくい」から「森林の多様性」へ
以上のように、ジャンゼンとコンネルはそれぞれ、「成木の近くでは同種の幼木が育ちにくい」という傾向をみいだしました。これは「成木によって来る捕食者や寄生者、病原体の影響を強く受けるため」というのが、要因の一つになっていると説明されていましたね。
森林においてこのような傾向が存在するのであれば、同種の樹木はある程度の間隔をあけてみられるようになるでしょう。

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一方で、ある樹木を特に好む(特異的な)捕食者や寄生者、病原体が同種の幼木に影響を与えるのだとすれば、別種の樹木は受ける影響は少ないと考えられますよね。異なる種の樹木同士であれば、近くに生育することによる悪影響も小さくなるとみられるのです。
つまり、自然に成立している森林においては、それぞれの樹木は比較的ばらばらになるよう分布し、同種ばかりがまとまって生えることは少なくなる。色々な樹種があちこちにみられるような、多様性が保たれる状態になると考えられます。
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