聞きなれない用語かもしれないが、この仮説は森林にみられる多様性を理解するためのヒントになるものです。生態系や環境保護に興味のあるやつは知っておくといいぞ。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。
ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
ジャンゼン・コンネル仮説とは?
今回のテーマである「ジャンゼン・コンネル仮説(J-C仮説)」は、森林中の樹木の分布を左右するメカニズムに関する仮説の一つです。
ダニエル・ジャンゼン(Daniel Janzen)とジョセフ・コンネル(Joseph Connell)という二人の研究者がこの仮説にたどり着いたため、彼らの名前を冠した名称になりました。
ジャンゼン・コンネル仮説の内容を知るためには、実例や考え方の過程を追って見ていくのが一番です。
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さて、話を始める前に…皆さんの住まいの近くや身近なところに、森や林など、樹木がまとまって生えている場所はありますか?もしあれば、ぜひ今すぐにでも足を延ばして、確認してほしいことがあります。それは、”ある種の樹木の周りに、同じ種(樹木)の幼木が生えているか”です。
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公園のように人の手で植生が管理されているところでは、限られた樹木のみが生育しているかもしれませんが、あまり手入れされていないような森林では、多種多様な樹木を見ることができるでしょう。幼木も、生長の進んだ成木もすべて含め、ある1種の樹木がどのように分布しているか、確認してみてください。
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