この記事では「ほっこり」について解説する。

端的に言えばほっこりの意味は「暖かなさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで文学部を卒業したハルを呼んです。一緒に「ほっこり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語も日本酒も大好き。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「ほっこり」の意味や語源・使い方まとめ

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「ほっこり」と聞くと、どんな場面を想像しますか。猫がこたつに入っている様子でしょうか。自分が温泉に入っている時のことでしょうか。リラックスした、癒しの雰囲気を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。実際はどうなのでしょうか。

それでは早速「ほっこり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ほっこり」の意味は?

「ほっこり」には、次のような意味があります。

1.いかにも暖かそうなさま。ほかほか。

2.ふくよかなさま。

3.つやがあって鮮やかなさま。

4.ふかしたさつま芋。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ほっこり」

「温かいご飯を食べてほっこりした」「ほっこりと暖かい部屋」などと使い、実際に物理的にほかほかと暖かいさまを表します。また「よい話を聞かせてもらってほっこりした」といったように、気持ちが暖かくなった心が和らいだ癒されたという場合に使われることもよくありますね。

現在では「ふくよかなさま」「つやがあって鮮やかなさま」の意味ではほとんど使われていません。これらの表現は、古今集遠鏡といった江戸時代の書物の中で使われていました。「ふかしたさつま芋」というのは上方方言で、東海道中膝栗毛(江戸時代)に登場します。

「ほっこり」の語源は?

次に「ほっこり」の語源を確認しておきましょう。

「ほっこり」の語源については諸説あり、息をつく「ほっ」と暖かさを表す「ほこほこ」が関係して生まれた言葉とも考えられています。関西地方の方言に似た言葉があるためそれが語源とも言われていますが、京都では「非常に疲れたさま」、三重では「退屈なさま」、福井では「うんざりしたさま」と地方によってそれぞれに意味が異なります暖かさ安堵感を表す言葉ですが、当初は疲労感や退屈の意味も含まれていたとも考えられます。「ほ」の優しい音の響きから、時間と共に「癒し」や「和み」の意味も含む方向へ変化してきているようです。

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「ほっこり」の使い方・例文

「ほっこり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.祝日特典のクーポンを使った温泉旅行でほっこりできました。
2.居酒屋で、新潟県魚沼産のコシヒカリと大将おすすめの海鮮料理のランチがおいしくてほっこりしました。
3.姪っ子の自慢話がかわいらしくてほっこりしました。

例文を3つ挙げてみました。一つ目は、忙しい日常から逃れ、しかもお得なクーポンを利用して旅行に出るだけでもうきうきするところを、温かい温泉につかって心も体も癒された和らいだ気持ちが伝わってきます。

二つ目は、新潟県出身の方でしょうか。ふと入った居酒屋で懐かしい故郷のお米が食べられて懐かしい気持ちになったこと、おすすめしてくださった温かい料理で心も体も満たされたことが表現されていますね。

三つ目、幼い子供が背伸びしながら話している内容に思わず笑みがこぼれるような、愛おしい暖かい気持ちになったことがよくわかる表現です。その方の表情まで浮かんできそうですね。

「ほっこり」の類義語は?違いは?

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「ほっこり」の類義語について見ていきましょう。

その1「ほかほか」

「ほかほか」は「心地よい暖かさを感じるさま」を表します。適度な暖かさや、ほどよく湯気の立つような温かさを表現する言葉です。「歩いたら体がほかほかと暖かくなった」といったように使われますね。「心がほかほかする」とも使われますが、「ほっこり」のように「癒し」の意味は含みません。また、「ほっこり」の方はその語感のやわらかさからほんのりとした雰囲気を感じることができるでしょう。

\次のページで「その2「ぬくぬく」」を解説!/

その2「ぬくぬく」

「ぬくぬく」は「温温」と書き、「暖かく気持ちがよい状態である様子」を表します。「ベッドの中でぬくぬくと温まる」というと、いつまでもベッドの中にいたくて出たくない気持ちが伝わってきますね。この言葉も「ほっこり」の持つ「癒し」の意味は含まず、満たされる、満ち足りている様子を多く含んでいるところが違いです。

「周囲を気にせず、ずうずうしく振る舞うさま。ぬけぬけ。」という意味も持っていますので、使う場面には気をつけなければなりません。

「ほっこり」の対義語は?

「ほっこり」にはこれといった対義語はありません

強いてあげるなら「冷え冷え」「かっちり」「きりきり」「ひんやり」「ぎすぎす」などが考えられます。ゆったりほんわかと暖かい雰囲気の対義語となる言葉にはどんなものがあるのか、ぜひ考えてみてください。

「ほっこり」の英訳は?

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「ほっこり」を英語で表現するとどうなるでしょうか。

「feel comfortable」

「ほっこり」は英語で「feel comfortable」と表現することができます。「comfortable」には「快適」という意味があり、「心地よく感じる」「安心感を覚える」といったニュアンスです。

他にも「feel relaxed」で「リラックスする」。「feel warm inside」で「心が温かくなる」「ストレスや疲れがとれる」「ほっとする」というニュアンスをより伝えることもできます。

1.I went back to my room and felt comfortable.(自分の部屋にもどってほっこりしました。)

2.After a long time, I ate my mom\'s home cooking and felt relaxed.(久しぶりに母の手料理を食べてほっこりしました。)

3.I feel warm inside to hear kind words from my friend.(友人からの優しい言葉にほっこりしました。)

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「ほっこり」を使いこなそう

この記事では「ほっこり」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ほっこり」は、「暖かなさま」を表す言葉です。江戸時代の書物にも登場していますが、当時は「ふくよかなさま」「つやがあって鮮やかなさま」「ふかしたさつま芋」といった意味でも使われていました。しかし現在その意味で使われることはほとんどありません。また、関西地方の方言では、地方によって「非常に疲れたさま」「退屈なさま」「うんざりしたさま」とそれぞれ違った意味を持っています。「ほっこり」は、時代と共に変化し、その守備範囲を広げ、現在では「暖かくてほっとする」「癒される」「心が和む」といった意味で使われることが多くなっているのです。

時代や地域によって違いがあることを楽しみつつ、ほっこりとした気持ちで使ってみたい言葉ですね。

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国語言葉の意味

「ほっこり」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「ほっこり」について解説する。

端的に言えばほっこりの意味は「暖かなさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで文学部を卒業したハルを呼んです。一緒に「ほっこり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語も日本酒も大好き。現在はアメリカで子育て中につきさらに日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「ほっこり」の意味や語源・使い方まとめ

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「ほっこり」と聞くと、どんな場面を想像しますか。猫がこたつに入っている様子でしょうか。自分が温泉に入っている時のことでしょうか。リラックスした、癒しの雰囲気を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。実際はどうなのでしょうか。

それでは早速「ほっこり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ほっこり」の意味は?

「ほっこり」には、次のような意味があります。

1.いかにも暖かそうなさま。ほかほか。

2.ふくよかなさま。

3.つやがあって鮮やかなさま。

4.ふかしたさつま芋。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ほっこり」

「温かいご飯を食べてほっこりした」「ほっこりと暖かい部屋」などと使い、実際に物理的にほかほかと暖かいさまを表します。また「よい話を聞かせてもらってほっこりした」といったように、気持ちが暖かくなった心が和らいだ癒されたという場合に使われることもよくありますね。

現在では「ふくよかなさま」「つやがあって鮮やかなさま」の意味ではほとんど使われていません。これらの表現は、古今集遠鏡といった江戸時代の書物の中で使われていました。「ふかしたさつま芋」というのは上方方言で、東海道中膝栗毛(江戸時代)に登場します。

「ほっこり」の語源は?

次に「ほっこり」の語源を確認しておきましょう。

「ほっこり」の語源については諸説あり、息をつく「ほっ」と暖かさを表す「ほこほこ」が関係して生まれた言葉とも考えられています。関西地方の方言に似た言葉があるためそれが語源とも言われていますが、京都では「非常に疲れたさま」、三重では「退屈なさま」、福井では「うんざりしたさま」と地方によってそれぞれに意味が異なります暖かさ安堵感を表す言葉ですが、当初は疲労感や退屈の意味も含まれていたとも考えられます。「ほ」の優しい音の響きから、時間と共に「癒し」や「和み」の意味も含む方向へ変化してきているようです。

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