3.代替医療のリスクとベネフィットを考える
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18世紀末当時、提唱者のハーネマンにより「病気や症状を治すことができる」としていましたが、ホメオパシーの理論・効果については、現代医学では、レメディーを用いることはプラセボ効果以上の効果はないとされていますよ。これらのことから、現代医学では、レメディー≠治療薬です。以下、代替医療のリスクとベネフィット(利益)について見ていきましょうね。
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山口県新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故
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代替医療のリスクを考える上で、ホメオパシーによる医療事故が起こっています。ホメオパシー自体は害のないものですが、本来は適切な医療行為を受けなければならない人に対して代わりに施されてしまうと医療事故、最悪の場合死亡事故が起こってしまうのですよ。以下、日本での有名な死亡事故について説明しますね。これは、2009年に山口県山口市で起きた死亡事故です。ある女性が助産師立ち合いのもと、女の子を出産しましたが、生まれて2か月で女の子は硬膜下血腫が原因で亡くなりました。
なぜ生まれたばかりの赤ちゃんが硬膜下血腫で亡くなるのか。原因として考えられているのは、ビタミンK欠乏症によるものであると言われています。
新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故はなぜ起きたか
本来ならば、生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳を介しての栄養補給しかない上、消化器官の成長も未熟ですから、ビタミンンK(血液を固める働き)が不足しがちです。ビタミンKが不足すれば出血しやすい状態になりますよ。
この助産師が自分の判断で、本物のビタミンK(用いるのはシロップ状)を投与せずに、本物のビタミンKと同じ効果を持つと信じていたホメオパシーで用いるレメディを投与していたのです。さらに悪質なことに、母子手帳には、担当医師に気づかれないように「ビタミンK投与」と偽って記載していたのでした。
気分転換としてのホメオパシー
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ホメオパシーでの死亡事故ですが、これはあくまで適切な治療が施されなかったことによるものであるので、ホメオパシー自体が原因というわけではないと思います。代替医療を行う上でベネフィット(利益)はもちろんあると思いますよ。
日本ではあまりなじみがありませんが、イギリスでは、コンプリメンタリー・メディシンというセラピーが盛んに行われているようですよ。これは、病気ではなく、個人の体質や状態に合わせて健康維持のために行うものです。「人間本来が持つ自然治癒力」に重きを置いていますよ。日本で言う、アロマセラピーやハーブ療法もこちらに含まれます。ハーブは生薬にも含まれるものですから、特効性はなくじっくり効いていくものとして考えられていますよ。アロマセラピーなら、香りで気分をリラックスさせたり、逆に集中力を高めたり、その時の気分によって変えられますし、難しい、取扱注意な薬品、器具は用いないので、安全に使用できるかと思いますよ。
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