この記事では「目途」について解説する。

端的に言えば目途の意味は「見当・見通し」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「目途」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「目途」の意味や語源・使い方まとめ

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「目途」は「めど」と読む、という方が多いと思います。しかし本来の読み方は「もくと」だと知っていましたか? また「目途」と似た熟語に「目処」というものも目にしますね。どんな違いがあるのでしょうか。仕事の場面で多く登場する「目途」の正しい使い方や意味をおさえると、ワンランク上のビジネス表現をマスターできますよ。

それでは早速「目途」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目途」の意味は?

「目途」には、次のような意味があります。

目指すところ。目当て。また、物事の見通し。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「目途」

「目途」の意味は「目指すところ、物事の見通し」です。似た熟語である「目処」は、意味が「目指すところ、目標」とわずかに変わります。ほとんど同じ用法で使えるのですが、お役所の書類や公文書などでは「目途」が使われることが多いようです。「目処」はより口語的・日常的表現で、ビジネスシーンで登場するのは「目処」と言えますね。

「目途」も「目処」も一般的には「めど」と読まれますが、正式な読み方は「もくと」です。よって公文書で「目途」とかいてあった場合は、読み方も「もくと」になります。

「目途」の語源は?

次に「目途」の語源を確認しておきましょう。

「目途」は「目処」から作られた言葉と言われています。元々の言葉である「目処」は、植物の「蓍萩(メドハギ)」の古い読み方「めど」に由来。易占いで使う細い竹の棒が昔は「蓍萩(メドハギ)」で作られており、この棒を「めど」と呼んでいました。占いは未来を見通すもの。占いが「めど」と呼ばれるようになり、やがて「めど」という言葉は「将来の見通し」を意味するようになりました。

漢字の「目処」「目途」はいずれも当て字です。はじめは「蓍」でしたが、あまりに難しい字のため易しい漢字を用いるようになりました。

\次のページで「「目途」の使い方・例文」を解説!/

「目途」の使い方・例文

「目途」は様々なシーンで使われます。例文を使って使って見ていくとよく理解できますよ。たとえば以下のように用いられます。

1.年度末を目途に、新規出店計画をまとめ上げてくれ。
2.昨日の事故による電車の遅延は、復旧の目途がいまだに立っていない。
3.状況証拠から犯人の目途は付いたが、決定的な証拠がまだ出ない。

例文1は「~を目途に」という用法です。主に「期限」に対して使われます。例文1は「年度末までの完成を目指して、新規出店計画をまとめてくれ」という上司の指示を意味ですね。

例文2は「目途が立つ」という使い方です。何かが達成される目標が立ったという表現として使えます。例文は「昨日事故があり電車が遅延しているが、復旧がいつ頃になるか目標が立たない」という意味です。

例文3は「目途が付く」という使い方ですが、使用を控えた方が賢明かもしれません。「目途」は「目標」と言い換えが可能な言葉ですが、「目標が付く」とは言いませんよね。よってことばのマナーにに厳しい人は、「”目途が付く”は間違った使い方だ」ということもあります。

「目途」の類義語は?違いは?

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「目途」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるでしょうか?ここからは「目途」の類義語を見ていきましょう。

その1「目標」

「目標」は、「目途」と置き換え可能な表現です。「今月中に10個を目途に納品する」という文章は、そのまま「今月中に10個を目標に納品する」と言い換えられます。「目標」は「目指す成果・手に入れたい結果」という意味で「目途」を使うときの類語です。

\次のページで「その2「見通し」」を解説!/

その2「見通し」

「目途」の類語としてもう一つ、「見通し」を上げておきます。こちらは主に「期限」という意味で「目途」を使うときに置きかえられる類語です。期日や未来を考えたときに「目途」を使うときは、「見通し」とも言い換えても良いでしょう。

「目途」の対義語は?

残念ながら「目途」に対義語はありません。「目途」は目標や見通しという意味でしたよね。目標や見通しに反対言葉はあるでしょうか?思いつきませんよね。よって「目途」にも反対の意味の言葉はないのです。

「目途」の英訳は?

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「目標・見通し」という意味の「目途」。また「目処」との使い分けも分かってきましたね。では英語ではどのように表現するのでしょうか。「目途」の英訳を見てみましょう。

その1「objective」

「目途」を英語にした場合、「goal」「purpose」という到達地点や目的を表す単語もありますが、「objective」が最適です。「目途」は公文書に使われる正式な表現でしたね。「goal」「purpose」より「objective」の方が、英語圏でもお役所や論文など正式な文書で使われる傾向にある単語だからです。実際、「objective」にも「目標」という意味があります。

That is my new objective.
「それが私の新しい目標です」

その2「see the light at the end of the tunnel」

こちらは口語で使われる慣用表現です。読み方は「スィー ザ ライト アット ザ エンド オブ ザ トンネル」、「トンネルの出口にある光を見る」という意味ですね。目標とは長いトンネルを抜けた先にある光を手にするようなもの。目標に向かって前進する様子を言い表しています。

\次のページで「「目途」を使いこなそう」を解説!/

We haven’t seen the light at the end of the tunnel on this big project.
「この大きなプロジェクトの目途はまだ立ちそうにない」

「目途」を使いこなそう

この記事では「目途」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「目途」は「もくと」と読むのが正式であり、使用される場面はお役所や公文書でしたね。日常会話やビジネスシーンで「目標・見通し」という意味で使いたい場合は、「目処」を使う方が無難です。また「目途」は意味が通じにくいケースもあるかもしれません。そんなときは「目標・見通し」と平易な表現に言い換え、円滑なコミュニケーションをとっていきましょう。

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国語言葉の意味

「目途」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「目途」について解説する。

端的に言えば目途の意味は「見当・見通し」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「目途」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「目途」の意味や語源・使い方まとめ

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「目途」は「めど」と読む、という方が多いと思います。しかし本来の読み方は「もくと」だと知っていましたか? また「目途」と似た熟語に「目処」というものも目にしますね。どんな違いがあるのでしょうか。仕事の場面で多く登場する「目途」の正しい使い方や意味をおさえると、ワンランク上のビジネス表現をマスターできますよ。

それでは早速「目途」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「目途」の意味は?

「目途」には、次のような意味があります。

目指すところ。目当て。また、物事の見通し。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「目途」

「目途」の意味は「目指すところ、物事の見通し」です。似た熟語である「目処」は、意味が「目指すところ、目標」とわずかに変わります。ほとんど同じ用法で使えるのですが、お役所の書類や公文書などでは「目途」が使われることが多いようです。「目処」はより口語的・日常的表現で、ビジネスシーンで登場するのは「目処」と言えますね。

「目途」も「目処」も一般的には「めど」と読まれますが、正式な読み方は「もくと」です。よって公文書で「目途」とかいてあった場合は、読み方も「もくと」になります。

「目途」の語源は?

次に「目途」の語源を確認しておきましょう。

「目途」は「目処」から作られた言葉と言われています。元々の言葉である「目処」は、植物の「蓍萩(メドハギ)」の古い読み方「めど」に由来。易占いで使う細い竹の棒が昔は「蓍萩(メドハギ)」で作られており、この棒を「めど」と呼んでいました。占いは未来を見通すもの。占いが「めど」と呼ばれるようになり、やがて「めど」という言葉は「将来の見通し」を意味するようになりました。

漢字の「目処」「目途」はいずれも当て字です。はじめは「蓍」でしたが、あまりに難しい字のため易しい漢字を用いるようになりました。

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