この記事では「ニュートラル」について解説する。

端的に言えばニュートラルの意味は「どれにも属さない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「ニュートラル」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「ニュートラル」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ニュートラル」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ニュートラル」の意味は?

「ニュートラル」には、次のような意味があります。

1.いずれにも片寄らないさま。中立的。中間的。
2.自動車などで、ギアがかみ合わず動力が伝達されない状態。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ニュートラル」

「ニュートラル」は、いろいろな場面において「中間的」という意味合いを持つ言葉です。「どれにも属さない」というニュアンスを覚えると良いでしょう。例えば人間関係において「ニュートラルな立場を貫く」といえば、どちらの肩をもつこともせず中立な立場でいる、ということです。

辞書で確認した2の意味にもあるとおり、「ニュートラル」といえば車のギアの「ニュートラル(Nのギア)」を思いうかべる人もいるでしょう。車の「ニュートラル」とはギアがエンジン動力から離れていて、動力が伝わらない状態のこと。前進(Dのギア)、後進(Rのギア)、停止(Pのギア)のどれでもなく、まさに「どれにも属さない」状態です。こちらの意味も知っておきましょう。

「中立だ」「どちらの見方でもない」と立場をはっきりさせるイメージではなく、「どちらの話も聞くがどちらの肩も持たない」と、風にしなる竹のようなしなやかさを感じる言葉です。

「ニュートラル」の語源は?

次に「ニュートラル」の語源を確認しておきましょう。「ニュートラル」の語源は英語の「neutral」。意味は「中立の」「はっきりしない」などです。日本語の「ニュートラル」とおおむね同じですね。

「neutral」の語源をさかのぼると、ラテン語の「neuter(どちらでもない)」と「-alis」になるそう。「-alis」は単語を形容詞化する接尾辞で、「neutral」の「al」の部分にあたります。「neuter」の語源をさらにたどると、「ne(否定を表す言葉)」と「uter(どちらか)」。「どちらにも属さない」の意味に通じています。

\次のページで「「ニュートラル」の使い方・例文」を解説!/

「ニュートラル」の使い方・例文

「ニュートラル」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先輩の態度をマネしろと言われると抵抗を感じるし、営業先の偉そうな態度も腹が立つ。しかし今後もこの気持ちのままでいるのはトラブルのもとだ。どちらにも考えや背景があるのだと、ニュートラルなものの見方ができるようになりたい。

2.信号待ちのときのクルマ、ギアをニュートラルに入れると省エネになるって聞いたことない?あれって違うんだよ。ギアをNにしても、エンジンの動力が伝わらないだけでアイドリングはしているわけだから、燃費は変わらないんだって。

3.もともとニュートラルカラーの服を多く扱っていた弊社。今年の流行カラーが「ニュートラルカラー」と伝わると、弊社名の検索回数は一気に増加。サイトの情報が最新春アイテムに更新された当日は、アクセスが集中して閲覧できない騒ぎとなった。

1の例文は、心に関係する「ニュートラル」を使った文章です。感情に支配されない心の持ちようを「ニュートラル」と表現します。「先輩の態度は尊敬できない、偉そうな営業先は悪だ」と決めつけるのは、最悪の手となるかもしれませんからね。

2の例文は、車の「ニュートラル」を使った文章です。AT(オートマチックトランスミッション)車において、「N」のギアの使いどきには俗説がいろいろあります。正しい使いどきのひとつは、踏切内などでエンジンが止まった緊急時。ギアをニュートラルにして数人で後ろから押せば、車を踏切の外へ出すことができます。

3の例文は「ニュートラルカラー」という言葉を使った文章です。本来ニュートラルカラーとは、無彩色にあたる白、黒、グレーを指すそう。しかしファッション業界では、ベージュやアイボリーなどの「オフニュートラルカラー(無彩色のようで少し色味を帯びている色)」のことをさして使います。

「ニュートラル」の類義語は?違いは?

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「ニュートラル」の類義語には「フラット」があります。

「フラット」

「フラット」とは、平らで起伏がないこと。「ニュートラル」と「フラット」は、心の状態について使うときに似た意味を持ちます。

「フラット」は、感情に起伏を起こすことなくおだやかな状態のこと。「ニュートラル」は、感情に振り回されず心がしなやかにいられる状態。どちらも心が冷静でいるのをポジティブにとらえている表現です。

「フラット」には「心をゼロにする」というニュアンスもあります。「心をフラットにして世間を見る」という場合、「知っている価値観を抜きにして、心がゼロの状態で世間を見る」という意味。「心をニュートラルにして世間を見る」の場合は、「世間がどのようであっても善悪の区別をつけずに受け止める」という感じでしょうか。

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「ニュートラル」の対義語は?

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「ニュートラル」の対義語には「ひとりよがり」があげられます。

「ひとりよがり」

「ひとりよがり」とは、自分勝手な理屈をつけ、それを絶対正しいとするような態度のことです。漢字で書くと「独り善がり」。つまり「独善」ということですね。「独善的な人」とは、他人のことは見下すようにし、自分の考えだけを正しいと尊重する人のことです。

「ニュートラル」は「どれにも属さない」立場や態度。ある意見にもその反対意見にも耳をかたむけ、どちらにも属さないのがニュートラルです。当然、自分の意見を強く持つことはニュートラルとはいえません

自分の感情を強力に肯定する「ひとりよがり」と、自分の感情に振り回されないように心がける「ニュートラル」。反対の概念をもつ言葉同士といえるでしょう。

「ニュートラル」を使いこなそう

この記事では「ニュートラル」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「ニュートラル」は「どこにも属さない」というニュアンスを持ち、いろいろなシーンで「中間的」であることを表す言葉です。

とらえ方によっては「はっきりしない」「どっちつかず」ともいえるのですが、「ニュートラルなものの見方」「ニュートラルに話をきく」という表現にはポジティブさを感じます。この「どこにも属さない」感じが、日本社会で必要とされているからかもしれませんね。

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国語言葉の意味

「ニュートラル」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「ニュートラル」について解説する。

端的に言えばニュートラルの意味は「どれにも属さない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んです。一緒に「ニュートラル」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/つゆと

子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。

「ニュートラル」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「ニュートラル」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「ニュートラル」の意味は?

「ニュートラル」には、次のような意味があります。

1.いずれにも片寄らないさま。中立的。中間的。
2.自動車などで、ギアがかみ合わず動力が伝達されない状態。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ニュートラル」

「ニュートラル」は、いろいろな場面において「中間的」という意味合いを持つ言葉です。「どれにも属さない」というニュアンスを覚えると良いでしょう。例えば人間関係において「ニュートラルな立場を貫く」といえば、どちらの肩をもつこともせず中立な立場でいる、ということです。

辞書で確認した2の意味にもあるとおり、「ニュートラル」といえば車のギアの「ニュートラル(Nのギア)」を思いうかべる人もいるでしょう。車の「ニュートラル」とはギアがエンジン動力から離れていて、動力が伝わらない状態のこと。前進(Dのギア)、後進(Rのギア)、停止(Pのギア)のどれでもなく、まさに「どれにも属さない」状態です。こちらの意味も知っておきましょう。

「中立だ」「どちらの見方でもない」と立場をはっきりさせるイメージではなく、「どちらの話も聞くがどちらの肩も持たない」と、風にしなる竹のようなしなやかさを感じる言葉です。

「ニュートラル」の語源は?

次に「ニュートラル」の語源を確認しておきましょう。「ニュートラル」の語源は英語の「neutral」。意味は「中立の」「はっきりしない」などです。日本語の「ニュートラル」とおおむね同じですね。

「neutral」の語源をさかのぼると、ラテン語の「neuter(どちらでもない)」と「-alis」になるそう。「-alis」は単語を形容詞化する接尾辞で、「neutral」の「al」の部分にあたります。「neuter」の語源をさらにたどると、「ne(否定を表す言葉)」と「uter(どちらか)」。「どちらにも属さない」の意味に通じています。

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