この記事では「天命」について解説する。「天命」はやや精神的と言うか、わかりやすく表現するとスピリチュアルな側面を持つ言葉です。そのため、科学が発展した現代ではなかなか見る機会がないが、覚えておくとひょんな所で見かけた時に役立つぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「天命」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「天命」ってどういう意味?

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「天命」の意味は以下のとおりです。

1 天の命令。天が人間に与えた使命。
2 人の力で変えることのできない運命。宿命。
3 天の定めた寿命。天寿。
4 天の与える罰。天罰。

4つ意味がありますが、総合して言うと天が人に与えた目に見えない運命という意味です。使命や宿命、寿命、天罰なども含まれます。単に「天命」といっても4種類意味があり、しかも使用者が4つの意味をすべて知っているとも限らないため、意味の区別が必要な言葉です。

反面日常的に頻出する言葉というわけではなく、登場する場面が限定されがちであるため、意味の区別はそれほど難しくはありません。覚えておきさえすれば、どういう意味で使用されているのかの判断は簡単にできるでしょう。

「天命」ってどう読むの?

「天命」の読み方は「てんめい」です。特に変わった読み方というわけでもなく、漢字も難しくないため、慣れれば読み書きは簡単と言えるでしょう。

注意しなければならないのは、考え過ぎによる誤読です。「天命」は意味の中に「宿命/運命/使命」など言葉が織り込まれるため、「天命」と書いて「しゅくめい/うんめい/しめい」などと読むのでは?と考える人がいます。しかしそれは間違いであり、読み方はあくまで「てんめい」です。

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「天命」ってどう使うの?

「天命」は以下のように使用します。

1.ここまで上手くいくのであれば、この仕事を遂行することが私の「天命」なのかもしれない。
2.逃れられない「天命」だと思って、決定を受け入れてくれないか。
3.先日、母が「天命」を全うした。90まで生きたから、決して短くはなかったが、それでも悔やむ気持ちもある。
4.仕事の成績が振るわないのは、あなたが今まで周りの人に偉そうにしてきたからだ。「天命」とでも思っていれば良い。

1は「使命」という意味での使い方です。同様に2は「運命/宿命」であり、3は「天寿/寿命」という意味で使った場合になります。4はやや違和感があるかもしれませんが、「天罰」という意味で使用した例です。

使い方は基本的に難しくなく、分からなければ「使命/宿命/寿命/天罰」などの言葉に置き換えれば、簡単に文章チェックができます。品詞としては名詞であるため、繋がる言葉も難しいことはありません。強いて言えば、「だ/である」などが繋がる場合がやや多いです。

ただし、「天命」は意味がさまざまであるため、使えたとしてもそれが分かりやすいとは限りません。「天命」を使うことにこだわり過ぎず、文脈に応じて「使命/宿命」などの単語も上手く使っていきましょう。

実はいろいろ?「天命」を使った言い回し

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あまり日常的な言葉とは言えない「天命」ですが、実は「天命」を使った言い回しは少なくありません。本記事では一部ではありますが、「天命」を使用した言い回しを紹介します。会話には出てこなくとも、漫画などのメディア作品やキャッチコピーなどに使用されることもあるため、覚えておいて損はないでしょう。

タブーに触れるな!「天命漏らし」とは

「天命漏らし」とは、「天命」を漏らす、つまり「天命」について他人に言いふらすことを言います。「天命」とは運命や使命、宿命や寿命など、未来に関わる意味を持つ言葉です。

占い師などは未来を知ることが職業であり、つまり「天命」を知る能力を持っていると言えます。しかしあまりに具体的かつ詳細に「天命」を教えてしまうと、それを回避される可能性が出てくるわけです。つまり決まっていたはずの「天命」が消失するため、その報いとして「天命」を受けていた者と「天命漏らし」を行ったもの、双方に災いが訪れるとされています。

占い師などがあいまいなことしか言わないのは、これが原因であるという見方もあるようです。

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施設名にもなっている!「天命反転」とは何か?

「天命反転」という言葉もあります。とても簡単にいうと、「死なない/不老不死」という意味です。

「天命」という言葉には寿命、つまり生あるものは皆老いて死ぬという、逃れられない生命の流れという意味があります。それを「反転」させるということは、「天命」に逆らうということ。死ぬというさだめを回避し、永遠に生き続けるという意味があります。

岐阜の養老には「天面反転地」と名付けられた美術公園がありますが、この公園のアートのテーマは「死なないために五感を目覚めさせる」です。実際に公園には数々の体感型アートが常設されていますが、この例のように、施設や作品名において「天命反転」という言葉はしばしば見受けられます。

「人事を尽くして天命を待つ」ってどういう意味?

「天命を待つ」という言葉もあります。有名なことわざでは、「人事を尽くして天命を待つ」というものもありますが、意味は同じです。この場合の天命とは「天罰」にやや近いニュアンスがあり、「天の決定/裁き/審判」という意味が近いでしょう。

人事を尽くすとは、できることはすべてやった、ということです。その上で「天命を待つ」わけなので、意味としてまとめると「自分にできることはもうない。あとは天が味方してくれるのを祈るばかり」という意味になります。それまでの努力が天に評価されれば、きっと良いことが起こる。評価に結びつかなければ、それまでだということです。

「天命」の対義語は?

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「天命」の対義語は2種類あります。「非命」と「人智/人為的」などです。「非命」は「命に非(あら)ず」と書き、文字通り天命ではない運命という意味。天が決めたわけではない成り行き、と考えられるものに使います。

「人智/人為的」は、天が決めたものという意味を持つ「天命」に対し、人が手を加えたもの、人の知恵という意味です。どちらも対義語ではありますが、「天が決めたものではない」と直接「天命」を否定するのが「非命」。天がどうであれ関係なく、そもそも作ったのは人である、という意味を持つのが「人智/人為」です。

「天命」は不要のものか?

はっきり言って、「天命」は非科学的なものです。そして、非科学的なものは根拠が無いとして軽んじられがちなのが今の世の中ですが、「天命」は本当に無用の長物なのでしょうか。

科学的であるとはおそらく誰にも言えません。しかし、科学で説明できなくてもあった方が良いものというのはあるのです。受け入れたくない現実。信じられないことや、思わず祈ってしまうようなことに対し、「天命」と言葉を付けることで、人は自分の心と折り合いをつけてきたと言っても過言ではないでしょう。

常に「天命」を信じるべきとは言いませんが、時には「天命」に頼り、助けてもらうことを覚えておいても、損はありません。

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人間には変えられないもの?「天命」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「天命」について解説する。「天命」はやや精神的と言うか、わかりやすく表現するとスピリチュアルな側面を持つ言葉です。そのため、科学が発展した現代ではなかなか見る機会がないが、覚えておくとひょんな所で見かけた時に役立つぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「天命」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「天命」ってどういう意味?

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「天命」の意味は以下のとおりです。

1 天の命令。天が人間に与えた使命。
2 人の力で変えることのできない運命。宿命。
3 天の定めた寿命。天寿。
4 天の与える罰。天罰。

4つ意味がありますが、総合して言うと天が人に与えた目に見えない運命という意味です。使命や宿命、寿命、天罰なども含まれます。単に「天命」といっても4種類意味があり、しかも使用者が4つの意味をすべて知っているとも限らないため、意味の区別が必要な言葉です。

反面日常的に頻出する言葉というわけではなく、登場する場面が限定されがちであるため、意味の区別はそれほど難しくはありません。覚えておきさえすれば、どういう意味で使用されているのかの判断は簡単にできるでしょう。

「天命」ってどう読むの?

「天命」の読み方は「てんめい」です。特に変わった読み方というわけでもなく、漢字も難しくないため、慣れれば読み書きは簡単と言えるでしょう。

注意しなければならないのは、考え過ぎによる誤読です。「天命」は意味の中に「宿命/運命/使命」など言葉が織り込まれるため、「天命」と書いて「しゅくめい/うんめい/しめい」などと読むのでは?と考える人がいます。しかしそれは間違いであり、読み方はあくまで「てんめい」です。

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