この記事では「意匠」について解説する。

ざっくり言うと意匠の意味は「デザイン」です。ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は法学部卒でWEBメディアのライターをしている野島を呼んです。一緒に「意匠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/野島レミ

WEBメディアのライターとして活動しており、要点を絞った分かりやすい解説が得意。楽しみながら、知識が身に付くような情報を発信する。

「意匠」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「意匠」の意味・使い方を見ていきましょう。

「意匠」の意味は?

普段、聞き慣れない言葉ですが、一体どのような意味なのでしょう。「意匠」を辞書で引くと、次のように意味が書かれています。

①工夫をめぐらすこと。趣向。工夫。海道記「魯般、—窮めて風をなし」。「—を凝らす」

②美術・工芸・工業品などの形・模様・色またはその構成について、工夫を凝らすこと。また、その装飾的考案。デザイン。

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「意匠」

「意匠」は「いしょう」と読みます。考えや内容を示す「意」と、優れた技術を持つ人もしくは、アイディアを示す「匠」の二字から成り立つ熟語です。

2つの意味を合わせて、「作ったものに施した工夫のこと」という意味を持つ単語となっています。

「意匠」の使い方・例文

「意匠」は少し難しい言葉ですが、しっかり意味を把握すれば、語彙力アップに繋がります。

また「意匠」は日常会話として使われながら、次の例文で紹介する「意匠権」や「意匠法」といった法律関連の用語としても、使用されることが多いです。意匠法は、近年ニュースで取り上げられるトピックなので、ぜひ押さえておきたい分野ですね。「初めて聞いた」という方から「なんとなく聞いたことはある」という方まで、ぜひチェックしてみてください。

それでは「意匠」の使い方を、例文と併せて見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「意匠」の類義語は?」を解説!/

1.意匠を凝らした彼の作品は、多くの人から称賛を受けた。
2.意匠権を取得するために、出願の手続きを始める。

それぞれの例文をチェックしましょう。

 

例文1で使われた「意匠」は「デザイン」という意味で、具体的には色や形など、その作品に施された工夫を指しています。また、この例文のように、意匠は「凝らす」という単語と一緒に使われることが多いです。「意匠を凝らす」で「より良いものになるよう、注力して工夫する」という意味になります。

 

例文2で出てきた「意匠権」ですが、これは工業製品のデザインに関する権利のことです。この意匠権には商品の外観が模倣、つまり「まね」されることを防止する役割があります。新しく生み出されたデザインを守り、創作した人が独占してにそのデザインを使用できる権利です。

 

ちなみに、このように工業製品のデザインを保護する法律のことを「意匠法」といいます。意匠権で保護されるのは、カメラや時計、メガネ、デジタル家電など、量産可能な販売品です。私達が普段目にする様々な製品が、意匠権の保護対象となっているのですね。

「意匠」の類義語は?

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それでは「意匠」の類義語について見ていきましょう。意匠の類義語は「趣向」「創意工夫」「設計」などです。この3つの熟語の意味を、使い方と併せて解説していきます。

類義語その1「趣向」の意味は?

「趣向」とは、おもしろさのこと、また、おもしろさを出すための工夫という意味です。「趣向」はビジネスシーンでも使われることがあり、その場合は「方向性」という意味で使われます。

「趣向を変える」や「趣向を凝らす」「趣向的」というような言い回しがあり、芸術面だけでなく幅広い場面で使える表現です。

今までとは少し趣向を変えた、新しい企画にチャレンジしてみよう。

類義語その2「創意工夫」の意味は?

「創意工夫」とは独創的なアイディアを考え、今までにない方法を生み出すことです。

「創意工夫」は「創意」と「工夫」の2つの言葉からできた四字熟語になります。「創意」は新しいアイディアや、新しい物事を考え出そうとすることで、「工夫」はいろいろ考えて良い方法を生み出すことです。

つまり「創意工夫」とは、考えを巡らせながら、今までにない方法を得ようとすることを意味します。

\次のページで「類義語その3「設計」の意味は?」を解説!/

仕事を効率よく進めるには、創意工夫が不可欠だ。

類義語その3「設計」の意味は?

「設計」とは、ある目的を具現化する作業で、何かを制作するにあたり、構造上の多くのことを計画立て、それを図面などで明示すること。主に建築や情報システムの分野で使われることが多い言葉です。

また比喩として「人生や将来に向けた計画を立てること」という意味で使われることもあります。

新しいシステムを開発するにあたり、まずは基礎の設計から始めよう。

「著作権」との違いは?

デザインを保護する法律と聞くと、「著作権」が浮かぶ方もいるかもしれません。どちらも、法律上では「知的財産権」というカテゴリーに属する法律です。加えて権利が発生することで、創作物がまねされることを防ぎ、独占して使用できるという点は一致していますが、主に次のような違いがあります。

意匠権と著作権の違い

       意匠権                 著作権
保護対象   工業製品のデザイン           美術・文化的作品
権利の発生  特許庁に出願し登録されることで発生   創作した時点で自動的に発生
存続期間   20年                  70年

「著作権」は文章や画像、音楽など文化的なものが保護対象となります。著作権の役割は「自分の考えや感情を創作的に表したものを守ること」です。そのため意匠権とは少し趣旨が変わっています。

「意匠権」の保護対象は工業的なデザインです。意匠法の保護対象については、法律上に明記されており、以下のように定義付けされています。

\次のページで「「意匠」の英訳は?」を解説!/

意匠法第二条 

この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。

「意匠」の英訳は?

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続けて意匠の英訳を見ていきます。少しややこしい意味を持つ「意匠」。英語では何と言うのでしょうか。実はこの記事でも繰り返し出てきた、あの英単語です。

「design」

「意匠」は英語で「design」です。日本語でデザインというと芸術的な創作というニュアンスがありますが、英語では設計や図案などの意味合いが強くなります。

もともと意匠にはデザインと近い意味を持っているため、覚えやすいのではないでしょうか。

That design was already decided.

(その意匠はすでに決まっています。)

「意匠」を使いこなそう

この記事では「意匠」の意味・使い方・類語などを説明しました。使い方は少し難しいものの、意味をきちんと理解することで、知識の幅が広がります。

日常会話で使う「意匠」は「デザイン」や「工夫」とほとんど同じ意味なので、ぜひ難しく考えずに使ってみてください。

また、意匠法について興味を持った方は、「著作権」に加え「商標権」についても調べてみると良いかも知れません。知的財産権については近年ニュースになることが増え、注目の話題になっています。時事ニュースの知識も増えていくので、ぜひチェックしてみてください。

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国語言葉の意味

「意匠」の意味や使い方は?例文や類語を法学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「意匠」について解説する。

ざっくり言うと意匠の意味は「デザイン」です。ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は法学部卒でWEBメディアのライターをしている野島を呼んです。一緒に「意匠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/野島レミ

WEBメディアのライターとして活動しており、要点を絞った分かりやすい解説が得意。楽しみながら、知識が身に付くような情報を発信する。

「意匠」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「意匠」の意味・使い方を見ていきましょう。

「意匠」の意味は?

普段、聞き慣れない言葉ですが、一体どのような意味なのでしょう。「意匠」を辞書で引くと、次のように意味が書かれています。

①工夫をめぐらすこと。趣向。工夫。海道記「魯般、—窮めて風をなし」。「—を凝らす」

②美術・工芸・工業品などの形・模様・色またはその構成について、工夫を凝らすこと。また、その装飾的考案。デザイン。

出典:広辞苑 第七版(岩波書店)「意匠」

「意匠」は「いしょう」と読みます。考えや内容を示す「意」と、優れた技術を持つ人もしくは、アイディアを示す「匠」の二字から成り立つ熟語です。

2つの意味を合わせて、「作ったものに施した工夫のこと」という意味を持つ単語となっています。

「意匠」の使い方・例文

「意匠」は少し難しい言葉ですが、しっかり意味を把握すれば、語彙力アップに繋がります。

また「意匠」は日常会話として使われながら、次の例文で紹介する「意匠権」や「意匠法」といった法律関連の用語としても、使用されることが多いです。意匠法は、近年ニュースで取り上げられるトピックなので、ぜひ押さえておきたい分野ですね。「初めて聞いた」という方から「なんとなく聞いたことはある」という方まで、ぜひチェックしてみてください。

それでは「意匠」の使い方を、例文と併せて見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「意匠」の類義語は?」を解説!/

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