
「当職」「弊職」
ビジネスシーンでは、自らをへりくだって言う呼称として「当職」(とうしょく)と「弊職」(へいしょく)があります。どちらも「小職」と似ていますが、違う点もありますので1つずつ説明していきましょう。
「当職」は、「この職業の者」や「この業務を担当する者」などの意味を持った一人称として使われることがあります。ですが、弁護士や公認会計士など、いわゆる士業の人に限った一人称として使うという慣習もあるため、状況によっては会社員が「当職」を使うことは避けたほうがいいかもしれません。
「弊職」は、「小職」と違って一般企業の社員が使っても差し支えないとされます。辞書にも掲載されている言葉です。しかし、「弊職」は「弊社」と「小職」を合わせた造語だとする意見もあり、場合によっては使うのを控えたほうが良いでしょう。代わりに「当方」(とうほう)や「本官」(ほんかん)などを使い分けるべきです。
「小職」の対義語は?
逆に「小職」の対義語は何でしょうか。
「貴職」
「貴職」(きしょく)の本来の意味は「位の高い官職」ですが、「小職」と同じように呼称としても使われます。
「小職」は自らをへりくだって言う一人称に使いますが、「貴職」は相手を敬う場合の二人称として使うものです。そして、「小職」と「貴職」はどちらも一般企業に勤めている人の場合には使いません。主に公務員に対して使う言葉です。さらに「貴職」に限っては、相手が医者や弁護士、市町村長や議員など社会的ステータスの高い人に対しても使います。そういった人たち以外を対象とする場合には、「貴殿」(きでん)などを使ったほうが良いでしょう。
「lowly government servant」「me」
あえて「小職」を英訳するとしたら、その一例は「lowly government servant」となります。直訳すれば「低級官吏」といった具合です。「humble government servant」(大したことのない公務員)という表現も考えられるでしょう。
しかし、そもそも英語では自分をへりくだって言うことがありません。したがって、「小職」は「I」や「me」と訳しても問題ないということになります。

ここで、紹介しきれなかった「小職」の類義語について簡単に説明しておこう。
当方:会社全体や所属部署など、複数名いるときに使う。
小生:男性が自らをへりくだって言うときに使う。
下名:いろいろな状況で使えるが、ビジネスの場では堅苦しい印象を与えてしまう。
本官:警察官や裁判官などが自らをへりくだって言う場合に使う。
\次のページで「「小職」を使いこなそう」を解説!/