この記事では「敵愾心」について解説する。

端的に言えば敵愾心の意味は「相手に対する憤りや憎しみから発する、強い闘争心」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元編集者でライターのflickerを呼んです。一緒に「敵愾心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「敵愾心」の意味や語源・使い方まとめ

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「敵愾心」の読み方は「てきがいしん」です。日常会話においてはなかなか耳にすることがない言葉ですよね。しかし新聞などではよく見かける漢字です。

ここでは、「敵愾心」の意味や使い方について詳しく解説しますので、言葉の意味を覚えるだけでなく、どんな場面で使うべきかを習得していきましょう。それでは早速「敵愾心」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「敵愾心」の意味は?

「敵愾心」には、次のような意味があります。

敵に対していきどおる気持。また、あくまでも相手と争おうとする意気。敵対心。

出典:コトバンク

敵愾心とは、相手に対する憤りや憎しみから発する強い闘争心のことです。強い怒りを覚えた相手に対して憤っている状態を表す言葉ですので、ちょっとした不満を感じた程度の感情には使いません。四字熟語では「敵愾同仇」と表します。また、怒りを表す言葉は相手に対する気持ちの強さによって使い分けをすることはご存じでしょうか。

例えば反感は比較的怒りの程度が低い状態の時に使います。相手のことを不愉快に思っていて好ましくない人物だと考えているのが反感。どんどん怒りの程度が強まると敵愾心、闘争心がメラメラと燃えている状態です。そして怒りのボルテージが最高に高まっている状態の戦意と続き、最後は敵意となります。

「敵愾心」の語源は?

次に「敵愾心」の語源を確認しておきましょう。

「愾」には「いかる」「なげく」という意味があります。息をはずませて怒り、胸を詰まらせて嘆息を漏らすといった状態です。そこに自分に手向かう相手の「敵」が組み合わさり、「敵に対する憤り」「敵と争おうとする意気」という意味になりました。また「愾」には「君主の恨みを晴らそうとする」という意味もあります。

\次のページで「「敵愾心」の使い方・例文」を解説!/

「敵愾心」の使い方・例文

「敵愾心」の使い方について例文を挙げて解説していきますね。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は敵愾心を持っている相手に声を荒らげながら向かっていった。

2.彼女のあまりに失礼な態度が彼の敵愾心を煽り、彼は彼女に罵声を浴びせた。

3.老人はいつかその恨みを晴らすために心の奥底で敵愾心を燃やしている。

例文1は積年の恨みを晴らそうと敵対している相手にまさに立ち向かおうとしている場面を想定しています。ようやく雪辱を果たすときが訪れ、憤っていた気持ちを晴らす好機がやってきた彼は闘志満々。しかし敵愾心を持たれている相手にとっては青天の霹靂だったかもしれませんね。

例文2は彼の堪忍袋の緒が切れた状態です。彼女の態度を見れば、彼をどう思っているかは推して知るべしだといえるほど露骨な態度で接する彼女にも、敵愾心を抱かれる要因があると言えるでしょう。

例文3は敵愾心を抱いている相手に報復することを肝に銘じている状態ですね。時として人から思わぬ怒りを買ったりする場合もあるので、その人の逆鱗に触れないよう慎重に対応していくことが大人の処世術です。

「敵愾心」の類義語は?違いは?

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「敵愾心」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「反感」

「反感」は反抗する感情を表します。嫌悪感を抱いた相手に歯向かう時などに「反感を抱く」などと使われますよ。「怒り心頭に発する」という言葉がありますが、このように心の真ん中で発生した本気の怒りが大噴火している状態とまではいきません。怒りが沸々と湧き上がっている様子です。

\次のページで「その2「戦意」」を解説!/

その2「戦意」

「戦意」は戦おうとする意気込み。激しい憎しみを持っている相手に対して「戦意を燃やしている」などと使いますよ。こちらは反感よりも恨む気持ちが強い状態です。長い時間をかけてじわじわと憎悪の気持ちが強まっていった時に使う言葉でしょう。

その3「敵意」

「敵意」は相手に害を加えようとする心を意味します。怒りを表す表現として「頭にきた」という言い方がありますが、「敵意」はそこに害心が加わった状態を表しますよ。全ての精神力や体力をつぎ込んで相手に打ち勝つ様を言い表します。覚えておきましょう。

「敵愾心」の対義語は?

「敵愾心」と反対の意味を持つ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「友好的」

我がことのように親身になって接してくれる相手のことを「友好的」と言い表します。気さくに話し合えるフレンドリーな関係性ですね。相手に親しみやすさや好感を持てる場合に使います。

その2「好意的」

とても親密な関係性、もしくは好意を寄せている相手に使われる表現です。好感度の高い人、親しみを覚えさせる人、安心感を与えてくれる人などにこのような感情が生まれます。親切にしてもらった時などに相手の好意に甘えるともいいますね。

その3「親近感」

身近なものとして親しみを感じる場合に「親近感」を抱くといいますが、身内の人に使っても問題ありません。親しみを覚えるような出来事があった場合にとても他人事とは思えないと感じるのは当然。価値観は人それぞれですからね。

\次のページで「「敵愾心」の英訳は?」を解説!/

「敵愾心」の英訳は?

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「敵愾心」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「敵愾心」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

その1「antipathy」

「antipathy」は「嫌悪、反感」という意味の名詞です。「feel antipathy to…」で「…に反感を覚える」、「an antipathy」は「相容れない性質」となります。

その2「hostility」

「敵愾心」に最も近い表現がこちらです。「hostility」は「態度に表れた敵意、反感」という意味を持ち、「have hostility….」で「~に敵意を抱く」という意味になります。

その3「hostile」

「hostile」は「敵意のある、反感を持った」といった非友好的な表現になります。また「have hostile relations with…」で「…と敵対関係にある」となりますよ。

「敵愾心」を使いこなそう

この記事では「敵愾心」の意味・使い方・類語などを説明しました。

相手に対する憤りや憎しみから発する強い闘争心が「敵愾心」です。大人には思い取りにいかない状況が多々あります。無理を強いられたり、不快感を与えられたり。そのような時に対抗心や競争意識が強く芽生えます。自分を守るために怒りを表明するのも大人の妙技です。口語ではあまり使われませんが「敵愾心を燃やしている」「敵愾心を煽られる」という具合に使います。

「敵愾心」と「反感」や「敵意」とのニュアンスの違いもしっかり押さえておきましょう。また、「敵対心」と混同して「敵愾心」としないよう注意が必要です。「敵対心」をより強調した表現が「敵愾心」。意味の解釈も間違えないようにしましょう。

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国語言葉の意味

「敵愾心」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「敵愾心」について解説する。

端的に言えば敵愾心の意味は「相手に対する憤りや憎しみから発する、強い闘争心」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元編集者でライターのflickerを呼んです。一緒に「敵愾心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/flicker

仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「敵愾心」の意味や語源・使い方まとめ

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「敵愾心」の読み方は「てきがいしん」です。日常会話においてはなかなか耳にすることがない言葉ですよね。しかし新聞などではよく見かける漢字です。

ここでは、「敵愾心」の意味や使い方について詳しく解説しますので、言葉の意味を覚えるだけでなく、どんな場面で使うべきかを習得していきましょう。それでは早速「敵愾心」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「敵愾心」の意味は?

「敵愾心」には、次のような意味があります。

敵に対していきどおる気持。また、あくまでも相手と争おうとする意気。敵対心。

出典:コトバンク

敵愾心とは、相手に対する憤りや憎しみから発する強い闘争心のことです。強い怒りを覚えた相手に対して憤っている状態を表す言葉ですので、ちょっとした不満を感じた程度の感情には使いません。四字熟語では「敵愾同仇」と表します。また、怒りを表す言葉は相手に対する気持ちの強さによって使い分けをすることはご存じでしょうか。

例えば反感は比較的怒りの程度が低い状態の時に使います。相手のことを不愉快に思っていて好ましくない人物だと考えているのが反感。どんどん怒りの程度が強まると敵愾心、闘争心がメラメラと燃えている状態です。そして怒りのボルテージが最高に高まっている状態の戦意と続き、最後は敵意となります。

「敵愾心」の語源は?

次に「敵愾心」の語源を確認しておきましょう。

「愾」には「いかる」「なげく」という意味があります。息をはずませて怒り、胸を詰まらせて嘆息を漏らすといった状態です。そこに自分に手向かう相手の「敵」が組み合わさり、「敵に対する憤り」「敵と争おうとする意気」という意味になりました。また「愾」には「君主の恨みを晴らそうとする」という意味もあります。

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