この記事では「皮算用」について解説する。

端的に言えば皮算用の意味は「目算」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験したKAIKAIを呼んです。一緒に「皮算用」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の意味には自信あり。

「皮算用」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「皮算用」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「取らぬ狸の皮算用」ということわざを聞いたことがあると思います。妄想ばかりを抱いていて実際にそこにたどり着いていないことをよく言いますね。このことわざに使われている「皮算用」の正確な意味や語源、使い方、類語を詳しく調べてみましょう。

「皮算用」の意味は?

「皮算用」には、次のような意味があります。

《ことわざ「取らぬ狸(たぬき)の皮算用」から》物事がまだ実現しないうちから、それを当てにしてあれこれ計画を立てること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「皮算用」

「取らぬ狸の皮算用」ということわざにある「取らぬ」は「捕らぬ」とか「獲らぬ」と言う字をあてることもあります。「算用」とはお金などを数えることです。そして、「皮算用」とは、まだ手に入っていないものの利益などをあてにして、あれこれと計画をまぐらすことを言います。例えば、ギャンブルでありえない儲けの予想を立てて、それが実現するものと思い込み、その儲け予想をあてにして車を購入する計画を立ててしまったりすることです。

自分のすることに対しては「皮算用」は使わず、「あなたのすることは皮算用だ」といったように相手を責めたり、指摘したりする意味で使われます。具体的には「皮算用をする」とか「皮算用だ」とか「皮算用でしかない」といった表現を使うのです。

「皮算用」の語源は?

次に「皮算用」の語源を確認しておきましょう。

「皮算用」は、ことわざの「取らぬ狸の皮算用」の中で使われている言葉です。昔、狸の毛皮は大変高級なものとされていました。猟師は狸の毛皮を売ってご馳走を食べることを計画していて、狩りの前に買い出しをする人もいたそうです。しかしいざ、狩りに行ってみると狸を捕まえることができません。このように何かをする前に、それが成しとげられた前提で計画をし、結局何も成しとげられなかったことを「取らぬ狸の皮算用」と言うようになりました。

\次のページで「「皮算用」の使い方・例文」を解説!/

「皮算用」の使い方・例文

「皮算用」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は株の解説書を読んだだけで、もうけた気になった。これこそ取らぬ狸の皮算用だ。
2.私の給料をあてにするのは、取らぬ狸の皮算用だ。
3.あそこの店長は皮算用ですので、お店は長く持たないでしょう。
4.あの子とのデートの段取りはしっかりできている。そのためのお小遣いも用意した。取らぬ狸の皮算用だけど、楽しみだなあ。

1、2、4の例はことわざで使われているもので、3の例は「皮算用」という言葉のみ単独で使われているものです。いずれの例もまだ入手できてないものをあてにして、いろいろと計画をたてていることを述べていますが、1~3の例は、なにかをあてにする人のことを責めるようなニュアンスが含まれていますね。4の例は他の例とはちょっと違って、実現は不可能とわかっているけど、楽しい妄想をするという意味で使われています。いずれにしてもこれらの例のように「皮算用」は金銭に関する内容で使われることが多いですね。

「皮算用」の類義語は?違いは?

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「皮算用」の類義語を見てみましょう。

その1「胸算用」

「胸算用」は、「もうけを手にする前から利益を見積もったり計算したりすること」です。「皮算用」が「取らぬ狸の皮算用」ということわざからきているように、「胸算用」も「もうけぬ前の胸算用」ということわざからきています。「皮算用」よりダイレクトに金銭につながる言葉ですね。ビジネスの世界においては売上を目算する場合などによく使われ、もっぱら部下や目下の人に向かって使われる言葉です。「高い方の商品をすすめられたが、胸算用して安い方を買うことにした」などと使います。

\次のページで「その2「あやふや」」を解説!/

その2「あやふや」

「あやふや」は、物事がはっきりせず、不安定な様です。転じて「あぶなっかしくてあてにならないこと」を言います。「皮算用」や「胸算用」のように金銭による利益のみを対象としているのではなく、さまざまなものを対象とするのです。「私の未来はあやふやなので、他の人といっしょになったほうがいい」などと使われます。

「皮算用」の対義語は?

「皮算用」の対義語は何でしょうか。

「瓢箪から駒」

「瓢箪から駒」(ひょうたんからこま)とは思わぬな所から意外なものが出てくることで、ふざけていったことが現実となることの例えでよく使われます。「取らぬ狸の皮算用」のようなことが自力ではなく運で、たまたま実際に起こってしまったことを言うのです。「皮算用」は願い事がなっていないのですが、こちらはかなっているので対義語と言えます。

同じような意味で「棚から牡丹餅」(たなからぼたもち)がありますね。こちらの意味は「思いがけない幸運を得ることや労力を得ずしてよいものを獲得すること」です。

「皮算用」の英訳は?

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「皮算用」の英語表現は何でしょうか。

「catch the bear befor you sell its skin」

「皮算用」の英語表現は「catch the bear befor you sell its skin」です。

英語では、「皮算用」という言葉ではなく、「取らぬ狸の皮算用」と同じ意味のことわざが英訳ということになります。しかし、ここで使われているのは狸ではなく、熊という別の動物になっていますね。欧米においては狸よりも熊の方が高級品として扱われていたのでしょう。

\次のページで「「皮算用」を使いこなそう」を解説!/

「皮算用」を使いこなそう

この記事では「皮算用」の意味・使い方・類語・対義語などを説明しました。

高級な狸の皮を売ればもうかることはわかっていますが、動物が狩りの対象ということもあり、思い通りに捕らえることができるかは不確実です。それなのにすでに手に入ったかのように思い込んで、浪費などをしてしまうと大変な結果になります。現実的には「皮算用」で計画したものはほぼ実現しません。ありもしないことをあてにすることは愚かなことであるという教訓が含まれています。ビジネスの世界でも学問の世界でもしっかり計画をたてて地道に努力をし、その結果が「皮算用」という結果にならないように注意しましょう。

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国語言葉の意味

「皮算用」の意味や使い方は?例文や類語をたくさんの文章を扱ってきたライターがわかりやすく解説!

この記事では「皮算用」について解説する。

端的に言えば皮算用の意味は「目算」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験したKAIKAIを呼んです。一緒に「皮算用」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で言葉の意味には自信あり。

「皮算用」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「皮算用」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「取らぬ狸の皮算用」ということわざを聞いたことがあると思います。妄想ばかりを抱いていて実際にそこにたどり着いていないことをよく言いますね。このことわざに使われている「皮算用」の正確な意味や語源、使い方、類語を詳しく調べてみましょう。

「皮算用」の意味は?

「皮算用」には、次のような意味があります。

《ことわざ「取らぬ狸(たぬき)の皮算用」から》物事がまだ実現しないうちから、それを当てにしてあれこれ計画を立てること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「皮算用」

「取らぬ狸の皮算用」ということわざにある「取らぬ」は「捕らぬ」とか「獲らぬ」と言う字をあてることもあります。「算用」とはお金などを数えることです。そして、「皮算用」とは、まだ手に入っていないものの利益などをあてにして、あれこれと計画をまぐらすことを言います。例えば、ギャンブルでありえない儲けの予想を立てて、それが実現するものと思い込み、その儲け予想をあてにして車を購入する計画を立ててしまったりすることです。

自分のすることに対しては「皮算用」は使わず、「あなたのすることは皮算用だ」といったように相手を責めたり、指摘したりする意味で使われます。具体的には「皮算用をする」とか「皮算用だ」とか「皮算用でしかない」といった表現を使うのです。

「皮算用」の語源は?

次に「皮算用」の語源を確認しておきましょう。

「皮算用」は、ことわざの「取らぬ狸の皮算用」の中で使われている言葉です。昔、狸の毛皮は大変高級なものとされていました。猟師は狸の毛皮を売ってご馳走を食べることを計画していて、狩りの前に買い出しをする人もいたそうです。しかしいざ、狩りに行ってみると狸を捕まえることができません。このように何かをする前に、それが成しとげられた前提で計画をし、結局何も成しとげられなかったことを「取らぬ狸の皮算用」と言うようになりました。

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