この記事では「モチーフ」について解説する。

端的に言えばモチーフの意味は「主要な思想や題材」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「モチーフ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としているライター、柊 雅子。モチーフを繋ぎ合わせたベットカバーを眺めて「人生ってこんな風に色んな出来事を繋ぎ合わせて出来上がっていくもの」と思ったという。そんな柊 雅子が「モチーフ」について解説する。

「モチーフ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「モチーフ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「モチーフ」の意味は?

「モチーフ」には、次のような意味があります。

1.文学・美術などで、創作の動機となった主要な思想や題材。

2.音楽で、固有の特徴・表現力をもち、楽曲を構成する最小単位となる音型。動機。

3.毛糸編みやレース編みで、いくつかの小片をつなぎ合わせて作る場合、その個々に編んだ小片。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「モチーフ」

芸術や文学において何かを表現しようとする人、或いはそれらを鑑賞する人にとって「モチーフ」という言葉は馴染み深い言葉でしょう。編み物等の手芸をする人も知っている言葉ですよね。

モチーフは創作活動においてよく用いられる言葉ですが、その意味は用いられる分野によって異なります。「モチーフ」はどのような意味で用いられているのか、分野別にみていきましょう。

芸術、文学で用いられる「モチーフ」

以前、アクセサリーの制作過程を追ったドキュメンタリー番組を観ていた時のこと。宝石のカットを行う職人の方が「ペンダントヘッド(胸元にくる飾り)やリングを作りながら、常に仕上がった時の美しさを思い描く」と語っていました。この職人の方にとっては「完成した時の美しさ」がカットを行う動機(モチーフ)となる題材ですね。

また詩人萩原朔太郎は地面から力強く青々と伸びる「竹」とその地下に絡まる「根」を使って自分の内面を表現しました。朔太郎が自分の内面を反映させたものが「竹」ですね。このようにモチーフ「創作活動の動機となる題材」という意味だけではなく、「テーマを表現するために用いられる題材」という意味もあります。モチーフは作品のテーマを描くさまざまな要素を指す場合もあり、このような「モチーフ」の集合体が作品となるわけです。

\次のページで「その1音楽で用いられる「モチーフ」」を解説!/

その1音楽で用いられる「モチーフ」

音楽では曲の最小単位を指し「動機」と言われる「モチーフ」。例えばAという曲を分解してみると、次のようになります。

A曲は先ず分解されて「ブロック」という形の集まりに。「ブロック」は「フレーズ」という集まりに分解。そして「フレーズ」は「モチーフ」の集合体に分解され、この「モチーフ」が曲としての形を成す最小単位となっているのです。

その2編み物等で用いられる「モチーフ」

レースや毛糸で、同じ形に編まれた形のピースを繋ぎ合わせたクッションカバー等を見たことはありませんか?

よく見かけるのは正方形を繋ぎ合わせたもの。ベビーや子供服のデザインとしても用いられるこの手法は「モチーフ編み」といい、繋ぎ合わせされているピースの一つ一つを「モチーフ」といいます。モチーフ編みには「四角モチーフ」「丸モチーフ」「花モチーフ」等多くの種類があるのです。

その3デザインで用いられる「モチーフ」

ペコちゃんで有名な不二家の企業マークは楕円形の中にアルファベットのFの文字がありますよね。

この不二家の頭文字であるアルファベットのFがこの企業マークを作るもとになったもの。このように何かをデザインする時、そのもとになったものを「モチーフ」というのです。また、唐草模様のようにパターン化して繰り返して使われるデザインのことも「モチーフ」といいます。

「モチーフ」の語源は?

次に「モチーフ」の語源を確認しておきましょう。

「モチーフ」はフランス語の「motif」をカタカナ表記したもの。意味は「動機」「主題」「理由」です。また英語にも「motive」という単語があり、こちらの意味は「動機」。これらの語源はラテン語「moveo」(動かす)、「motor」(動かすもの)mote」(動かす)です。

「モチーフ」の使い方・例文

「モチーフ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.この作品は死生観をモチーフにしている。

2.睡蓮はモネがモチーフとして繰り返し描いた。

3.彼女はモチーフ編みで生まれてくる赤ちゃんのおくるみを作った。

例文1,2は「創作の動機となった主要な思想や題材」という意味で用いられている「モチーフ」。

死生観とは「死と生についての考え方」。これは人間にとって永遠のテーマといっても良いもので、映画「おくりびと」「リメンバー・ミー」「最高の人生の見つけ方」など、これらは死生観をテーマとした作品として名高いものです。文学作品では吉本ばなな「キッチン」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、レオ・バスカーリア「葉っぱのフレディ~いのちの旅~」他にも多くの作品があります。

モネの「睡蓮」は有名な油絵のシリーズ作品。モネが自宅に作った池に睡蓮が咲く風景を描いたものです。モネの晩年30年間に約250枚が描かれました。

例文3は編み物で用いられる「モチーフ」。個々のモチーフを繋ぎ合わせるには「とじ針で繋ぐ」「引き抜き編みで繋ぐ」「くさり編みで繋ぐ」という方法があります。

「モチーフ」の類義語は?違いは?

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「主要な思想や題材」といった意味をもつ「モチーフ」にはどのような類義語があるのでしょう。

「コンセプト」

「コンセプト」は「根本にある考え方」という意味。「それを形作る柱となっているもの」が「コンセプト」です。

「創作の動機となった主要な思想や題材」という意味をもった「モチーフ」と同じ意味合いの言葉ですね。

「モチーフ」の対義語は?

それでは続いて対義語をみていきましょう。

「大塊」(たいかい)

「大塊」はモチーフを「小片」という意味で捉えた場合の対義語。「大塊」とは「大きな塊」という意味。「小片」は「小さな一片」という意味なのでその対義語は「大塊」ということになります。

\次のページで「「モチーフ」の英訳は?」を解説!/

「モチーフ」の英訳は?

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フランス語の「motif」をカタカナ表記した「モチーフ」。英語ではどのように用いられているのでしょう。

英文1. Many Japanese family crests are designed with a plant motif.

            日本の家紋は植物をモチーフにデザインされたものが多い。

英文2. She composed in combination a unique motive.

            彼女は独特なモチーフを組み合わせて作曲した。

英文1と英文2では用いられているモチーフのスペルが 「motif」「motive」と異なります。

英文1はデザインのもとになったものという意味のモチーフ。直訳は「多くの日本の家紋は植物のモチーフでデザインされている」となります。そして英文2は音楽の動機として用いられる「モチーフ」です。日本ではどちらも「モチーフ」で表されますが、英語では用いられる単語が異なるのですね。

「モチーフ」を使いこなそう

この記事では「モチーフ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「モチーフ」は用いられる分野によって意味が異なり、文学では色々な意味で用いられることがわかりましたね。また英語では二種類の「モチーフ」が使い分けされていることもわかりました。

家紋のデザインに用いられているモチーフは植物が一番多いのですが、この機会に自分の家の家紋を調べてみてはどうでしょう。ちなみに我が家の家紋は「抱き茗荷」です。

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国語言葉の意味

「モチーフ」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「モチーフ」について解説する。

端的に言えばモチーフの意味は「主要な思想や題材」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「モチーフ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としているライター、柊 雅子。モチーフを繋ぎ合わせたベットカバーを眺めて「人生ってこんな風に色んな出来事を繋ぎ合わせて出来上がっていくもの」と思ったという。そんな柊 雅子が「モチーフ」について解説する。

「モチーフ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「モチーフ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「モチーフ」の意味は?

「モチーフ」には、次のような意味があります。

1.文学・美術などで、創作の動機となった主要な思想や題材。

2.音楽で、固有の特徴・表現力をもち、楽曲を構成する最小単位となる音型。動機。

3.毛糸編みやレース編みで、いくつかの小片をつなぎ合わせて作る場合、その個々に編んだ小片。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「モチーフ」

芸術や文学において何かを表現しようとする人、或いはそれらを鑑賞する人にとって「モチーフ」という言葉は馴染み深い言葉でしょう。編み物等の手芸をする人も知っている言葉ですよね。

モチーフは創作活動においてよく用いられる言葉ですが、その意味は用いられる分野によって異なります。「モチーフ」はどのような意味で用いられているのか、分野別にみていきましょう。

芸術、文学で用いられる「モチーフ」

以前、アクセサリーの制作過程を追ったドキュメンタリー番組を観ていた時のこと。宝石のカットを行う職人の方が「ペンダントヘッド(胸元にくる飾り)やリングを作りながら、常に仕上がった時の美しさを思い描く」と語っていました。この職人の方にとっては「完成した時の美しさ」がカットを行う動機(モチーフ)となる題材ですね。

また詩人萩原朔太郎は地面から力強く青々と伸びる「竹」とその地下に絡まる「根」を使って自分の内面を表現しました。朔太郎が自分の内面を反映させたものが「竹」ですね。このようにモチーフ「創作活動の動機となる題材」という意味だけではなく、「テーマを表現するために用いられる題材」という意味もあります。モチーフは作品のテーマを描くさまざまな要素を指す場合もあり、このような「モチーフ」の集合体が作品となるわけです。

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