この記事では「不躾」について解説する。

端的に言えば不躾の意味は「無作法」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「不躾」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「不躾」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「不躾」の意味や語源・使い方まとめ

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「不躾なお願いですが」というフレーズを聞いたことはあるでしょうか?ビジネスでよく用いられる言い方ですが、「不躾」という言葉は「躾がない」と書きますが、実際にはどんな意味があるのでしょうか。

それでは早速「不躾」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「不躾」の意味は?

「不躾」には、次のような意味があります。

1.作法に則っておらず、失礼であるさま。
2.無作法であるさま。
3.礼を欠くこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「不躾」

「不躾」とは「ぶしつけ」と読み、その漢字のまま「躾がない・無作法であるさま」を意味します。この「不躾」にはもう一つ漢字が存在していますよ。「不仕付け」と書きます。これは着物を仮縫いする糸のことで、本縫いが終わると取られてしまう糸の事を指しますよ。「不躾」とは関係ないように感じますが、「躾」の意味を深く辿るとリンクするのですが、この話は別の機会にしますね。

ビジネスシーンで使う「不躾」は、「失礼を承知で」とか「礼を欠くような行為とわかっているのですが」という風に、無理なお願いや謝罪の場面でよく用いられます。

「不躾」の語源は?

次に「不躾」の語源を確認しておきましょう。

「不躾」という言葉には諸説あるのですが、まず「不」から見ていきましょう。「不」は「~しない・~でない」と言った否定を表す言葉ですね。「躾」は「身を美しく」とそのままの意味で通りそうですが、元は「武家の礼式を表す用語」から由来していて「不躾=礼式がない」という意味が含まれています。他にも「布や田んぼを仕付ける」の意味と仏語の「習気(じっけ)」の意味を持っている言葉ですよ。

ですので「不躾」は一般的に「礼儀がない・無作法であること」を意味します。

\次のページで「「不躾」の使い方・例文」を解説!/

「不躾」の使い方・例文

「不躾」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.不躾で恐縮ですが、年齢の確認をさせて頂いてもよろしいでしょうか?
2.不躾とは存じますが、明日までに確認をお願いできますでしょうか?
3.うちの親は厳しいから、不躾な彼は気に入られるか心配だ。

3つの例文を挙げてみました。

例文の一つ目は個人情報が厳しい昨今、このような場面に遭遇することは少なくないかもしれませんね。相手がどんな立場の方であろうと確認が必須の時に使う例です。例文の二つ目はビジネスで覚えておくと便利な言い方ですよ。「無礼・失礼とは思いますが」というニュアンスの前置きになります。例文の三つ目はあまり直接的には使いませんが、「人」に対しても用いる事ができる例になりますよ。厳しい親に紹介するときや、まだビジネスマナーを身につけていない新入社員を連れて営業に行くときなど、「くれぐれも失礼のないように」という意味を込めて使われます。

このように「不躾」は、無理なお願いや失礼と分かっていてする依頼の時などに、前置きとして使う事が多い言葉ですよ。前置きをすれば何でもお願いしていいわけではありませんが、ビジネスマナーとして「無理難題を言って申し訳なく思っています」という気持ちを伝えるのに、とてもいい表現になりますね。

「不躾」の類義語は?違いは?

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「不躾」にはどんな類義語があるのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

その1「無作法」

「不躾」とほぼ同じ意味を持つ言葉に「無作法」が挙げられます。読み方は「ぶさほう」「礼儀作法にはずれること。ぶしつけ。」の意。端的に言えば「礼儀作法をわきまえていない」という意味。

「不躾」は、礼儀や作法を知らなくてしつけができてないさまを言うのに対して、「無作法」は礼儀作法をわきまえていない、つまり区別する・見分ける事ができていない状態を表しますよ。よく「空気が読めない人」といった言い方がありますが、この場合の「空気が読めない」は「無作法」がより近いですよ。軽微なニュアンスの違いなので、分かりにくいと思いますが、人格的に失礼な印象を与えるのは「無作法」の方になりますね。

\次のページで「その2「失礼」」を解説!/

その2「失礼」

「失礼」は「不躾」と同じ意味ではありませんが、類語になりますよ。「失礼」とは「礼儀に反するふるまいをすること。失敬。無礼。」の意。「無作法」に近い意味合いがあり、相手に対して礼を欠くような振る舞いをしたときなどに「失礼しました」と使ったり、先に退出する際に「お先に失礼します」など、挨拶としても使う事ができますよ。

「不躾」の対義語は?

「不躾」の反対の意味を持つ言葉が、どんなものがあるでしょうか。

「礼儀正しい」

「不躾」の「礼儀がない・無作法」と反対の意味には「礼儀正しい」がぴったりでしょう。「礼儀正しい」とは、「礼儀をわきまえていて態度がきちんとしているさま」を表しますよ。

似た言葉で「折り目正しい」という言葉もあります。この言葉は「着物の折り目が正しく付いていることで、着物の良さがより強調されて綺麗に見える」という意味がありますよ。どちらの言葉も「礼儀・礼節をわきまえる」ことの大切さがよく表れていますね。

「不躾」の英訳は?

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「不躾」は英語でどんな表現になるでしょうか?

その1「impoliteness」

「impoliteness」には「失礼・失敬・不躾」といった意味があるので、「不躾」の英単語は「impoliteness」になります。ただし、どちらかというと「不躾」よりも「失礼」のニュアンスが強いので、例文で見ていきましょう。

「I can't stand his impoliteness.」

(彼の無礼さは我慢できない。)

「You should apologine  the impoliteness.」

(あなたは失礼を詫びるべきです。)

\次のページで「その2「Sorry for asking this」」を解説!/

その2「Sorry for asking this」

もう一つ覚えておくと便利な言い回しを紹介しますね。

「不躾」という言葉は、「無理なお願いをするときの前置きとして使う」という事をお伝えしたと思います。「不躾」は名詞ですが「不躾な~」と形容詞として使うことも多いので、「Sorry for asking this」を併せて覚えておきましょう。「不躾なお願いですが」といった意味になります。

Sorry for asking this, but can I ask your age?」

失礼ですが年齢をお伺いしてもよろしいでしょうか?)

「不躾」を使いこなそう

この記事では「不躾」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単に復習をしておきましょう。

「不躾」とは、「礼儀がない・無作法であること」の意味があり、「不躾な人」や「不躾な質問」は「礼儀がない人」「失礼な質問」となりますが、ビジネスシーンなどで使う「不躾なお願いですが」のように前置きとして用いる場合は、相手への謝罪の意が含まれるので、「不躾」とは反対に誠意や配慮を感じさせる効果も持っていますよ。ビジネスで無理なお願いをしなければならないような時は、是非活用して仕事がよりスムーズになれば幸いです。

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国語言葉の意味

「不躾」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

その2「失礼」

「失礼」は「不躾」と同じ意味ではありませんが、類語になりますよ。「失礼」とは「礼儀に反するふるまいをすること。失敬。無礼。」の意。「無作法」に近い意味合いがあり、相手に対して礼を欠くような振る舞いをしたときなどに「失礼しました」と使ったり、先に退出する際に「お先に失礼します」など、挨拶としても使う事ができますよ。

「不躾」の対義語は?

「不躾」の反対の意味を持つ言葉が、どんなものがあるでしょうか。

「礼儀正しい」

「不躾」の「礼儀がない・無作法」と反対の意味には「礼儀正しい」がぴったりでしょう。「礼儀正しい」とは、「礼儀をわきまえていて態度がきちんとしているさま」を表しますよ。

似た言葉で「折り目正しい」という言葉もあります。この言葉は「着物の折り目が正しく付いていることで、着物の良さがより強調されて綺麗に見える」という意味がありますよ。どちらの言葉も「礼儀・礼節をわきまえる」ことの大切さがよく表れていますね。

「不躾」の英訳は?

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「不躾」は英語でどんな表現になるでしょうか?

その1「impoliteness」

「impoliteness」には「失礼・失敬・不躾」といった意味があるので、「不躾」の英単語は「impoliteness」になります。ただし、どちらかというと「不躾」よりも「失礼」のニュアンスが強いので、例文で見ていきましょう。

「I can’t stand his impoliteness.」

(彼の無礼さは我慢できない。)

「You should apologine  the impoliteness.」

(あなたは失礼を詫びるべきです。)

\次のページで「その2「Sorry for asking this」」を解説!/

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