この記事では「メタモルフォーゼ」の意味・使い方・類語について解説していきます。

ずばり「メタモルフォーゼ」は「変身」という意味です。ヒーローや魔法使いが姿を変える「変身」を思い浮かべる人も多いでしょう。そういった姿かたちの変身についてはもちろんですが、数ある「変身」についての言葉のなかでも「メタモルフォーゼ」だけが持つ細かなニュアンスがある。ぜひ最後まで読んで、「メタモルフォーゼ」を確実に使いこなして欲しい。

元塾講師で普段から言葉の意味についてこだわりながら暮らしているというカワナミを呼んです。「メタモルフォーゼ」についての解説を一緒に見ていこう。

ライター/カワナミ

国語を愛する元塾講師。趣味で小説も書いており、普段から様々な言葉の細かな意味が気になってしょうがない。今回の「メタモルフォーゼ」は娘がごっこ遊びの中で口にしており、詳しく調べようと考えたそう。モットーは「丁寧にわかりやすく」。

「メタモルフォーゼ」の意味と由来

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まずは辞書を元に「メタモルフォーゼ」の意味を見ていきましょう。

「メタモルフォーゼ」の意味は「変容・変身・転生」

変容。変身。転生。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「メタモルフォーゼ」

変容・変身・転生と、どれも変化を表す言葉です。それぞれの細かな違いについて説明します。

「変容」「変身」はどちらも人や動物や物の姿がほかのものに変わることです。違いとしては、特に内容・中身といった目に見えづらいものの変化について言うのが「変容」外見や外から見える様子の変化について言うのが「変身」になります。「転生」は肉体的な死を迎えたあとに別の形で生を受けることで、要するに生まれ変わることです。

また「メタモルフォーゼ」といえば、生物学における「変態」を指す言葉でもあります。主に昆虫類や甲殻類などに見られる、動物の生育過程における形態変化です。例えば、蝶が卵→幼虫→蛹→成虫と姿を変えることがそれに当たります。

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「メタモルフォーゼ」の由来はギリシア語

日本で言う「メタモルフォーゼ」は、変化・変身を表すドイツ語の「Metamorphose」と同音同義です。同じく「変身・変形」を表すギリシア語のメタモルフォーシスが由来となっています。

「メタモルフォーゼ」の使い方と例文

ここまで「メタモルフォーゼ」の意味を見てきました。「変容・変身・転生」そして生物学の「変態」。それぞれ変化という共通の意味を持ちつつも、違いがあることがおわかりいただけたでしょうか。それぞれの意味合いを理解すると「メタモルフォーゼ」という言葉の持つ微妙なニュアンスがわかってきます。

「メタモルフォーゼ」は「全く違う状態にする」というニュアンスで使う

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「メタモルフォーゼ」は、それまであった状態から「全く違う状態にする」というニュアンスで使います。特に転生・変態の意味を考えると、イメージがつきやすいでしょう。もちろん変容・変身についても、中身や外見それぞれが「全く違う状態になる」と言えるほど大きな変化をする際に「メタモルフォーゼ」を使うと、その変化のインパクトを伝えることが出来ます。

「メタモルフォーゼ」を使った例文

1今回のコンクールで賞をとった画家は、独学で技術を磨き、前回の作品からとてつもないメタモルフォーゼを遂げてきた。
2あのアニメの注目ポイントは、主人公の精神的なメタモルフォーゼだよね。
3蝶になるために蛹がメタモルフォーゼする様子はとても神秘的だ。

1は絵画という目で見てわかる部分の大きな変化、2は精神的な目に見えない中身の変化、3は生物学の完全変態についてを「メタモルフォーゼ」と表現しています。「大きな変化」というインパクトのある事例に対して使われることから、日常生活や日常会話で登場することは少ないでしょう。多用すると、大げさに聞こえてしまう場合があるので、注意が必要です。反対にだからこそ、タイトルやここぞという場面で使用すると、聞き手に強い印象を残すことが出来ます

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みんな好き?題材としての「メタモルフォーゼ」

「メタモルフォーゼ」強い印象づけが可能な言葉だからこそ、タイトルや題材として使用されることが多くあります。以下が例です。

・音楽祭「METAMORPHOSE」
・音楽「Metamorphoze~メタモルフォーゼ~」(Gackt)
・音楽「メタモルフォーゼ」(工藤静香)
・音楽「metamorphose」(高橋洋子)
・アニメ「プリキュア・メタモルフォーゼ!」変身シーンのセリフ(Yes!プリキュア5)
・キャラクター「メタモン」(ポケットモンスター)
・漫画「メタモルフォーゼ」(手塚治虫)
・版画「メタモルフォーゼ」シリーズ(エッシャー)
・小説「変身」(カフカ)

当然ここに挙げたもの以外にもまだまだあります。

「メタモルフォーゼ」の類語・言い換え

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類語や言い換えについても見ていきます。変化を表すという点では同じですが、「メタモルフォーゼ」とは微妙にニュアンスが変わりますので、注意しながら意味を押さえておきましょう。

「変身」:ほかの姿に変わること

「メタモルフォーゼ」を日本語に言い換える場合、「変身」を使うことが一般的です。辞書の意味としては外見を変えることとなっていますが、前後の文脈によっては中身や精神的な部分の変化を指すこともあります。

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「モデルチェンジ」:製品のデザインや性能を変えること

「モデルチェンジ」とは、製品の変化に対して使う言葉です。従来品のデザインや設計・機能・性能を改良し、新型の製品として刷新した場合をいいます。「製品」なので、人や生き物には使用しません

「デフォルマシオン」:対象を主観で変えて表現すること

「デフォルマシオン」とは絵画や彫刻に対して使う言葉です。フランス語から来ており、日本語に訳すと変形・歪曲(わいきょく)となります。描く対象の元々ある形を、作者の主観によって変える表現方法を指す名詞です。動詞として使う場合は「デフォルメ」といいます。

「トランスフォーム」:外見を変化させる

「トランスフォーム」とは形や外見を変化させることを意味します。元は「transform」という英単語です。前後に分けて訳すと、前半のtransは「一変する」、後半のformは「形」となります。一変すると言っていますので、changeよりも更に「大きく変化する」「すっかり変わる」ことを指す表現です。

「メタモルフォーゼ」との違いに迷う方もいるでしょう。「メタモルフォーゼ」が外見と中身の両方の変化を表すのに対し、「トランスフォーム」は外見の変化のみに対して使います。ぜひ両者の違いを理解して、使いこなしてください。

「メタモルフォーゼ」の英訳

「メタモルフォーゼ」がカタカナ語であることから、そのまま英語に変換したくなりますよね。しかし日本語の「メタモルフォーゼ」はドイツ語です。名詞として英訳すると形が異なるので、注意して覚えておきましょう。

「メタモルフォーゼ」は「metamorphosis」

「メタモルフォーゼ」の英訳は「metamorphosis」となります。「メタモルフォーゼ」と同様に「変容・変身・転生・生物学の変態」を意味する名詞です。尚、「メタモルフォーゼ」をそのままの発音で「metamorphose」とした場合は、動詞になります。

気分を変えたいときには「メタモルフォーゼ!」

この記事では「メタモルフォーゼ」の意味・使い方・類語について解説しました。「外見も中身もガラリと変化する」という意味から、日常生活や日常会話で登場することは少ないかもしれません。しかしタイトルや題材としてはよく扱われるため、意味を確実に押さえておくことは決して損ではないでしょう。モヤモヤとした気持ちを一新したいときにこっそり「メタモルフォーゼ!」と唱えてみれば、あなたの身も心も生まれ変わったような気分を味わえるかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

変わるのは外見だけではない「メタモルフォーゼ」意味・使い方・類語を元塾講師ライターが丁寧にわかりやすく解説!

この記事では「メタモルフォーゼ」の意味・使い方・類語について解説していきます。

ずばり「メタモルフォーゼ」は「変身」という意味です。ヒーローや魔法使いが姿を変える「変身」を思い浮かべる人も多いでしょう。そういった姿かたちの変身についてはもちろんですが、数ある「変身」についての言葉のなかでも「メタモルフォーゼ」だけが持つ細かなニュアンスがある。ぜひ最後まで読んで、「メタモルフォーゼ」を確実に使いこなして欲しい。

元塾講師で普段から言葉の意味についてこだわりながら暮らしているというカワナミを呼んです。「メタモルフォーゼ」についての解説を一緒に見ていこう。

ライター/カワナミ

国語を愛する元塾講師。趣味で小説も書いており、普段から様々な言葉の細かな意味が気になってしょうがない。今回の「メタモルフォーゼ」は娘がごっこ遊びの中で口にしており、詳しく調べようと考えたそう。モットーは「丁寧にわかりやすく」。

「メタモルフォーゼ」の意味と由来

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まずは辞書を元に「メタモルフォーゼ」の意味を見ていきましょう。

変容。変身。転生。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「メタモルフォーゼ」

変容・変身・転生と、どれも変化を表す言葉です。それぞれの細かな違いについて説明します。

「変容」「変身」はどちらも人や動物や物の姿がほかのものに変わることです。違いとしては、特に内容・中身といった目に見えづらいものの変化について言うのが「変容」外見や外から見える様子の変化について言うのが「変身」になります。「転生」は肉体的な死を迎えたあとに別の形で生を受けることで、要するに生まれ変わることです。

また「メタモルフォーゼ」といえば、生物学における「変態」を指す言葉でもあります。主に昆虫類や甲殻類などに見られる、動物の生育過程における形態変化です。例えば、蝶が卵→幼虫→蛹→成虫と姿を変えることがそれに当たります。

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