奈良時代平安時代日本史

3分で簡単「万葉集」日本最古の歌集と古代の人々の生活を元大学教員がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。新元号が令和となることが発表されたとき、その出典ということで万葉集に興味を持った人も多いだろう。有名な和歌が数多くおさめられているため、「これ、万葉集の和歌だったの」と驚くことも多いだろう。

それじゃあ、万葉集がどのような歴史を経て成立したのか、どのような作品がおさめられているのか、日本史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ひこすけ

アメリカの歴史や文化を専門とする元大学教員。日本の古典にも興味があり、いろいろ調べている。万葉集は、教科書に必ず登場するものの、実際はどのような歌集なのか意外とよく知らない。そこで、万葉集の作品や、それが詠まれた背景について調べてみた。

1.万葉集とはどんな歌集?

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万葉集は現存する日本最古の歌集です。はっきり分かっているのはそれだけ。いつごろ、誰の手で成立したかは不明です。そのため、万葉集に関する情報のほとんどが「一説」。そこで、濃厚な説を集めながら全体像を見渡していきます。

1-1大伴家持が編纂したという説が濃厚

万葉集のベースとなっているのが、平城京が置かれた奈良時代初期のころから蒐集された歌。大伴家持が何らかのかたちで手を加え、編纂されたものと言われています。そこから、万葉集が成立したのは奈良時代の末から平安時代の初期のあいだと推測。最終的に4500首ほどの歌が集められました。

1-2万葉集の書名の由来はおもに3つ

万葉集という書名の由来には3つの説があります。ひとつは、万葉集の「葉」が「言の葉」を現しているというもの。「言の葉」とは「歌」のこと。多くの歌を集めたという意味になります。

ふたつめの説は「葉」が「世の中」を意味するというもの。千年も万年も伝わるべき「集」という意味です。3つ目の説は「葉」が「木の葉」を意味するというもの。「歌」を「木の葉」にた例えた書名という説です。

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現在では、万葉集の書名の由来としてふたつめの「世の中」説が有力だそうだ。とはいえ、「木の葉」とする説も多くの研究者に支持されている。「世の中」説を採用するなら、もしかして今でいうドキュメンタリーのような位置づけだったのだろうか。

2.万葉集はどのようにして出来上がった?

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万葉集が成立する過程の詳細は不明。はっきりと断定できることはほとんどありません。ある程度分かっているのが、中国の文化の伝播がきっかけとなったということ。古代の人々のなかで、歌をよむ、それを言語化する、歌集として編纂する意欲がかきたてられました。

2-1万葉集が成立した時代背景

万葉集のはじまりは舒明天皇が629年に即位したころ。130年ほどかけてさまざまなジャンルの歌が採取され、孝謙女帝のころに形ができあがったと言われています。

奈良時代はちょうど古代国家の形が整ってきた時代。それより前の古墳時代のころから、漢字が少しずつ伝わってきていました。遣唐使を通じて大量に中国の詩集などが渡来。文字をもたなかった日本人たちが、漢字で自分たちの歌や詩を表記したくなり、歌集編纂に繋がったと言われています。

\次のページで「2-2万葉集を「和歌集」と呼ばない理由」を解説!/

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