それでは優性の形質について、生物に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。
ライター/オリビン
理系の学部を卒業後、医学部研究室で実験助手をしている。患者さんの遺伝子から変異を見つけ出し、病名を確定させる仕事のため分子生物学を熟知している。
1.メンデルの法則とは
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1866年、メンデルは修道院の庭に植えたエンドウの種子の形・
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1-1優性と劣性について
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エンドウの種子の形を例に優性(ゆうせい)について解説しますね。
1-2優性の形質の別名
優性形質とは以前までの呼び方で、現在は顕性(けんせい)形質と表現が変わりました。顕性形質へ正式に変更になったのは2017年9月のことで、日本遺伝学会は10年以上も話し合いを続けていたそうです。学問的にはどちらの表現でも全く問題ありませんが、社会の流れに合わせたほうがいいとのことでした。やはり優性・劣性という字はそのアレルが優れていたり・劣っていたりという印象を受けるますよね。しかし、実際はヘテロ接合体の場合に優性形質のほうが表現型として表れやすいというだけで優劣は関係ありません。また、アレルという言葉も以前までは対立遺伝子という表現でした。
最初に優性形質や劣性形質という言葉を使ったのはメンデルでしたね。メンデルがエンドウマメの実験をしている段階では、まだ対立遺伝子や二倍体が発見されていませんでした。なので表現型として表れやすい形質を優性遺伝子と読んだのです。
1-3いろいろな役割の染色体
染色体の数は生き物によって違うことをご存知でしょうか?人の場合は1956年にチオとレヴァンによって染色体の数が23対46本であることが明らかにされました。他の動物では豚と猫が38本、犬では78本、アヒルでは80本の染色体があります。全ての染色体は対で存在しますが、研究が進むにつれて例外があることが発見されたのです。その例外とは、片方の性別では全ての染色体が対になっているのに、もう片方の性別では1組だけ対にならない染色体があることでした。
哺乳類ではオスで、鳥類ではメスに対にならない染色体があります。つまり、性別の遺伝は染色体によって決まるということです。このような染色体を性染色体と呼びます。性染色体にはX染色体とY染色体があり、哺乳類の場合はY染色体を持っているものが男性で、X染色体のみが女性となるのです。
性染色体以外の残りの染色体を常染色体といいます。優性形質は性染色体上にあるのか、常染色体上にあるのかで引き継がれ方が異なっているのです。
いろいろな優性形質と劣性形質
(左が優性形質、右が劣性形質です)
くせっ毛・直毛
黒髪・茶色っぽい色の髪
長いまつげ・短いまつげ
えくぼがある・えくぼが無い
二重まぶた・一重まぶた
肌の色が色黒・肌の色が白色(色白)
2.常染色体優性遺伝の特徴
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