この記事では「整合性(せいごうせい)」について解説する。

端的に言えば整合性の意味は「つじつまが合っていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国語力だけでこれまでの社会人生活を乗り切ってきたライター、ヤザワナオコに、「整合性」の意味や例文、類語などを説明してもらおう。

ライター/ヤザワナオコ

コールセンターの電話応対指導やマナー講師、テレビ番組の字幕製作経験もあるライター、ヤザワナオコ。

講師の仕事をしていたころ、発言に矛盾があると説得力がなくなるため整合性が取れるよう心がけていたら、すっかりそれが習慣化されてしまったらしい。おかげで息子も「なんか矛盾してない?」とすぐ気づく子に育ったとのこと。整合性とはどんな意味なのか解説してもらう。

「整合性」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「整合性」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「整合性」の意味は?

「整合性」には、次のような意味があります。

辞書で「整合性」を引くと「→無矛盾性(むむじゅんせい)」と書かれています。

無矛盾性:理論体系一般において、ある公理系内に相互に矛盾する公理が存在しないこと。また、そこからの命題の導出に論理的矛盾がないこと。整合性。

なお、「整合」の説明はこうなっていますよ。

1.ずれや矛盾がなく、前後・上下などがそろうこと。また、そろえること。

2.上下に重なる地層が、時間的にほぼ連続して堆積(たいせき)していること。

3.電気回路で、相互のインピーダンスを合わせ、効果を最大とすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

「整合」の意味のうち、2は地理学、3は電子工学の分野での使われ方です。今回は中でも一般的な整合性の意味、つまり「矛盾していないこと、ずれていないこと」について解説していきます。

国会中継やニュース、討論番組などで誰かの発言に対して「整合性が取れないじゃないか!」と追及するようなシーンで耳にしたことはありませんか。野党が総理大臣や閣僚、与党議員の答弁について言うことや、ニュースのコメンテーターがそう発言することも多い言葉です。

もちろん追及に限らずビジネスシーンでも、「過去のデータとその分析に整合性がないぞ」などと上司から指摘を受けることも。否定形に限らず、「論理的な整合性が求められる」のようにも使います。

このように過去と現在や、言葉と行動などがずれていない様子を「整合性が取れている」というのですね。

「整合性」の語源は?

次に「整合性」の語源を確認しておきましょう。

まず「整」は訓読みで「ととのえる」と読むとおりの意味。「合」は合意、合計と使うように「ぴったり一致する」ですね。この2つが組み合わさった「整合」に、状態を表す「性」をつけて、「筋が通って一致してする」といった意味になっています。

なお、「整合性」が一般に使われるようになったのは、政治学者、思想史家として有名な丸山眞男(まるやままさお)が著書「日本の思想」で用いたのがきっかけといわれていますよ。興味がある方はちょっと読んでみてはいかがでしょうか。

\次のページで「「整合性」の使い方・例文」を解説!/

「整合性」の使い方・例文

「整合性」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・調査結果とそこから導かれる提案に整合性があってこそ信頼できる企画が完成する。

・あの部下の言い分はどうも整合性に欠けるから、顧客に謝罪の意図が伝わらないのではないか。

このように「整合性」は、「ある、なし」や「取る、持たせる、欠ける」といった言葉とともに使われることが多くなっています。

また、使役の形で「整合性を持たせる」という場合もありますよ。

「整合性」の類義語は?違いは?

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では、「整合性」と似た意味で使える言葉を見ていきましょう。意味の所で「無矛盾性」を紹介したので、それ以外の言葉を紹介します。

「一貫性(いっかんせい)」

始めから終わりまで、同じ一つの考えによって行われることをいいます。

「整合性」と同じく「ある、なし」などをつけて用いますが、同じ物事や人物について時の経過による変化がない様子をいうのが「一貫性」。この点で、複数の物事に矛盾がない様子をいう「整合性」と異なります。

なお、併せて四字熟語の「首尾一貫」も押さえておきましょう。「首尾」は始めと終わりのことで、「一貫性」と同様、始めから終わりまで筋が通っていることを表しています。

\次のページで「「整合性」の対義語は?」を解説!/

・日常の会話とフォーマルな場での説明に一貫性がないと信用されにくい。

・あの議員は首尾一貫したふるまいで有権者から人気が高い。

「整合性」の対義語は?

続いて、「整合性」の反対語を考えましょう。打消しの「不」をつけた「不整合性」という言葉も存在しますが使われる機会は多くなく、心理学や経済学の分野で動的不整合性、時間的不整合性という言葉を見聞きする程度。

そこでここでは「整合していない」様子を表す言葉を紹介します。

その1「矛盾」

「整合性」の説明として「無矛盾性」が挙げられるくらいですから、「整合」の反対を「矛盾」と考えてもいいでしょう。

矛盾とは、2つの事柄のつじつまが合わないこと。中国の歴史書「韓非子」に登場する、「どんなかたい盾(たて)でも突き通せる矛(ほこ)と、どんな矛をもってしても突き通すことができない盾」は両立しえないという故事からきています。

その2「食い違い」

一致している方が望ましいものが不一致な状態であることで、ビジネスの場面でも双方に価格や納期など何らかの点で認識が異なる場合に使われます。

同じ意味を、「ずれ」や「齟齬(そご)」でも表すことができますよ。

・今回の発言は前回と矛盾しているようですから注意してください。

・頂戴した資料は、会議での発言と食い違いがあるようです。

・ネット上で多く検索されるキーワードは、実際のニーズとはズレがあることも散見されます。

・彼の主張と会社方針には齟齬があるがどちらを信じたらいいのでしょうか。

「整合性」の英訳は?

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最後に、「整合性」を英語の文章で使いたい場合を考えておきましょう。

\次のページで「「consistency」」を解説!/

「consistency」

「矛盾がないこと、一貫性」を表す名詞です。形容詞はconsistentで「矛盾のない、つじつまの合った」という意味になりますよ。

このほか、「同等、対等」のニュアンスならcoordination(一致と訳されることも)、IT分野におけるシステムやデータの整合性という意味ならintegrity(統合)を使うことも可能です。

日本語で「整合性」がどういった分野、ニュアンスで使われるかによって、最適な英訳も異なる点に気をつけましょう。

「整合性」を使いこなそう

この記事では「整合性」の意味・使い方・類語などを説明しました。発言に整合性、一貫性がないのは確かに信頼を損なうもととなってしまいますね。

ただ、桜木先生もおっしゃっていたとおり、他人の説明に整合性がないことをあげつらうだけの批判よりは、「こうすべき」という前向きな提案のほうが意味がある気もしますね。

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国語言葉の意味

「整合性」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「整合性」の使い方・例文

「整合性」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・調査結果とそこから導かれる提案に整合性があってこそ信頼できる企画が完成する。

・あの部下の言い分はどうも整合性に欠けるから、顧客に謝罪の意図が伝わらないのではないか。

このように「整合性」は、「ある、なし」や「取る、持たせる、欠ける」といった言葉とともに使われることが多くなっています。

また、使役の形で「整合性を持たせる」という場合もありますよ。

「整合性」の類義語は?違いは?

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では、「整合性」と似た意味で使える言葉を見ていきましょう。意味の所で「無矛盾性」を紹介したので、それ以外の言葉を紹介します。

「一貫性(いっかんせい)」

始めから終わりまで、同じ一つの考えによって行われることをいいます。

「整合性」と同じく「ある、なし」などをつけて用いますが、同じ物事や人物について時の経過による変化がない様子をいうのが「一貫性」。この点で、複数の物事に矛盾がない様子をいう「整合性」と異なります。

なお、併せて四字熟語の「首尾一貫」も押さえておきましょう。「首尾」は始めと終わりのことで、「一貫性」と同様、始めから終わりまで筋が通っていることを表しています。

\次のページで「「整合性」の対義語は?」を解説!/

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