

端的に言えば稀有の意味は「とても珍しい」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は、ロシアで2年間日本語教師として働いた大学院生ライターの「むかいひろき」を呼んだ。一緒に「稀有」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間日本語教師として働いた経験を持つ大学院生。その経験を武器に、「言葉」について分かりやすく解説していく。
「稀有」の意味は?
「稀有」には、次のような意味があります。
1.めったにないこと。とても珍しいこと。また、そのさま。まれ。「―な(の)出来事」
2.不思議なこと。また、そのさま。
3.とんでもないこと。けしからぬこと。
4.(「希有の命」の形で)危うく死を免れること。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「け‐う【▽希有/×稀有】」
「稀有」は「とても珍しいこと」「不思議なこと」という2つの意味を持った言葉です。どちらの意味にも悪いマイナスのニュアンスはありません。
「稀有」は「希有」とも書くことができ、読み方は「けう」が一般的です。ただ、昔は「きゆう」と読む場合もあったそうで、現在でも「希有金属(きゆうきんぞく)」など、一部で「きゆう」の読み方が使われることがあります。ただ、普段「稀有/希有」を使う時は、「けう」と読んだ方が良いでしょう。なお、「きう」とは読まないので注意してください。
ちなみに、3番目と4番目の意味は現代語ではほとんど使用されません。また、「きゆう」と読む単語に「杞憂」がありますが、意味は全く違うので気をつけましょう。
「稀有」の語源は?
次に「稀有」の語源を確認しておきましょう。「稀有」の語源は定かではありませんが、大陸から渡って来た仏典を通じて受け入れられた語だとする説があります。
「とても珍しいこと」の意味では、飛鳥時代(611年)の聖徳太子が書いたとされる『勝鬘経義疏』に「但聞是希故云希有」という記述が、「不思議なこと」という意味では、平安時代(810-824年)の説話集『霊異記』に「是に希有の想を発して禅師に白して言はく」という記述が確認される、とても古い言葉です。
「稀有」の使い方・例文
「稀有」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。