この記事では「当該」について解説する。

端的に言えば当該の意味は「いま話題になっている事柄の関係のあるもの」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

幼少期から様々な分野の本を読み、知識を深めてきた川瀬を呼んです。一緒に「当該」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「当該」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

ビジネスシーンや書類などで、時々目にする言葉「当該」。なんとなく理解したつもりの人も多いのではないでしょうか。しかし、正しい意味を説明できる人は少ないです。「当該」の意味と使い方を正しく理解する事で、自分の表現の幅も広がります。それでは早速「当該」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「当該」の意味は?

「当該」には、次のような意味があります。

いま話題になっている事柄に直接関係すること。まさに、そのもの。また、その担当であること。「当該事件」「当該庁」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「当該」

「当該」は「とうがい」と読み、「いま話題になっている事柄に直接関係するもの」という意味があります。「当該」は連体詞として使われ、「当該+名詞」のような形で使う事が多く、「先ほど述べた〇〇」と言った意味です。例えば、「当該事件」とすると「先ほど述べた事件」という意味。既に述べた内容や話題の事を指して、同じ内容を繰り返し説明する必要がないように使用します。かしこまった言葉とみなさんが感じている通り、公的な場や書類、文章で使われる事が多いです。

「当該」の使い方・例文

「当該」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「当該」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.当該年度の売上は、前年比120%となった。
2.当該生徒は、今は自宅で療養中です。
3.この施設を管理する者は、当該施設の利用者を増やす活動も行うものとする。 

例文1の「当該年度の売上」という使い方は、「その年の売上」という意味での使い方です。その年の売上は、前の年と比較して120%になったという意味になります。この文の前で、誰かが触れた年度に関しての売上を説明している文章です。

例文2の「当該生徒」という使い方は、テレビのニュースや新聞などで見た事があるのではないでしょうか。その生徒は自宅で安静に過ごしていますという意味です。この文の前では「生徒」に注目しなくてはならないことが説明されているでしょう。

例文3の「当該施設」とは、「この施設」という意味での使い方です。「当該施設」の前には「この施設を管理する者」とあるので、「この施設」を指しており、管理する者は施設の利用者を増やす活動も行うものとするという意味になります。

「当該」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「当該」の類義語には「該当」「相当」「本」「当」が挙げられます。それぞれ意味や使い方について詳しく見ていきましょう。

その1「該当」

「該当」とは、「一定の資格・条件にあてはまること」という意味です。「当該」と意味はそこまで大きく変わりませんが、「当該」は主に名詞の前に置く連体詞で、「該当」は「該当」の後に動作を表す「する」を付けて使用していきます。「該当した人」「〇〇に該当している」といった使い方です。

その2「相当」

「相当」とは「その程度・地位などに応じていること。あてはまること」という意味です。「当該」は指示語の役割をもっており、「相当」は指示語の役割を持っていないという違いがあります。

\次のページで「その3「本」」を解説!/

その3「本」

「本」とは「物事がそれによって成り立つところ」「この」という意味があります。「本」も「当該」も範囲を指す指示語ですが、「本日で閉店します」のように「本」はもっと近い範囲のものを指す指示語なのです。

その4「当」

「当」とは「あてはまる。あてはめる。かなう」「その」という意味の言葉です。単語や文脈によっては意味が同じになったり異なる事もあります。例えば「当の本人は言い逃れをしている」「当該人は言い逃れをしている」の場合、前者は「問題になっているその本人」となり、後者は「問題になっているその人」となるのです。

「当該」の対義語は?

「その」「この」といった指示語に対義語がないのと同じで、「当該」にも対義語はありません。

「当該」の英訳は?

image by iStockphoto

「当該」を英語にすると、「名詞+in question」「said+名詞」が該当します。意味や使い方を見ていきましょう。

その1「名詞+in question」

「当該」の英語表現のパターンは様々ですが、1つ目は「(名詞)+in question」です。「question」は皆さんご存じの通り「問題」という意味。「in」の前には問題になってくる名詞が入り、「当該」という意味で使う事が出来ます。

He is the person in question(彼が話題になっていた当人です)

She is in charge of the matter in question. (当該の件は彼女が責任者だ。)

The cat in question was found last night. (問題のネコは昨夜見つかった。)

\次のページで「その2「said+名詞」」を解説!/

その2「said+名詞」

「said」とは、sayの過去分詞系で「前記の」という意味を持っています。そのため「said」と名詞を組み合わせる事で、「前述した~」という意味になり、「当該」と同じ意味になるのです。「しかし、「said+名詞」といった表現方法は、公的な文章などで使われるため、日常会話ではあまり使いません。

during the said period.(当該期間中に)

period necessary for a person who filed said application to change the content of said application(当該申請をした者が当該申請の内容を変更するために要する期間)

「当該」を使いこなそう

この記事では「当該」の意味・使い方・類語などを説明しました。「当該」とは「いま話題になっている事柄に直接関係するもの」という意味。「この」「その」などのように連体詞として使い、「当該〇〇」といった形で用いられます。類義語は「該当」「相当」「本」「当」などと、少し多いですが、きちんと覚える事によって表現の幅が広がるでしょう。

ビジネスシーンや書類などが使う事が多い言葉でもあります。「当該」の意味と用法を正しく理解し、ビジネスシーンでもワンランク上の表現が出来るようになりましょう。

" /> 「当該」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
国語言葉の意味

「当該」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

1.当該年度の売上は、前年比120%となった。
2.当該生徒は、今は自宅で療養中です。
3.この施設を管理する者は、当該施設の利用者を増やす活動も行うものとする。 

例文1の「当該年度の売上」という使い方は、「その年の売上」という意味での使い方です。その年の売上は、前の年と比較して120%になったという意味になります。この文の前で、誰かが触れた年度に関しての売上を説明している文章です。

例文2の「当該生徒」という使い方は、テレビのニュースや新聞などで見た事があるのではないでしょうか。その生徒は自宅で安静に過ごしていますという意味です。この文の前では「生徒」に注目しなくてはならないことが説明されているでしょう。

例文3の「当該施設」とは、「この施設」という意味での使い方です。「当該施設」の前には「この施設を管理する者」とあるので、「この施設」を指しており、管理する者は施設の利用者を増やす活動も行うものとするという意味になります。

「当該」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「当該」の類義語には「該当」「相当」「本」「当」が挙げられます。それぞれ意味や使い方について詳しく見ていきましょう。

その1「該当」

「該当」とは、「一定の資格・条件にあてはまること」という意味です。「当該」と意味はそこまで大きく変わりませんが、「当該」は主に名詞の前に置く連体詞で、「該当」は「該当」の後に動作を表す「する」を付けて使用していきます。「該当した人」「〇〇に該当している」といった使い方です。

その2「相当」

「相当」とは「その程度・地位などに応じていること。あてはまること」という意味です。「当該」は指示語の役割をもっており、「相当」は指示語の役割を持っていないという違いがあります。

\次のページで「その3「本」」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: