この記事では「遊山」について解説する。

端的に言えば遊山の意味は「遊びに行くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「遊山」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「遊山」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「遊山」の意味や語源・使い方まとめ

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遊山」は「ゆさん」と読みます。「遊山」は、しばしばお店の名前や、旅行関係の宣伝に使われていることもありますから、目にしたことがある人が多いでしょう。それでは早速「遊山」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「遊山」の意味は?

まず初めに「遊山」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう「遊山」には、次のような意味があります。

1.野山に遊びに行くこと。
2.気晴らしに遊びに出かけること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「遊山」

遊山」は上記のように、野山に出かけたり、気晴らしに遊びに出かける、と言う意味の言葉です。旅行に行って行先の風土や文化に触れて楽しむことを、「観光」と言いますが、「遊山」はこの「観光」の古語的な表現であると考えられています。

物見遊山」と言う言葉を聞いたことがあるでしょう。観光産業関係の文章で使われていたりしますね。「物見」とは物事を見物することですから、「物見遊山」は見物しに出かける、と言うことなのです。

「遊山」の語源は?

次に「遊山」の語源を確認しておきましょう。

「遊山」はもともと仏教の禅宗の言葉でした。「遊山」は、二つの意味で使われていて、一つ目は、修行を終え、ある種の悟りを得た後の、悠々自適に遍歴をすること、二つめは、修行の途中で生命力や活力を養うために他の山(寺)に旅に出ることを言いました。

これが転じて、英気を養うために野山に遊びに行き景色を楽しんだりすることを意味するようになりました。そして、気晴らしに出かける、野山に遊びに行く、と言う意味で「遊山」が一般的に使われるようになったのです。

\次のページで「「遊山」の使い方・例文」を解説!/

「遊山」の使い方・例文

それでゃ「遊山」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.朝早くからおにぎりを握り、近所の山に遊山をしにやってきて、綺麗な景色の中弁当を食べた。
2.有名な観光地の最高級の宿を予約したので、周辺の自然を堪能し、時間を忘れて遊山を楽しむつもりだ。
3.有名な寺院に物見遊山に行くついでに、食べログのランキングで発見した黒毛和牛の炭火焼が人気の店舗で食事をした。

例文1は、野山に遊びに行く、と言う意味で「遊山」を用いています。

例文2と例文3は、気晴らしに観光や旅行に行く、と言う意味です。また、例文3は先述した「物見遊山」という言い方の例文ですね。「物見遊山」も、観光に関連して良く使われる言葉ですから、覚えておいてください。

「遊山」の類義語は?違いは?

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「遊山」の類義語には「野遊び」や「行楽」、「観光」などがあります。

「野遊び」

野遊(のあそ)び」には、二つの意味があります。

一つめは、野に出て会食をしたり、草を摘んで遊んだりすることです。聞き慣れた言葉で言うとピクニックのことですね。ですから、「遊山」を、野山で遊ぶ意味で使った場合は「野遊び」は類義語としてふさわしいでしょう。

二つめは、貴族や武士が野に出て狩猟をすることです。こちらの意味で使う機会はほとんどないと思いますが、古典文学などで見かけることもありますから覚えておいてくださいね。

それでは、「野遊び」の使い方を例文で確かめてみましょう。

\次のページで「「行楽」」を解説!/

定休日にあわせ、スタッフ全員参加の野遊びを計画していて、ネットの口コミを参考に行き先をいくつかピックアップしているところだ。

「行楽」

行楽」は「こうらく」と読みます。「行楽」は、野山に出て遊び楽しむことです。「遊山」も、野山で楽しむと言う意味を持ちますから、類義語と言えるでしょう。

「行楽」は「行楽シーズン」や「行楽日和」という言い方で良く使われます。ニュースや、情報番組などで暖かくなる春先にとても良く使われていますね。

「行楽」の使い方も、例文で確かめてみましょう。

当店の料理はテイクアウトも可能で、特にランチメニューは行楽にオススメですからぜひ、皆様ご利用ください。

「観光」

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「観光(かんこう)」は、他の地方の風景・史跡・風物などを見物する、と言う意味で、日常でも良く使われる言葉ですね。「観光」は、もともと中国古代の書物、易経に語源があると言われています。

「国の光を観る、もって王に賓たるに利し」と言う一文が易経にあり、これは、要約すると、国の繁栄に活かすための経験値を積むという意味だったようです。いわば研修旅行と言ったところでしょうか。それが転じて、今の意味になったと考えられています。

「観光」の使い方も例文で確かめてみましょう。

旅行代理店で外国人訪問者向けの営業をしているが、寺社観光コースがとても人気だ。

「遊山」の対義語は?

「遊山」は、対義語がない言葉ですが、「蟄居」と言う言葉が反対の意味に近く、面白い言葉なので紹介します。

\次のページで「「蟄居」」を解説!/

「蟄居」

蟄居」の読み方は「ちっきょ」です。「蟄居」とは虫が冬眠するように地中にこもることを言いますが、転じて、家の中に引きこもると言う意味で使われます。また、江戸時代には、武士の謹慎の刑罰のことを「蟄居」と言ったそうです。「遊山」が余暇を使って遊びに出ることですから、家に引きこもると言う「蟄居」は対義語に近いと考えられますね。

日常会話ではあまり使われませんが、「蟄居閉門」「蟄居屏息」(どちらも家にこもり静かにしていると言う意味)などの四字熟語にも使われ、江戸時代を背景にした文学などでは使われますから覚えておくと良いでしょう。

それでは、「蟄居」の使い方も実際の例文で確かめてみましょう。

グルメサイトからデリバリーを頼めるので、編集作業に追われて自宅に蟄居している間も困らなかった。

「遊山」を使いこなそう

この記事では「遊山」の意味・使い方・類語などを説明しました。現在は「旅行」や「観光」と言う言葉が主に使われますが、「遊山」や「物見遊山」も風流な言葉として色々なところに使われています。旅行の記録のタイトルなど、日常でも使えるところは多いと思いますから積極的に使ってみてくださいね。

また、「遊山」は「ゆうざん」や「ゆうさん」と読み間違えられることが大変多い言葉ですから、しっかり覚えておいてくださいね。

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国語言葉の意味

「遊山」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

「遊山」の使い方・例文

それでゃ「遊山」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.朝早くからおにぎりを握り、近所の山に遊山をしにやってきて、綺麗な景色の中弁当を食べた。
2.有名な観光地の最高級の宿を予約したので、周辺の自然を堪能し、時間を忘れて遊山を楽しむつもりだ。
3.有名な寺院に物見遊山に行くついでに、食べログのランキングで発見した黒毛和牛の炭火焼が人気の店舗で食事をした。

例文1は、野山に遊びに行く、と言う意味で「遊山」を用いています。

例文2と例文3は、気晴らしに観光や旅行に行く、と言う意味です。また、例文3は先述した「物見遊山」という言い方の例文ですね。「物見遊山」も、観光に関連して良く使われる言葉ですから、覚えておいてください。

「遊山」の類義語は?違いは?

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「遊山」の類義語には「野遊び」や「行楽」、「観光」などがあります。

「野遊び」

野遊(のあそ)び」には、二つの意味があります。

一つめは、野に出て会食をしたり、草を摘んで遊んだりすることです。聞き慣れた言葉で言うとピクニックのことですね。ですから、「遊山」を、野山で遊ぶ意味で使った場合は「野遊び」は類義語としてふさわしいでしょう。

二つめは、貴族や武士が野に出て狩猟をすることです。こちらの意味で使う機会はほとんどないと思いますが、古典文学などで見かけることもありますから覚えておいてくださいね。

それでは、「野遊び」の使い方を例文で確かめてみましょう。

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