「レゾンデートル」の使い方・例文
「レゾンデートル」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.19世紀にデンマークのキルケゴールがとなえた「実存主義」という哲学は、人間は大きな構造の一部ではなくレゾンデートルを追求するべき存在だという解釈をもって、戦争による荒廃で不安をかかえる人びとの救いとなった。
2.ネットに自作のアニメをアップすることと、食べログで点数の高いラーメンのお店でつけ麺を食べることは、自分にとって大切なレゾンデートルなんだっ!
3.この会社は中小企業だが、世界一の品質を誇る製品を生み出すことをレゾンデートルとする熱い社員たちが、みんな一丸となって仕事に当たっている。
例文1、2、3のすべての「レゾンデートル」は「生きがい」に置き換えられます。例文3については「(自分たちの)存在意義・役割」とも言い換えられますが、「仕方なく請け負う役割」「惰性で請け負う役割」ではなく、希望や使命感をもって仕事に臨む姿勢が伝わりますね。
語源である「raison d’etre」を正しく訳すと「自分が信じる生きる理由」。「社会の役に立っている」「家族のために働いている」というような客観的な存在価値ではなく、自分が信じる生き方、生きがいをさすのだと理解しましょう。
日本語の「存在理由」あるいは「存在意義」「存在価値」という言葉は、「それがどう役に立っているか」をも表す言葉であるため、ニュアンスが変わってしまいがちです。「レゾンデートル」の正しい意味に沿えば、レゾンデートルを貫くときには、むしろ客観的な存在意義や価値はゼロである場合もありえますよ。
「アイデンティティ」
「生きる目的」という言葉において、「レゾンデートル」と「アイデンティティ」は似て異なる意味をもちます。
アイデンティティとは「自分はこういうものであって、ほかのものではない」ということです。「自分はなにものなのか」「自分はどう生きていくのか」といった問いに確信をもって答えられる状態を「アイデンティティを確立した」と表現しますね。これを「生きる目的が分かった」と表現してもおかしくありません。
一方「自分のレゾンデートルはなにか」という場合、「これをしたくて生きている」という理由(生きがい)はなにかという意味です。これも「生きる目的」と表現できます。
アイデンティティは「自分のあり方」、レゾンデートルは「生きる理由」といったところでしょうか。アイデンティティには「身分証明」という意味があるのも理解のヒントになるかもしれません。哲学や心理に興味があれば、ぜひ深く学んでみてください。
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