この記事では「考慮」について解説する。

端的に言えば考慮の意味は「よく考えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「考慮」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。他人からよく「お前は考え過ぎ」と言われるが、自分では普通と思っている。ただ、いろいろな事態が起こる可能性を考慮して、荷物が少し多くなっているだけだ。

「考慮」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「考慮」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「考慮」の意味は?

「考慮」には、次のような意味があります。

物事を、いろいろの要素を含めてよく考えること。「考慮に入れる」「考慮の余地がない」「相手の事情を考慮する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「考慮」

考慮」(こうりょ)には、「いろいろな物事に思いを巡らせてよく考えること」という意味があります。

「考慮」は、「考える」と「慮(おもんぱか)る」の2語が合わさった言葉です。このうちの「考える」は説明するまでもありませんよね。問題は「慮る」です。「慮る」は、「おもいはかる」という言葉が変化しました。これも「思う」と「図る」が合わさったものです。つまり、「考慮」には「考える」と「思う」と「図る」の3つの意味が含まれています。

「考慮」の使い方・例文

「考慮」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「考慮」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.こっちの都合にも少しは考慮があっていいだろう。
2.昨今の経済情勢を考慮した結果、来年度の新卒採用者は残念ながらゼロとなった。
3.このたびは多大なるご考慮をいただいたおかげで、ひとまずは期日までの納品ができる見通しが立てられましたことを厚く御礼申し上げます。

「考慮」という言葉は、例文1のようなそのままの「考慮」や、例文2にある「考慮する」として使います。「考慮する」とすれば、「考える」よりももっと時間をかけてじっくり考える意味を強調できるでしょう。

ビジネスの場では、相手方に尊敬の念をこめて「ご考慮」という形で使います。例文3がその一例です。「ご考慮のほど」「ご考慮をいただく」「ご考慮ください」などは定形とも言える表現ですので、ビジネスマナーとして覚えておきましょう。

「考慮」の類義語は?違いは?

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ところで、「考慮」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「思慮」「思料」「思量」

「考慮」の類義語として挙げられるものに、「思慮」(しりょ)と「思料」(しりょう)と「思量」(しりょう)があります。すべて「思」という字が付いているだけでなく読み方までも似ていては、混乱が避けられませんよね。そこで、まずは「思慮」「思料」「思量」の意味を辞書で確認していきましょう。

注意深く心を働かせて考えること。また、その考え。おもんぱかり。「思慮が浅い」「思慮に欠ける言動」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「思慮」

\次のページで「「考慮」の対義語は?」を解説!/

いろいろと思いをめぐらし考えること。思いはかること。「とりとめのない、―にふけりだした」〈芥川・芋粥〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「思量/思料」

まず、「思料」と「思量」が同じ項目に掲載されていました。つまり、「思料」と「思量」は漢字が違うだけで意味は同じです。ちなみに「思量」はあまり使われず、「思料」のほうが多く使われる傾向にあります。

次に「思慮」と「思料」の比較ですが、どちらも「おもいはかること」などといった意味です。よって、意味の上ではあまり大差ありません。違いがあるとすれば、使われる場面にあります。「思料」は主に法曹関係で使われますが、「思慮」は特に使う場面を選びません。日常生活でも使われます。

では、「考慮」と「思慮」「思量/思料」の違いは何でしょうか。どれも「思いをめぐらせる」という意味ですが、その主体となる心の動きが「考える」と「思う」との差異があります。「考える」は「論理的に頭を働かせる」「思う」は「目の前にないものについて心を働かせる」という意味がありますので、違いがあるとすればその点であるというのが結論です。しかし、「思う」にも「考える」という意味もある以上、「考慮」と「思慮」「思量/思料」の違いはさほどないものと言えるでしょう。

「考慮」の対義語は?

さらに「考慮」の対義語も見ていきましょう。

「無謀」

「考慮」が「考えること」という意味です。端的に言うと、その反対の意味は「考えないこと」となります。

無謀」(むぼう)とは、「結果に対して考えのないこと、またはそのさま」という意味です。「無謀運転」「無謀なスケジュール」などと聞いたことがあるでしょう。「謀」1字で「はかりごと」とも読みますので、「無謀」は「はかりごとがない」、つまり「計画性がない」ということになります。

それ以外にも、「無茶」(むちゃ)「無闇」(むやみ)「無鉄砲」(むてっぽう)「向こう見ず」(むこうみず)なども「考慮」の対義語としてもいいでしょう。「浅はか」「うかつ」「やたら」「ちゃらんぽらん」なども同様です。

「考慮」の英訳は?

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ついでに「考慮」の英訳も確認しておきましょう。

「thought」「consideration」

thought」は動詞「think」の過去形・過去分詞形としても知られていますが、別の意味もあります。「考慮、考え、思考」という意味の名詞です。

また、「考慮」という言葉でネットの英和辞典を検索した場合、「consideration」という単語に行き当たることがあります。「consider」という単語を知っていますでしょうか。こちらも「考える」という意味の動詞ですが、「think」よりは堅い表現となります。その「consider」の名詞形が「consideration」です。「考え」で検索すればいの一番で「thought」と結果が表示されますが、「考え」よりも表現が堅い「考慮」で検索した場合に「consideration」という結果が導かれると予想されます。

\次のページで「「考慮」を使いこなそう」を解説!/

「考慮」を使いこなそう

この記事では「考慮」の意味・使い方・類語などを説明しました。

会話のキャッチボールを成立させるためには、いちいち言葉を「考慮」しながら話しているヒマなどありません。しかし、言ってはいけないことも確実に存在します。そういったことを口に出さないようにするためには、普段からこれを言うべきではないなどと、言葉のチョイスを「考慮」すべきではないでしょうか。そうしないと、舌禍事件で立場を危うくすることとなるでしょう。自分は大した立場の人間ではないと思っていても、近頃はネットリテラシーなるものも求められます。ですので、使う言葉を「考慮」することはとても大切です。

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国語言葉の意味

「考慮」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「考慮」について解説する。

端的に言えば考慮の意味は「よく考えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「考慮」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。他人からよく「お前は考え過ぎ」と言われるが、自分では普通と思っている。ただ、いろいろな事態が起こる可能性を考慮して、荷物が少し多くなっているだけだ。

「考慮」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「考慮」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「考慮」の意味は?

「考慮」には、次のような意味があります。

物事を、いろいろの要素を含めてよく考えること。「考慮に入れる」「考慮の余地がない」「相手の事情を考慮する」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「考慮」

考慮」(こうりょ)には、「いろいろな物事に思いを巡らせてよく考えること」という意味があります。

「考慮」は、「考える」と「慮(おもんぱか)る」の2語が合わさった言葉です。このうちの「考える」は説明するまでもありませんよね。問題は「慮る」です。「慮る」は、「おもいはかる」という言葉が変化しました。これも「思う」と「図る」が合わさったものです。つまり、「考慮」には「考える」と「思う」と「図る」の3つの意味が含まれています。

「考慮」の使い方・例文

「考慮」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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