この記事では「善処」について解説する。

端的に言えば善処の意味は「適切に処置すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した川瀬を呼んです。一緒に「善処」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「善処」の意味や語源・使い方まとめ

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私達が人と会話していく中で、相手とのトラブルなどを避けるために「大人の物言い」ともいえる曖昧な表現があります。その代表格ともいえる言葉が「善処」でしょう。主にビジネスシーンなどで身にする機会が多く、何かを依頼された時の返事として使われることが多いです。しかし、使う時の状況などによっては相手に失礼な印象を与えてしまう事もあるため、注意しなければなりません。正しい意味と使い方を知る事が大切です。それでは早速「善処」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「善処」の意味は?

「善処」には、次のような意味があります。

1.適切に処置すること。「事情に応じて善処する」
2.(「善所」とも書く)仏語。来世に生まれるべきよい場所。人界・天上・諸仏の浄土など。「後生 (ごしょう) 善処」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「善処」

「善処」は「ぜんしょ」と読みます。ビジネスメールだけではなく、話し言葉としても使われることがあるため、読み間違いなどにも気をつけましょう。「善処」とは「起こった事柄に対し適切に対応する。」という意味です。ビジネスシーンで例えると、相手との間に問題が発生した際に適した対応ができると判断した場合などに使われます。

目上の人やかしこまったシーンで使える丁寧な言葉ではありますが、言葉自体は敬語表現ではありません。このような状況で使う際には「善処します」などの言い回しを変えましょう。

「善処」の語源は?

次に「善処」の語源を確認しておきましょう。「善処」の意味には「適切に処理すること」だけではなく、もうひとつある事に気づいた方もいるのではないでしょうか。「善処」はもともと仏教用語として使われており「来世で生まれる良い場所は仏が在住する清らかな国」という意味があります。仏教用語では「善所」と書くことが多く、そこから「善処」として一般的に使われるようになりました。

\次のページで「「善処」の使い方・例文」を解説!/

「善処」の使い方・例文

ビジネスシーンはもちろん、日常生活でも耳にする可能性があります。正しい意味を押さえたところで、例文を使って使い方を見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.耐震補強工事についてですが、願わくば善処していただけないでしょうか。
2.あの社員の処遇の件においては、善処いただきたく思います。
3.今回のサービストラブルについての対応は、速やかに善処します。

例文1と2は、「善処」を誰かに何かをお願いするシーンでの使い方になります。「状況に応じ適切に対応する」という意味なので、「善処していただけないでしょうか」「善処お願い致します」といった使い方では、「〇〇に対して適切な対応をお願いします」と伝えることが出来るのです。例文3においては、「善処」を返事として使った形になります。「〇〇をどうにかしてほしい」といった依頼に対し、「善処します」「善処を尽くす」と返事する事で、「その問題に対ししっかり向き合う」と伝えることが出来るのです。

「善処」の類義語は?違いは?

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「善処」の類義語には「対処」「対応」「対策」が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

その1「対処」

「対処」には「ある事柄・情勢に対して適当な処置をとること」という意味があります。「善処」と非常に意味は似ていますが、「対処」は「その物事・個人に対して適した処置をする」といった意味です。つまり、「善処」よりも「対処」の目的語はより具体的な事が多い場合に使われます。

\次のページで「その2「対応」」を解説!/

その2「対応」

「対応」には「相手の出方に応じた態度をとること」という意味があります。怒っている状況に応じたり、相手に何か応じる事について使われることが多いです。「善処」との違いは、「善処」は「良い方向へと処置していくこと」に対し、「対応」は「状況や人に応じて」ということになります。

その3「対策」

「対策」とは、「相手の態度や事件の情況に応じてとる手段・策略。」という意味。相手の態度や事件の状況に応じて、立てる処理の方法や手段をとっていきます。「適切に処置すること」という意味を持つ善処の類義語と言えるでしょう。

「善処」の対義語は?

「善処」の対義語としては、「おざなり」「なおざり」が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

その1「おざなり」

「おざなり」は「その場かぎりのまにあわせ。いい加減なこと」という意味です。投げやり、適当に物事を行うことを表しています。「適切に処置すること」という意味を持つ「善処」の対義語と言えるでしょう。

その2「なおざり」

「なおざり」とは、「余り注意を向けず、いい加減にするさま。」という意味です。ほったらかしにして全くやらない場合などに使われます。よく「おざなり」と似たような意味の言葉だと思われがちですが、全く違う意味の言葉です。例えば「おざなりで困る」「なおざりで困る」だと、前者は「いい加減で困る」、後者は「ほったらかしで困る」などの違いがあります。

「善処」の英訳は?

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「善処」を英語にすると、一体どんな表現になるのでしょうか。意味や例文など詳しく見ていきましょう。

\次のページで「「Using discretion」」を解説!/

「Using discretion」

「善処」を英語で表現する場合、「Using discretion」と書きます。「use」の現在進行形である「Using」は「用いる、使用する」という意味。「discretion」は「慎重に」を意味しています。意味を繋げると「慎重に用いる」となり、一変して「善処」となるのです。実際に例文も見ていきましょう。

We handling carefully with Mr. A’s treatment.(Aさんの処遇については善処する)

Is this the limit of handling carefully so far?(善処するのはここまでが限界だ)

Using discretion for scandals.(不祥事のために善処する。)

「善処」を使いこなそう

この記事では「善処」の意味・使い方・類語などを説明しました。「善処」は仏教用語が元の言葉で、「起こった事柄に対し適切に対応する。」という意味です。とても便利な言葉ですが、使いすぎると相手に不安を与える可能性もあります。しかし、相手の人からの依頼の返事や反対に手を煩わせる時に使える表現です。ビジネスシーンでもワンランク上にいくために、「善処」を適材適所で使いこなしていきましょう。

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国語言葉の意味

「善処」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「善処」について解説する。

端的に言えば善処の意味は「適切に処置すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した川瀬を呼んです。一緒に「善処」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/川瀬

幼少期から多種多様な本を与えられて育ち、分からない言葉があれば辞書で引く癖がついていた。本を読む度に、細やかで表現力豊かな美しい日本語に魅了される。これまでの読書量を活かし、丁寧に言葉の意味を解説していく。

「善処」の意味や語源・使い方まとめ

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私達が人と会話していく中で、相手とのトラブルなどを避けるために「大人の物言い」ともいえる曖昧な表現があります。その代表格ともいえる言葉が「善処」でしょう。主にビジネスシーンなどで身にする機会が多く、何かを依頼された時の返事として使われることが多いです。しかし、使う時の状況などによっては相手に失礼な印象を与えてしまう事もあるため、注意しなければなりません。正しい意味と使い方を知る事が大切です。それでは早速「善処」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「善処」の意味は?

「善処」には、次のような意味があります。

1.適切に処置すること。「事情に応じて善処する」
2.(「善所」とも書く)仏語。来世に生まれるべきよい場所。人界・天上・諸仏の浄土など。「後生 (ごしょう) 善処」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「善処」

「善処」は「ぜんしょ」と読みます。ビジネスメールだけではなく、話し言葉としても使われることがあるため、読み間違いなどにも気をつけましょう。「善処」とは「起こった事柄に対し適切に対応する。」という意味です。ビジネスシーンで例えると、相手との間に問題が発生した際に適した対応ができると判断した場合などに使われます。

目上の人やかしこまったシーンで使える丁寧な言葉ではありますが、言葉自体は敬語表現ではありません。このような状況で使う際には「善処します」などの言い回しを変えましょう。

「善処」の語源は?

次に「善処」の語源を確認しておきましょう。「善処」の意味には「適切に処理すること」だけではなく、もうひとつある事に気づいた方もいるのではないでしょうか。「善処」はもともと仏教用語として使われており「来世で生まれる良い場所は仏が在住する清らかな国」という意味があります。仏教用語では「善所」と書くことが多く、そこから「善処」として一般的に使われるようになりました。

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