この記事では「バリデーション」について解説する。

端的に言えばバリデーションの意味は「検証する」や「妥当性確認」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「バリデーション」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「バリデーション」の意味や語源・使い方まとめ

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この記事でご紹介するのは「バリデーション」という言葉。あまり耳馴染みがないかもしれませんが、ITや医療、介護の分野をはじめ、ビジネスシーンなどでも使われている言葉です。定義をしっかりと確認していきましょう。

「バリデーション」の意味は?

「バリデーション」には、次のような意味があります。

(適切であると)検証すること。立証・実証すること。確認。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「バリデーション」

「バリデーション」とは検証、実証、認可などをあらわす言葉で、「妥当性を確認する」という意味を含んでいます。行った作業の内容が、規定の条件や仕様に適合しているかどうかを検証するということです。

具体的に言うと、作業の進め方を決めたら、決めた通りに作業を行って、行った作業は妥当だと確認する。この一連のプロセスと仕組みを「バリデーション」と呼ぶのです。IT、医療(主に医薬品や医療機器)、製造、介護などの分野でよく用いられます。

「バリデーション」の語源は?

「バリデーション」の語源を確認しておきましょう。

語源は英語の「validation」という名詞で、「有効にする」という意味の単語。語源を辿ると、ラテン語の「valere(ヴァレーレ)」。「力がある」「価値がある」などといった意味の言葉です。ちなみにここから派生した言葉としては「value(バリュー:価値、値打ち)」「available(アベイラブル:有効な、役立てる)」などがあります。

\次のページで「IT分野における「バリデーション」の使い方・例文」を解説!/

IT分野における「バリデーション」の使い方・例文

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ここからはIT分野における「バリデーション」の具体的な使用例をみていきましょう。

1.Webアプリケーションを開発する際、入力データのチェック機能であるバリデーションの実装は欠かせない。
2.アプリケーションの入り口で入力バリデーション(入力検証)をしていないアプリはセキュリティに問題があると言わざるを得ない。

IT関係で「バリデーション」という言葉が出てきたら、それは「書式やデータ形式など、入力内容が要件を満たしているか検証すること」です

例えば、あるシステム上に名前を入れるべき入力フォームがあったとします。そこに間違って電話番号の数字を入れてしまったら、そのシステムが「それはここに入力すべき内容ではないですよ!」というエラーメッセージを表示。このほかにも、未入力チェック、文字列長チェック、データ形式チェックなど様々な検証をするのですが、要するに決めたルールに従って適切に入力されているか?妥当はあるのか?を調べるということです。この仕組みを「バリデーション」と定義しています。

医療の分野における「バリデーション」の使い方・例文

ここでは医療の分野における「バリデーション」の具体的な使用例をみていきましょう。

1.GMPの概念が医薬品等の製造に導入されてから長い年月が経つが、バリデーションもその品質を確保するうえで重要な位置付けとなっている。
2.医療現場で使用する洗浄水の質を保つには、自動洗浄機の日常点検や定期点検、そして妥当性が確認された処理方法を行なっているかを確認するバリデーションの必要性が高まっている

医療現場における「バリデーション」は、医薬品や医療機器を製造・使用するにあたり、その工程が正しいかどうかを検証するための仕組みを指します。

医療に関わるものを製造する際は全てにおいて細心の注意が必要ですが、中でも特に医薬品は消費者の健康に直接関わるものであり、その品質はきわめて重要かつ重大です。間違いや不正製造は許されません。そこで守るべきルールが、GMPと呼ばれる製造管理、品質管理の共通基準です。これは「Good Manufacturing Practice」の略で、1968年に世界保健機関(WHO)が定めた、品質の良い優れた医薬品を製造するための基準要件。このGMPに基準を守られているかを検証するのが、医療現場における「バリデーション」となります。

介護の分野における「バリデーション」の使い方・例文

ここでは介護分野における「バリデーション」の具体的な使用例をみていきましょう。

\次のページで「「バリデーション」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.介護現場にバリデーションは、悲しみや怒り、怖れ、不安などといった認知症者のマイナス感情に蓋をせず、表出させ、共感していき、認知症者とコミュニケーションを取ることが目的としている。
2.認知症の人とのコミュニケーション方法であるバリデーションは、やさしさと思いやりを育み、介護をこえてまわりの人を幸せにする力がある。

介護の分野での「バリデーション」は、認知症ケアの方法を指します。認知症を患っている要介護者との円滑なコミュニケーションを図るため、相手の考え、思い、感情を聴き入れ、理解し、共感するなどといった一連のプロセスのことです。これを「バリデーション療法」と呼びます。1963年にアメリカで開発されたコミュニケーション方法です。

「バリデーション」の類義語は?違いは?

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それでは「バリデーション」の類義語や関連語、その違いを確認していきましょう。

「ベリフィケーション」

混同されやすいのがこの「ベリフィケーション(verification)」という言葉です。これは「設計どおりにプロセスが終了したことを確認」という意味の言葉。具体的に言うと、「バリデーション」が「妥当性があるか検証しますよ」という意味であれば、「ベリフィケーション」は「妥当性があることを確認しますよ」という意味になります。

「クオリフィケーション」

「クオリフィケーション(qualification)」はバリデーションの一環で行われる1プロセスである、適格性評価のことを指します。「バリデーション」は規定のルールに沿って行われるものですが、そのルールは果たして適格なのですか?ということを検証するということです。

「コンファーム」

「コンファーム(confirm)」は「間違いないことを確認する」という意味の言葉ですが、「バリデーション」が「検証する」であれば、「コンファーム」は「承認する」というニュアンスを含んでいます。最終的な確認を意味すると言うことですね。

\次のページで「「チェック」」を解説!/

「チェック」

「チェック(check)」も「確認する」という意味ですが、「バリデーション」が「検証する」という意味であるのに対し、「チェック」は「目を通す」というニュアンスです。検証とまでは行かないとう言うことですね。

「バリデーション」の対義語は?

「バリデーション」の明確な対義語はありませんが、英語の「validation」「有効にする」という意味を含んでいるのであれば、その反対語としては「invalidation」という「無効にする」の意味の言葉がそれに当たるのではないでしょうか。

「バリデーション」を使いこなそう

この記事では「バリデーション」の意味・使い方・類語などを説明しました。

分野によって使い方が異なりますが、誰が行っても、作っても、同じ品質を保持し同じ機能や性能を発揮できるようなシステムを作ること。それがバリデーションの存在意義ということですね。

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国語言葉の意味

「バリデーション」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「バリデーション」について解説する。

端的に言えばバリデーションの意味は「検証する」や「妥当性確認」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系の記者を10年経験したライター・にべこを呼んです。一緒に「バリデーション」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/にべこ

某大手情報誌の記者を務め、その後フリーライターに。ビジネス用語ならおまかせ。さまざまなシーンで使えるカタカナ言葉を噛み砕いてご紹介。

「バリデーション」の意味や語源・使い方まとめ

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この記事でご紹介するのは「バリデーション」という言葉。あまり耳馴染みがないかもしれませんが、ITや医療、介護の分野をはじめ、ビジネスシーンなどでも使われている言葉です。定義をしっかりと確認していきましょう。

「バリデーション」の意味は?

「バリデーション」には、次のような意味があります。

(適切であると)検証すること。立証・実証すること。確認。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「バリデーション」

「バリデーション」とは検証、実証、認可などをあらわす言葉で、「妥当性を確認する」という意味を含んでいます。行った作業の内容が、規定の条件や仕様に適合しているかどうかを検証するということです。

具体的に言うと、作業の進め方を決めたら、決めた通りに作業を行って、行った作業は妥当だと確認する。この一連のプロセスと仕組みを「バリデーション」と呼ぶのです。IT、医療(主に医薬品や医療機器)、製造、介護などの分野でよく用いられます。

「バリデーション」の語源は?

「バリデーション」の語源を確認しておきましょう。

語源は英語の「validation」という名詞で、「有効にする」という意味の単語。語源を辿ると、ラテン語の「valere(ヴァレーレ)」。「力がある」「価値がある」などといった意味の言葉です。ちなみにここから派生した言葉としては「value(バリュー:価値、値打ち)」「available(アベイラブル:有効な、役立てる)」などがあります。

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