この記事では「蔓延る」について解説する。

端的に言えば蔓延るの意味は「広がって手がつけられなくなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「蔓延る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「蔓延る」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「蔓延る」の意味や語源・使い方まとめ

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蔓延る」の読み方は「はびこる」です。比較的身近で、日常会話の中でも使われる言葉ですから、読み方は耳慣れている人も多いと思います。漢字が難しいですが、熟字訓と言う特殊な読み方です。この機会に、漢字や正確な意味を覚えて正しく使えるようにしましょう。それでは早速「蔓延る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「蔓延る」の意味は?

まず初めに「蔓延る」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「蔓延る」には、次のような意味があります。

1.雑草などが茂り広がる。
2.悪いものの勢力が強くなって、手が付けられなくなる。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「蔓延る」

上記のとおり、「蔓延る」には二つの意味があります。一つめは、草木が生い茂って広がっている、と言う意味です。二つめは、悪い物が広範囲に広がっている様子を表し、病気や悪習、悪い人間など、幅広い物事に使うことができます。そして、「蔓延る」は、あくまでも悪い物に対して使われるネガティブな表現ですから、用いる時には気をつけましょう。

また、「蔓延」は「まんえん」とも読み、「蔓延る」と同じく、病気などの良くないものがとめどなく広がることを言います。

「蔓延る」の語源は?

次に「蔓延る」の語源を確認しておきましょう。

「蔓」は、木や草つる、つる草、と言う意味を持った漢字です。常用漢字ではないので、「はびこる」「まん延」とひらがな表記されることも多いでしょう。「延」は、のびる、広がる、と言う意味を持ちます。つまり、「蔓延る」は木や草のつるが広がっていく、と言うことですね。そして、つる草は成長が早く、放っておくとあっという間につるだらけになってしまって始末におえなくなることから、悪いものが広がってしまっている、と言う意味の言葉になったのでしょう。

また「蔓延る」の漢字の読み方は熟字訓と言う特別な読み方で、一つ一つの漢字で読むのではなく、熟字(今回は二文字)に訓読みを当てたものです。

\次のページで「「蔓延る」の使い方・例文」を解説!/

「蔓延る」の使い方・例文

それでは、「蔓延る」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。

1.最近庭の草取りを怠けていたら、すごい勢いで草が増え蔓延っていた。
2.ニュースでも言ったように、私の住む地域では、現在インフルエンザが蔓延っていてマスクが手放せない。
3.うわさ話と言うのは、下世話な内容のものほど蔓延っていくものだ。

例文1の「蔓延る」は、草木が生い茂って広がっている、と言う意味で使われています。植物に使われる場合にも、雑草など、害になるものに用いるのが普通です。

例文2のように、感染症など、流行する病気にもよく使われます

例文3は、うわさ話が広がっていると、言う意味ですが、このように人の思想や考え方などにも「蔓延る」を使うことが出来るのです。

また、この国にはスパイが蔓延っている、などと言うように、「蔓延る」は人に対しても使うことができますので、覚えておいてください。

「蔓延る」の類義語は?違いは?

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「蔓延る」の類義語には「跋扈」と「繁茂」が挙げられます。

その1「跋扈」

跋扈」は「ばっこ」と読み、語源は中国の後漢書の崔駰伝にあります。

「跋」は跳び越えると言う意味を持ち、「扈」は魚を捉えるための籠です。つまり、大きな魚が暴れてかごから跳び跳ねると言うことですね。そして、その意味が転じて、好き勝手にふるまうことや、のさばり蔓延る、と言う意味を持つようになりました。例えば、「悪人が跋扈する」と言うのは、好き勝手にやっていると言う意味合いで、「あこぎな商売が跋扈している」は、悪いものが広がっている、と言う意味になります。後者の場合は「蔓延る」の類義語と考えられますね。

\次のページで「その2「繁茂」」を解説!/

その2「繁茂」

繁茂」は「はんも」と読みます。意味は、植物が多く茂ること、です。「蔓延る」を、植物が広範囲で広がっている様子を表すのに使った場合、「繁茂」が類義語だと言えるでしょう。ただし、「蔓延る」が害がある植物に使われるのに対し、「繁茂」は、害をなす植物だけに用いられるわけではない、と言う点が相違しています。

「蔓延る」の対義語は?

「蔓延る」の対義語としては「制御する」が挙げられます。

「制御する」

制御(せいぎょ)する」は普段から良く使われる言葉ですね。「制」は、止める、抑える、「御」は、おさめると言う意味の漢字です。つまり「制御」は、人や物事の行動や活動をおさえ、自分の良いように管理すると言う意味を持ちます。「蔓延る」は、こちらの意志に反し悪いものが広がって行くことを言うので、制御しコントロールできると言うことは反対の意味だと考えられるでしょう。例えば、感染症などに用いる場合、「感染症が蔓延る」と「感染症を制御する」で、反対の意味を表せるでしょう。

憎まれっ子世にはばかる?はびこる?

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憎まれっ子世に憚る(はばかる)」と言うことわざがあります。有名ですから、聞いたことがある人が多いでしょう。意味は、憎まれている人ほど世の中で幅をきかせがちだ、と言うことです。しかし、「憚る」の本当の意味は、遠慮する、ためらう、と言う意味なのですね。ではなぜ全く違う意味で「憚る」が使われているのでしょう。これには、広く勢力を広げると言う意味の「はびこる」が変化してしまった説や、読み方が似ていたため、間違って使っていたものが、そのまま浸透し、定着してしまったという説があります。

正しくは「憎まれっ子世に憚る」ですが、「蔓延る」と間違えることが大変多いことわざですので、覚えておいてくださいね。

「蔓延る」を使いこなそう

今回は「蔓延る」について説明しました。「蔓延る」はすぐに生い茂ってしまうつる草を例にして、悪いものが広範囲に広がってしまっていることを表している言葉です。ネガティブな言葉ですから使う時には気をつけましょう。

また、「蔓延る」は日常会話でも使われ、比較的よく耳にする言葉なのですが、意外にも漢字で書かれたものを読めない人が多いようですね。これは、熟語をまとめて訓読みする熟字訓と言う特別な読み方です。当て字と解説しているものもあるようですが、当て字とは違います。熟字訓が使用されているものは「蔓延る」の他に「狼狽える」などがこれに当たりますね。熟字訓と言う読み方があることも覚えておくと良いでしょう。

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国語言葉の意味

「蔓延る」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「蔓延る」について解説する。

端的に言えば蔓延るの意味は「広がって手がつけられなくなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「蔓延る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「蔓延る」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「蔓延る」の意味や語源・使い方まとめ

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蔓延る」の読み方は「はびこる」です。比較的身近で、日常会話の中でも使われる言葉ですから、読み方は耳慣れている人も多いと思います。漢字が難しいですが、熟字訓と言う特殊な読み方です。この機会に、漢字や正確な意味を覚えて正しく使えるようにしましょう。それでは早速「蔓延る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「蔓延る」の意味は?

まず初めに「蔓延る」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「蔓延る」には、次のような意味があります。

1.雑草などが茂り広がる。
2.悪いものの勢力が強くなって、手が付けられなくなる。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「蔓延る」

上記のとおり、「蔓延る」には二つの意味があります。一つめは、草木が生い茂って広がっている、と言う意味です。二つめは、悪い物が広範囲に広がっている様子を表し、病気や悪習、悪い人間など、幅広い物事に使うことができます。そして、「蔓延る」は、あくまでも悪い物に対して使われるネガティブな表現ですから、用いる時には気をつけましょう。

また、「蔓延」は「まんえん」とも読み、「蔓延る」と同じく、病気などの良くないものがとめどなく広がることを言います。

「蔓延る」の語源は?

次に「蔓延る」の語源を確認しておきましょう。

「蔓」は、木や草つる、つる草、と言う意味を持った漢字です。常用漢字ではないので、「はびこる」「まん延」とひらがな表記されることも多いでしょう。「延」は、のびる、広がる、と言う意味を持ちます。つまり、「蔓延る」は木や草のつるが広がっていく、と言うことですね。そして、つる草は成長が早く、放っておくとあっという間につるだらけになってしまって始末におえなくなることから、悪いものが広がってしまっている、と言う意味の言葉になったのでしょう。

また「蔓延る」の漢字の読み方は熟字訓と言う特別な読み方で、一つ一つの漢字で読むのではなく、熟字(今回は二文字)に訓読みを当てたものです。

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