この記事では「エスカレーション」について解説する。

端的に言えばエスカレーションの意味は「段階的に増大する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「エスカレーション」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/要

塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。

「エスカレーション」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「エスカレーション」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「エスカレーション」の意味は?

「エスカレーション」には、次のような意味があります。

1.段階的に増大したり、激化したりすること。
2.業務上の下位者が対応しきれない事態が発生したとき、上位者に報告し、事態の対応を引き継ぐこと。

出典:goo辞書「エスカレーション」

「エスカレーション」は『徐々に増大する、激化する』という意味もあります。普段使われる意味としては、『段階的に上位へ伝達する』です。「エスカレーション」を略して、「エスカレ」と言われる事もあります。

ビジネスシーンでは、自分の判断ではなく上司の指示を必要とする事も多いです。具体定期には、アルバイトは正社員に相談し、正社員がその上司に相談するといったように、段階的に上司へと判断や指示を求めることを指します。

「エスカレーションフロー」の意味

「エスカレーションフロー」とは、エスカレーションする流れという意味。「フロー」には、「流れ」という意味です。

「エスカレ」といっても、いつ何をどんな時にどの上司へ相談すべきなのか決まっていないと、大きなトラブルに発展してしまう可能性もあります。そのため、前もって「いつ」「誰に」「何を」エスカレーションするか決めたものがエスカレーションフローです。

「エスカレーション」の語源は?

次に「エスカレーション」の語源を確認しておきましょう。

「エスカレーション」は、英語の「escalation」からきています。「escalation」は、「escalate(エスカレート)」を名詞にした形です。「エスカレートする」という言葉は、よく耳にしますよね。そこからイメージすると、段階的に増大する状況という意味も理解しやすいでしょう。

「エスカレーション」の使い方・例文

「エスカレーション」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「分野ごとにみる「エスカレーション」の意味の違い」を解説!/

1.大きなトラブルになる前に、エスカレーションしよう。
2.エスカレーションするので、あとはお願いしてもよろしいでしょうか。
3.私では手に負えないため、専門家にエスカレーションした。

「エスカレーション」は、上司や専門家に物事を引き継ぐ際に使う言葉。「エスカレーションする」というと、「後の対処を任せる」事もあれば、「指示を仰ぐ」というケースも意味しています。

一方で、ただの報告だけではエスカレーションとは言いません。状況報告だけでなく、その後の対応を求める時にエスカレーションと言います。

分野ごとにみる「エスカレーション」の意味の違い

一言で「エスカレーション」と言っても、状況によって指し示す意味が異なります。それぞれの場面で、どのように用いられるのか見ていきましょう。

IT用語「上長に引き継ぐ」

IT業界では、システムに関する問い合わせでエスカレーションがよく見られます。システムについては現場で判断できない事が多いため、専門知識を持っている上長に確認が必要です。

また、システムを扱っているため、深刻なトラブルに発展してしまうケースもあります。そうなると現場で対応できない事が多いので、早急にエスカレーションする事が重要になるという訳です。

コールセンター「詳しい人に聞く」

コールセンターでは、「電話を代わる、引き継ぐ」という意味になることはほとんどありません。最初に対応した人(一次対応)が解決するべきとされているため、「詳しい人に聞く」という意味で用いられる事が多いです。

ただ、一次対応で解決できないと判断した場合には、上司へ引き継ぐという場合もあります。

オペレーター業務「顧客にトラブルを報告」

システムオペレーターの場合には、「顧客へトラブルを報告する」という意味です。具体的には、サーバー管理やSEなどで用いられます。

顧客の企業からシステム管理を任されている事が多いです。そのため、システムに異常があった場合には、顧客へエスカレーションする事が必要になります。

サービス業界・小売業界「上司にクレーム処理を任せる」

飲食店や販売店などでは、「クレーム対応を上司に任せる」という意味で用いられます。技術的な対応は必要ありませんが、クレームでは「責任者をだせ」とお客が起こっている場合が多いです。そのため、責任者がクレームの対応をする事が多くなります。

\次のページで「「エスカレーション」の類義語は?違いは?」を解説!/

「エスカレーション」の類義語は?違いは?

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ビジネスで使われる「エスカレーション」の類義語には、「ボトムアップ」があります。

「ボトムアップ」

「ボトムアップ」は、『上位伝達』を意味します。つまり、立場が下の者から上層部に向けてエスカレーションすることを表す言葉。

ただボトムアップの場合には、現場から意見やアイデアを提案し、それを上司が検討するという流れを意味します。エスカレーションと同様に指示を仰ぐや対応を任せるという意味も持っていますが、中でも「提案」や「意思決定」という意味が強いです。そのため、クレーム対応やトラブル対応などよりは、何か新しい事を決めたりこれまでの内容を変えたりする際に使われる事が多い言葉になります。

「エスカレーション」の対義語は?

「エスカレーション」の対義語には、「デスカレーション」という言葉があります。

また、「エスカレーション」の類語として紹介した「ボトムアップ」の対義語として、「トップダウン」も見ていきましょう。

その1「デスカレーション」

「デスカレーション」とは、段階的に縮小するという意味。「エスカレーション」の「段階的に増大する」という意味の対義語になります。計画や事業を縮小するという場合に使う表現です。

ビジネスにおいて、「エスカレーション」とは逆に、上司が部下に指示を仰ぐことは基本ありません。そのため、逆の意味を持つ「デスカレーション」は、上から下に指示を仰ぐという意味で使われる事はないのです。

その2「トップダウン」

「トップダウン」とは、ボトムアップの対義語。組織の上層部が決定し、現場がその決定をもとに行動するという意味です。

ヨーロッパやアメリカの企業に多く採用されている方式で、日本のベンチャー企業などにも多く見られます。

「エスカレーション」の英訳は?

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「エスカレーション」はもともと英語なので、「escalation」という英単語が存在します。

「escalation」

「escalation」は、以下の意味があります。

1.〔段階的な〕拡大、増大、上昇、激化
2.深刻化
3.上申

出典:英辞郎 on the WEB「escalation」

英語では、「増大」や「拡大」という意味で使われる事が多いです。

日本のように上位へ指示を求める「エスカレーションする」の場合には、「escalate」という動詞を用います。

<自動詞>

1.〔人や物が〕エスカレーターで上がる[下がる]
2.〔量や程度などが〕段階的に増大する
3.〔闘争・問題などが〕悪化する

<他動詞>

1.〔人や物を〕エスカレーターで上げる[下げる]
2.〔~の量や程度などを〕段階的に上昇させる、エスカレートさせる
3.〔闘争・問題などを〕悪化させる
4.〔現状レベルで解決のつかないことを〕上位レベルの処理事項とする

出典:英辞郎 on the WEB「escalate」

「escalation」は名詞、「escalate」は動詞です。品詞にも注意して覚えてくださいね。

「エスカレーション」を使いこなそう

この記事では「エスカレーション」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「エスカレーション」は、上司に指示や対応を求めるという意味です。会社の中では、とても重要な工程になります。ぜひ言葉の意味を覚えて、日常で使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

「エスカレーション」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

1.大きなトラブルになる前に、エスカレーションしよう。
2.エスカレーションするので、あとはお願いしてもよろしいでしょうか。
3.私では手に負えないため、専門家にエスカレーションした。

「エスカレーション」は、上司や専門家に物事を引き継ぐ際に使う言葉。「エスカレーションする」というと、「後の対処を任せる」事もあれば、「指示を仰ぐ」というケースも意味しています。

一方で、ただの報告だけではエスカレーションとは言いません。状況報告だけでなく、その後の対応を求める時にエスカレーションと言います。

分野ごとにみる「エスカレーション」の意味の違い

一言で「エスカレーション」と言っても、状況によって指し示す意味が異なります。それぞれの場面で、どのように用いられるのか見ていきましょう。

IT用語「上長に引き継ぐ」

IT業界では、システムに関する問い合わせでエスカレーションがよく見られます。システムについては現場で判断できない事が多いため、専門知識を持っている上長に確認が必要です。

また、システムを扱っているため、深刻なトラブルに発展してしまうケースもあります。そうなると現場で対応できない事が多いので、早急にエスカレーションする事が重要になるという訳です。

コールセンター「詳しい人に聞く」

コールセンターでは、「電話を代わる、引き継ぐ」という意味になることはほとんどありません。最初に対応した人(一次対応)が解決するべきとされているため、「詳しい人に聞く」という意味で用いられる事が多いです。

ただ、一次対応で解決できないと判断した場合には、上司へ引き継ぐという場合もあります。

オペレーター業務「顧客にトラブルを報告」

システムオペレーターの場合には、「顧客へトラブルを報告する」という意味です。具体的には、サーバー管理やSEなどで用いられます。

顧客の企業からシステム管理を任されている事が多いです。そのため、システムに異常があった場合には、顧客へエスカレーションする事が必要になります。

サービス業界・小売業界「上司にクレーム処理を任せる」

飲食店や販売店などでは、「クレーム対応を上司に任せる」という意味で用いられます。技術的な対応は必要ありませんが、クレームでは「責任者をだせ」とお客が起こっている場合が多いです。そのため、責任者がクレームの対応をする事が多くなります。

\次のページで「「エスカレーション」の類義語は?違いは?」を解説!/

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