端的に言えばご承知おきくださいの意味は「前もって知っておいてください」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「ご承知おきください」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/要
塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。
「ご承知おきください」の意味は?
「ご承知おきください」という言葉自体は、辞書に記載されていません。そこでまずは、含まれている単語の意味を確認します。
1.事情などを知ること。また、知っていること。わかっていること。
2.依頼・要求などを聞き入れること。承諾。
3.相手の事情などを理解して許すこと。多く下に打消しの語を伴って用いる。
出典:goo辞書「承知」
《動詞「くださる」の命令形》
1.「くれ」の尊敬語。相手に物や何かを請求する意を表す。ちょうだいしたい。
2.「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、相手に何かを要望・懇願する意を表す。
出典:goo辞書「ください」
12.多く動詞の連用形、または、それに助詞「て」を添えた形に付く。
12-1.今後の用意のために、あらかじめ…する。
12-2.その状態を続けさせる。そのままにする。
出典:goo辞書「おく(置く)」
「承知」とは、事情を理解する事。「おき」は「おく」が変化した形で、「用意する」「そのままにする」という意味があります。また、「ご~ください」は、2つ目の意味で「要望する」という意味です。「ご」は尊敬の意味を持ち、丁寧語の「ください」は相手への敬いを表す表現になっています。
これらの意味から、「ご承知おきください」は「前もって知っておいてください」という意味になるのです。
「ご承知おきください」の使い方・例文
「ご承知おきください」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.明日より変更になる部分があるので、ご承知おきください。
2.この点については、ご承知おきください。
3.来週、工事で通行止めになります。ご承知おきください。
ここで紹介したように、相手に知っておいて欲しい内容を伝える際に使用されます。ビジネスのシーンで使われる事も多いです。文法的に違和感を感じられる方もいますが、日本語として正しい表現になります。
一方、「ご承知おきください」は尊敬の意味も含まれていますが、目上の人や上司に対して用いるのはNGです。承知の「承る」という漢字は、自分をへりくだる謙譲語になります。そのため、「ご承知おきください」では上から物を言っている印象を強めてしまうケースがあるのです。
つまり「ご承知おきください」は、目上の人や上司の人、取引相手などに対しては使わない方が良い言葉になります。立場が同じ、もしくは立場が下の人に対する敬語として用いるのがおすすめです。具体的には、何かを教える立場になった時や、一般的な文書などになります。
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