この記事では「隘路」について解説する。「隘路」はやや難しい漢字で読みも難読ですが、漢字から意味を推測するのは案外簡単です。特に「路」の字は子供でも良く知っている字で、「なんとなく道を示す言葉のような感じがする」というくらいには当たりがつくやつも少なくないでしょう。そこまで推測できれば、あとはもう確かめて覚えるだけです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「隘路」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「隘路」ってどんな意味?

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「隘路」の意味は以下の通りです。

1.狭くて通行の困難な道。
2.物事を進める上で妨げとなるものや条件。支障。難点。ネック。

出典:goo辞書「隘路 意味」

「隘路」は2つの意味を持っています。1つは狭くて通行が困難な道という意味です。路地でも獣道でも、狭く通りにくければ隘路にあてはまります。ただしあくまで道を示しており、道になっていない場合は「隘路」という表現を使うとやや不正確です。

2つめの意味として、概念上の道のりに対しても「隘路」は使用されます。困難ではあるけれどやらなければいけないことを指して、「困難な道のり/いばらの道」などという言い回しがありますが、「隘路」もこの類義語です。つまり「隘路」は、物理的にも精神的にも通るのに苦労する道を示しています。

「隘路」の読み方と漢字の意味は?

「隘路」は「あいろ」と読みます。文字ではなく口頭で聞いたり話したりする際、言葉を知らない場合まれに「藍色(あいいろ)」と聞き間違いをする人が居ますが、「あいいろ」ではなく「あいろ」です。

「隘」という漢字は、これ一文字だけで「険しい/狭い/土地にゆとりがない」などの意味を持つ漢字になります。一般教養レベルの漢字ではあるものの、現在では出番が限られており、日常に密着している漢字とは言いづらくなってきているのが現状です。なお、水に対する「溢れる(あふれる)」という漢字とはへんが異なります。同じ漢字ではないため注意してください。

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「隘路」の使い方

「隘路」は以下のように使います。

1.あの山は「隘路」が多いから、車で越えるには向かないらしい。
2.そのルートはあまりにも「隘路」が多すぎて、多分時間通りに到着できないだろう。
3.資金面が「隘路」になっていて、半年前から企画の話が前進しない。

1、2の例文は実際にある道を指して「隘路」を使用している例です。3は概念的に困難な道として「隘路」を使用しています。後者の使い方について分かりにくい場合は、「障害/悩み/ネック」などの言葉に置き換えると分かりやすいでしょう。

品詞としては名詞になるため、「ある/ない/なる」などの言葉が続く場合が多いです。また、実際の道としては本が単位になりますが、概念上の「隘路」の場合は1つ2つ、という数え方でも不自然ではありません。

意外な出番?製造業で使用される「隘路」

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「隘路」はビジネスの中でも、製造業での出番が特に多いです。どのような業界でも仕事に対してある程度のフローはあるものですが、製造業は商品製造に対して特にフローがきっちり決まっており、状況によってステップを飛ばすなどということができません。

同じ品質の商品をいくつも生産するためには、まるで決められた道筋を幾度も進み続けるような繰り返し作業が必要になります。その様が、困難な様子を道にたとえている「隘路」という言葉と相性が良いのでしょう。

「隘路工程」って何?

「隘路工程」という言葉がありますが、この言葉の意味を理解するには「隘路」についてと「工程」についてそれぞれ知っておかなければなりません。「隘路」については上記トピックで解説しています。「工程」とは簡単に言うと作業を進めていく順序のことであり、製造業だけでなく、建築工事などにも使われる言葉です。

「隘路工程」とは「隘路」になっている「工程」ということであり、作業の流れの中で特に困難な部分のステップを示しています。製造業における「隘路工程」はいろいろあり、商品1つを作るにあたってどうしても時間がかかってしまうステップや、機械での自動化ができずミスを承知で人間が行うしかないステップなどが該当する工程です。

「隘路工程」の類義語である「ボトルネック」

「隘路工程」と同じ意味で使われる言葉として、「ボトルネック」があります。「ボトル」とは文字通り瓶のことであり、「ネック」とは「首」のことです。つまり、瓶の首の部分を指しています。

一般的に瓶は、中身を出す際一気に大量に出てしまうのを防ぐため、本体部分が大きくても首の部分は細く作られているものです。製造業における「ボトルネック」も同じ意味であり、製造過程でどうしても一度に大量に仕上げられないステップという意味になります。

例えばABCの3つのステップで作られる製品があったとして、Aで一度に10個まで部品を作れたとしても、Bでは2個までしか作れないとなると、その後のCでまた10個まで対応できたとしても意味はあまりありません。ステップBでは2個づつしか仕上がらない以上、Cでも2個づつしか仕上げることができないのです。これを「ボトルネック」と言い、「隘路工程」と同様の意味になります。

\次のページで「「隘路」の類義語には何がある?」を解説!/

「隘路」の類義語には何がある?

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「隘路」の類義語を学習するにあたっては、2つある「隘路」の意味を区別した上で行う必要があります。物理的に通りにくい「隘路」と概念上容易く通れない「隘路」とでは、置き換えられる類義語が変わってくるためです。学習後も類義語に置き換えたい場合は、どちらの意味の「隘路」なのか確認した上で置き換えましょう。

実際に通る道としての「隘路」の類義語

まずは実際に道として存在する「隘路」の類義語を考えましょう。こちらの意味の「隘路」の類義語としては、「険しい道/狭い道/獣道」などがあります。ポイントは、道としての「隘路」の意味は「狭くて通りにくい道」であるということです。つまり、広いが足場が悪くて通りづらい道などは、狭いという条件に当てはまらないため「隘路」ではないということになります。

言い換えると「隘路」と表現されている時点で、その道は「狭い」という条件の道になるのです。そのため、置き換えの際に道幅が広いというニュアンスを持つ言葉を選ぶと間違いということになってしまいます。注意してください。

概念的な「隘路」の類義語

概念的な「隘路」の類義語としては、「困難/障害/いばらの道/支障」などがあります。主に事を進めるうえで、悩みの種を示す言葉です。概念的な「隘路」は特に前後の文章によってニュアンスが微妙に変わってくるため、本当に置き換えが適正かの確認が重要になります。

「隘路」は通れる道である

「隘路」は狭くて通りづらい道、ないし道のりという意味です。しかし通りづらいだけで、通れないわけではありません。「隘路」の最大の特徴はこの点であり、まるっきり通れないわけではなく、無理をすれば。あるいは少しづつでも前に進めば通る事ができるのが、「隘路」です。

まったく通れないのであれば、それはもうどうしようもないことになります。しかし、なまじ無理をすれば通れるため、通るかどうかの選択を通る側に強いてくるのが「隘路」です。「隘路」にはいつも検討がつきものなのは、これが最大の理由と言えるでしょう。もしも「隘路」を見つけた時は、通るにしろ通らないにしろ、選択した先にある風景を楽しんでください。

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国語言葉の意味

通るか通らないか…悩まされる「隘路」の意味や使い方、類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「隘路」について解説する。「隘路」はやや難しい漢字で読みも難読ですが、漢字から意味を推測するのは案外簡単です。特に「路」の字は子供でも良く知っている字で、「なんとなく道を示す言葉のような感じがする」というくらいには当たりがつくやつも少なくないでしょう。そこまで推測できれば、あとはもう確かめて覚えるだけです。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「隘路」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「隘路」ってどんな意味?

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「隘路」の意味は以下の通りです。

1.狭くて通行の困難な道。
2.物事を進める上で妨げとなるものや条件。支障。難点。ネック。

出典:goo辞書「隘路 意味」

「隘路」は2つの意味を持っています。1つは狭くて通行が困難な道という意味です。路地でも獣道でも、狭く通りにくければ隘路にあてはまります。ただしあくまで道を示しており、道になっていない場合は「隘路」という表現を使うとやや不正確です。

2つめの意味として、概念上の道のりに対しても「隘路」は使用されます。困難ではあるけれどやらなければいけないことを指して、「困難な道のり/いばらの道」などという言い回しがありますが、「隘路」もこの類義語です。つまり「隘路」は、物理的にも精神的にも通るのに苦労する道を示しています。

「隘路」の読み方と漢字の意味は?

「隘路」は「あいろ」と読みます。文字ではなく口頭で聞いたり話したりする際、言葉を知らない場合まれに「藍色(あいいろ)」と聞き間違いをする人が居ますが、「あいいろ」ではなく「あいろ」です。

「隘」という漢字は、これ一文字だけで「険しい/狭い/土地にゆとりがない」などの意味を持つ漢字になります。一般教養レベルの漢字ではあるものの、現在では出番が限られており、日常に密着している漢字とは言いづらくなってきているのが現状です。なお、水に対する「溢れる(あふれる)」という漢字とはへんが異なります。同じ漢字ではないため注意してください。

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