
端的に言えば鷹揚の意味は「ゆったりとして威厳があること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は、日本文学を専攻し研究している翠を呼んです。一緒に「鷹揚」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/翠
中古の日本文学を研究している。様々な時代やジャンルの作品を読み、ことばに触れている。中学校と高校の国語科の教員免許も取得しており、ことばについて分かりやすく説明する。
「鷹揚」の意味は?
「鷹揚」には、次のような意味があります。
1.(鷹が大空に飛ぶ姿がいかにも自信にみち、おおらかであるように)ゆったりとして威厳があること。小さなことにこだわらないで、おっとりしているさま。ようよう。
2.動作のゆっくりしているさま。
3.(─する)世に出ること。名をなすこと。
出典:日本国語大辞典 第二版(小学館)「おう‐よう」
「鷹揚」は「おうよう」と読み、名詞としての意味と形容動詞としての意味を持っています。鳥の一種である「タカ」を示す漢字の「鷹」と「あげる」と読む漢字の「揚」が使われていますね。
「鷹揚」の意味は、形容動詞の意味としては鷹の飛ぶ様子が基になっています。鷹の空を飛ぶさまを見て「威厳がある」「ゆっくりしている」という意味です。名詞としては「鷹揚する」という形で使用します。
「鷹揚」の語源は?
次に「鷹揚」の語源を確認しておきましょう。「鷹揚」という言葉は、中国の最古の詩集である『詩経』に登場します。先ほど紹介した、辞書における「鷹揚」の意味の一つ目が『詩経』に載っている「鷹揚」の意味です。
また、「鷹揚」の意味として「大雑把」を挙げる人も中にはいますが、「鷹揚」のもともとの意味に「大雑把」というものはありません。日本には「鷹揚」とはまた別の「大様」という言葉があり、その言葉は「大雑把」という意味を持ちます。「鷹揚」の「大雑把」という意味は、もともと「大様」にあったはずの意味が、混同してしまったことによるものなのです。また、「大様」が「鷹揚」の当て字になった、という説もあります。
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