この記事では、「静謐」について解説する。

「静謐」は聞きなれない言葉です。「『謐』の字なんか見たこともない」ってやつも多いんじゃないか?「静謐」はたった2文字で端的に風情を表す、粋な言葉です。ぜひ使いこなせるようになりたいもんです。

今回は静謐な雰囲気を味わうため、雪夜の会社帰りには山道を歩くっていうライターのぷーやんを呼んです。「静謐」の意味と使われ方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。真夜中の海や静まり返った雪の夜の雰囲気が好物。

「静謐」はどういう意味の言葉?

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はじめに、「静謐」の読み方は「せいひつ」です。あまり目にすることのない言葉ですね。早速ですが「静謐」の意味をみていきましょう。

「静謐」は辞書にどう書かれている?

「静謐」は辞書では次のように書かれています。

1. 静かで落ち着いていること。また、そのさま。「深夜、書斎に過ごす―なひととき」
2.世の中が穏やかに治まっていること。また、そのさま。「―な世情」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「静謐」

「静謐」の『静』から『静かなこと』を表現する言葉だろうと想像した方も多いのではないでしょうか。一方『謐』には『静か・やすらか』という意味があるため、「静謐」は「静かで落ち着いている」という意味になります。似た意味の漢字を2つ重ねることでお互いの意味を強調し、より情緒的なニュアンスで用いられることが多い言葉です。

「静謐」を例文で見てみよう!

「静謐」の意味を押さえましたので、次に例文で使い方をみていきましょう。

\次のページで「「静謐」の類義語3選」を解説!/

1.日中の喧騒がウソのように、夜の街は静謐に包まれていた。
2.静謐な雰囲気の風景画に、思わず足を止めて見入ってしまった。
3.長年続いていた紛争が一応の決着を見たことにより、この地域は静謐さを取り戻しつつある。

例文1や2のとおり「静謐」は、しんと静まり返った場面や景色の情景を簡潔明瞭に表現できる言葉です。例文3のように、世情が落ち着いていることを言い表すのにも適しています。

「静謐」の類義語3選

次に「静謐」の使い方の輪郭をはっきりさせるため、外堀を埋めるイメージで類義語と対義語もチェックしていきましょう。まずは類義語を3つ示します。

静寂:しんとしてもの寂しい

静かな様子を表現する「静寂」。両者の違いは「静謐」が清らかで静かな情景を表すのに対し、「静寂」は物理的に静かでもの悲しい雰囲気をまとっているところ。

長閑:静かでのんびりしている

「のどか」と読みます。凛とした印象の「静謐」とやや対照的です。しかし「長閑」は平和を象徴しますので、「静謐」の「世の中が穏やか」という部分と共通していますね。

泰平:世の中が平和である

「静謐」の内包するニュアンスのうち、「世の中が落ち着いている」という部分と一致する言葉です。「天下泰平」という四字熟語は、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

\次のページで「静謐の対義語2選」を解説!/

静謐の対義語2選

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類義語の次は対義語をみていきましょう。

喧騒:人声や物音で騒がしい

自然が発する音ではなく、人の発する話声や物音がやかましいことを表す言葉です。また「都会の喧騒」のように使えば、単なる音量の大きさだけではなく、ある場所や場面が賑わって忙しなく活動しているイメージを端的に示します。先述の「静謐」を使った例文1にも「静謐」と対照的に登場しているように、「静謐」の対義語としてしっくりくる言葉ですね。

騒乱:世の中に騒ぎが起こって秩序が乱れる

こちらは雑音や騒音でうるさいというよりも、「世の中が安定していない」という意味において「静謐」の反対語といえるでしょう。

「静謐」は英語でなんという?

物音がなく心が落ち着く印象を一言で表現する「静謐」。このような垢ぬけた日本語が、英語にするとどうなるのかも気になるところ。ここでは「静謐」の英語訳を3つご紹介します。

serene silence:静謐

「serene」が「穏やか」で、silenceが「沈黙・静けさ」です。これら2つの単語を合わせると「静謐」となります。

tranquil:静か・穏やか・落ち着いた

静かで穏やかな様子を表す語です。心理的な落ち着きや平静という意味もあります。

peace:平穏・静けさ・沈黙

「平和」という意味を真っ先に思い浮かべる単語ですが、平穏や静けさという意味も。「静謐」の持つ意味を余すことなく含んだ単語と言えそうですね。

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「静謐」の定型的な使われ方をご紹介!

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桜木先生が仰るような、「静謐」の慣用例を3つみてみましょう。

静謐を湛える

「せいひつをたたえる」と読みます。「湛える」は「あふれるほど満たされている」という意味。したがって「静謐を湛える」は「静かで落ち着いた雰囲気に満たされている」ということ。一切の雑音や雑念が入る余地のない場面を表現する言い回しです。

静謐な佇まい

「佇まい」は「そのものの醸し出す雰囲気」「暮らし方」という意味があります。したがって「静謐な佇まい」は、あるものや人の生活が穏便であるということ。日常の幸せとは、「静謐な佇まい」に潜んでいるのかもしれませんね

静謐な美しさ

森や長閑な田園地帯、あるいは寺社仏閣などの静謐な風景は、清らかな美しさを感じさせます。本稿のライター紹介にもありますが、風のない雪夜を散歩していると、静謐な美しさを感じられること請け合いです。

夜中でも明るく感じるほどの銀世界・冬の匂い・寒いはずなのになぜか優しさを感じる冷気・静寂の中に響く積雪をつぶす自分の足音などなど、目・耳・鼻・肌で静謐な美しさを享受できます。

ときには静謐に身を委ねてリフレッシュを!

この記事では「静謐」について、類義語・対義語・英訳・定型文と、多角的に解説しました。

図書館の中や夜更けのひとときなどの日常的に触れられるところに、きっと静謐な環境はあることでしょう。ところが勉強や仕事に追われる多忙な暮らしの中にあっては、「時間がない」がついつい口癖になってしまいがちなもの。

ハードな生活を送っている方も、1日のどこかで、勇気をもって静謐に身を委ねてみてはどうでしょうか。生活の喧騒から意識して心理的に離れてみることで、びっくりするくらいの安らぎを得られるかもしれません。

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国語言葉の意味

「静謐」と静寂は違う意味?読み方・使い方・類義語・対義語・例文を静謐と喧騒のギャップが好きなwebライターがわかりやすく解説!

1.日中の喧騒がウソのように、夜の街は静謐に包まれていた。
2.静謐な雰囲気の風景画に、思わず足を止めて見入ってしまった。
3.長年続いていた紛争が一応の決着を見たことにより、この地域は静謐さを取り戻しつつある。

例文1や2のとおり「静謐」は、しんと静まり返った場面や景色の情景を簡潔明瞭に表現できる言葉です。例文3のように、世情が落ち着いていることを言い表すのにも適しています。

「静謐」の類義語3選

次に「静謐」の使い方の輪郭をはっきりさせるため、外堀を埋めるイメージで類義語と対義語もチェックしていきましょう。まずは類義語を3つ示します。

静寂:しんとしてもの寂しい

静かな様子を表現する「静寂」。両者の違いは「静謐」が清らかで静かな情景を表すのに対し、「静寂」は物理的に静かでもの悲しい雰囲気をまとっているところ。

長閑:静かでのんびりしている

「のどか」と読みます。凛とした印象の「静謐」とやや対照的です。しかし「長閑」は平和を象徴しますので、「静謐」の「世の中が穏やか」という部分と共通していますね。

泰平:世の中が平和である

「静謐」の内包するニュアンスのうち、「世の中が落ち着いている」という部分と一致する言葉です。「天下泰平」という四字熟語は、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

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