今回は「オッド・ハーキンスの法則」について解説していきます。

オッド・ハーキンスの法則は、宇宙に存在する全元素の存在量の規則性についてまとめた法則です。この法則を学ぶことで、マクロな視点で元素の特徴を知ることができるぞ。この法則は、資源戦略を決める際にも使われるほど実用的なものでもある。ぜひこの機会に、オッド・ハーキンスの法則について理解を深めてくれ。

資源材料学について学んだことがある現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

オッド・ハーキンスの法則について学ぶ前に

今回の記事のメインテーマは、『オッド・ハーキンスの法則』です。宇宙に存在するすべての元素の存在量比に、どのようなパターンや周期性・規則性があるのかということをまとめたものがこの法則ですよ。ですから、オッド・ハーキンスの法則について理解を深めるためには、元素についての知識が必要になります

以下では、オッド・ハーキンスの法則について学ぶ前に知っておくべき事柄について解説します。具体的には、元素の正体である原子についての知識元素の種類についての知識などのことです。これらの事柄の説明の中では、オッド・ハーキンスの法則を理解する際に重要となる用語が多く登場しますので、それらの言葉の意味を確認しておきましょう。それでは早速、説明をはじめます。

原子の構成要素と元素

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元素というのは、物質を化学的に限界まで分解したときにたどり着く要素のことであり、その正体は原子だとされています。その原子は陽子中性子電子という3つ粒子で構成されており、これらの粒子の組み合わせによって元素の特徴が決定づけられますよ

同一の元素の場合、その原子に含まれる陽子の数が等しくなります各元素の原子番号は陽子数に一致しているのです。そして、陽子数は等しいが、中性子数が異なる原子の組み合わせは同位体と呼ばれます。同位体同士は化学的な性質がほぼ同じであるため、同じ元素に分類されますよ。

また、各元素にはそれぞれ名前があります。水素・酸素・窒素・アルミニウム・鉄などはすべて元素の名称ですよ。これらの名称はアルファベットで書かれた元素記号によって省略表記が可能です。例えば、水素はH、酸素はO、窒素はNと表現します。

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Atom(ver.2018.06).jpg
iseri - http://www.chiba-kc.ac.jp/user/~iseri/siryo/atom.pdf, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

人類が発見した元素の数は100個以上にのぼります。このように膨大な数の元素が存在する訳ですが、その中には非常に似た性質をもつ元素の組み合わせも存在しますよ。似た性質をもつ元素の組み合わせは、上に記したような元素周期表を用いると簡単に知ることができます。元素周期表は、周期律と呼ばれる規則性に基づいて、元素について整理したものになりますよ

オッド・ハーキンスの法則の説明では、希土類元素という元素グループが登場します。希土類元素は、ランタノイド系元素にスカンジウム(元素番号が21)とイットリウム(元素番号が39)と加えた元素グループです。ランタノイド系元素は、周期表の下部に記されている元素群で、ランタン・ホルミウム・エルビウム・イッテルビウム・ルテチウムなどを含みますよ希土類元素はレアアースと呼ばれることもあります

オッド・ハーキンスの法則について学ぼう

ここからは、この記事の本題である『オッド・ハーキンスの法則』について学んでいきましょう。『オッド・ハーキンスの法則』がどのような法則であるのか、その法則が成り立つ理由、法則には例外が存在するのかという3点について解明していきますよ。

以下の説明では、先ほど説明した概念の中でも、特に原子番号と希土類元素の考え方が重要となります。これらの概念について思い出せない事柄がある場合は、記事の前半部分を参照してみてくださいね。それでは、『オッド・ハーキンスの法則』についての詳しい説明をはじめます。

オッド・ハーキンスの法則とは?

SolarSystemAbundances.png
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上の図は、宇宙に存在する元素の存在比を表すグラフですこのグラフは、ケイ素の原子が100万個存在すると仮定したときの各元素の存在量を表していますよ。このグラフから読み取れることは何でしょうか?

それは、原子番号が偶数の元素の存在量が、原子番号が奇数の元素の存在量よりも多い傾向があるということです。つまり、元素の存在比を表すグラフが 鋸の刃のようにギザギザした形をしているということですよ

まさにこの傾向がオッド・ハーキンスの法則の内容なのです発見当初は、希土類元素のみにこの法則を適応できると考えられていましたが、その後に全元素に適応可能であることが分かりましたよ。なお、オッド・ハーキンスの法則は宇宙に存在する元素に関するものですが、地球のマグマや岩石にもある程度当てはまります。

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オッド・ハーキンスの法則が成り立つ理由

オッド・ハーキンスの法則が成り立つ理由

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続いて、オッド・ハーキンスの法則が成り立つ理由について考えてみましょう。オッド・ハーキンスの法則が成り立つ理由は、原子番号が奇数の元素が不安定であり、元素番号が偶数の元素が安定しているからです

原子番号が奇数の元素には、放射性同位体が多く含まれています。これらの同位体はベータ壊変により、原子番号が偶数の元素に変化しますよ。一方、原子番号が偶数の元素には、ベータ壊変後の安定核種が多く含まれています。以上のような理由により、オッド・ハーキンスの法則の法則が成り立つのですね。

オッド・ハーキンスの法則に当てはまらない元素

オッド・ハーキンスの法則に当てはまらない元素

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オッド・ハーキンスの法則は、ほぼすべての元素に当てはまる法則ですが、例外となる元素も存在します。その例外元素は水素ベリリウムです。先ほど示したグラフを確認すると、水素は原子番号が奇数であるにも関わらず、存在量はすべての元素の中で最も多くなっていることがわかります。また、ベリリウムは原子番号が偶数ですが、両隣のリチウム・ホウ素よりも存在量が小さくなっていますよね。

このようになるメカニズムは完全には解明されていません。水素原子が例外元素になる理由は、水素原子のイオン化に関連があると考えられていますベリリウムの存在量が小さい理由は元素の成り立ちが他の元素と異なることにあるとされていますよ

オッド・ハーキンスの法則について学ぶ意義

この記事では、元素についての基礎知識を復習し、その後『オッド・ハーキンスの法則』について学びました。そして、オッド・ハーキンスの法則が成り立つ理由についても学びましたよね。例外元素についても説明したので、こちらもぜひ確認しておいてください。

オッド・ハーキンスの法則は化学の教科書で扱われることが少ないものですが、多くの人が興味をもっていただけるであろう面白みのある法則です。ぜひこの記事を読んで、オッド・ハーキンスの法則について学んでみてくださいね。

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化学原子・元素理科

オッド・ハーキンスの法則とはどんな法則?周期表との関係は?元素の基礎知識について理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!

人類が発見した元素の数は100個以上にのぼります。このように膨大な数の元素が存在する訳ですが、その中には非常に似た性質をもつ元素の組み合わせも存在しますよ。似た性質をもつ元素の組み合わせは、上に記したような元素周期表を用いると簡単に知ることができます。元素周期表は、周期律と呼ばれる規則性に基づいて、元素について整理したものになりますよ

オッド・ハーキンスの法則の説明では、希土類元素という元素グループが登場します。希土類元素は、ランタノイド系元素にスカンジウム(元素番号が21)とイットリウム(元素番号が39)と加えた元素グループです。ランタノイド系元素は、周期表の下部に記されている元素群で、ランタン・ホルミウム・エルビウム・イッテルビウム・ルテチウムなどを含みますよ希土類元素はレアアースと呼ばれることもあります

オッド・ハーキンスの法則について学ぼう

ここからは、この記事の本題である『オッド・ハーキンスの法則』について学んでいきましょう。『オッド・ハーキンスの法則』がどのような法則であるのか、その法則が成り立つ理由、法則には例外が存在するのかという3点について解明していきますよ。

以下の説明では、先ほど説明した概念の中でも、特に原子番号と希土類元素の考え方が重要となります。これらの概念について思い出せない事柄がある場合は、記事の前半部分を参照してみてくださいね。それでは、『オッド・ハーキンスの法則』についての詳しい説明をはじめます。

オッド・ハーキンスの法則とは?

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上の図は、宇宙に存在する元素の存在比を表すグラフですこのグラフは、ケイ素の原子が100万個存在すると仮定したときの各元素の存在量を表していますよ。このグラフから読み取れることは何でしょうか?

それは、原子番号が偶数の元素の存在量が、原子番号が奇数の元素の存在量よりも多い傾向があるということです。つまり、元素の存在比を表すグラフが 鋸の刃のようにギザギザした形をしているということですよ

まさにこの傾向がオッド・ハーキンスの法則の内容なのです発見当初は、希土類元素のみにこの法則を適応できると考えられていましたが、その後に全元素に適応可能であることが分かりましたよ。なお、オッド・ハーキンスの法則は宇宙に存在する元素に関するものですが、地球のマグマや岩石にもある程度当てはまります。

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